RachelとMamikoによる2MCユニット・chelmicoが8月21日に2ndフルアルバム「Fishing」をリリースした。
キュートさやファッショナブルさ、そしてフランクな姿勢で人気を集めるchelmico。新作では、2人が持つ発声法や声質、メロディ感のような天性の部分に加えて、楽曲の世界観作りやライミングといった、思考力を駆使して作り上げられる“構築の巧みさ”が重要な要素になっており、“ノリ”だけではないchelmicoのラッパーとしての成長が垣間見れる作品となっている。Ryo TakahashiやESME MORI、TOSHIKI HAYASHI(%C)といった強力な面々が制作をバックアップしており、「switch」や「爽健美茶のラップ」のようなポップスをしっかり形にしたものから、「Navy Love」や「Balloon」といった、やや気だるく、メランコリーなナンバーまで幅広い世界観の楽曲が収録されている。
今回音楽ナタリーでは、chelmicoの2人に加え、新作の収録曲「BEER BEAR」にナレーションで参加したお笑いトリオ・トンツカタンの森本晋太郎を迎えてインタビュー。chelmicoと公私共に縁の深い彼に彼女たちの魅力を聞いた。
取材・文 / 高木"JET"晋一郎 撮影 / 前田立
3ラリーでタメ口
──chelmicoが1月24日に行った東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブ「パティ黄門ツアー2019」には森本さんがMCとしてご登場されたので、chelmicoファンはこの座組の理由がわかると思うのですが、そうではない読者のために、chelmicoと森本さんの関係性からお伺いできますか?
森本晋太郎 僕の記憶だと、最初はMamikoが僕のインスタをフォローしてくれて、僕もchelmicoのリスナーだったんで、フォローを返したんですよね。
Rachel まみちゃんがフォローする前から森本はchelmicoのことは知ってたの?
森本 知ってた知ってた。chelmicoはフワちゃん(YouTube芸人)と遊んでたでしょ? 僕もフワちゃんと一緒に企画をやったりしてるから、その流れで知ってて。それで、トンツカタンのトークライブにフワちゃんがゲストで出てくれることになったときに、僕がストーリーで告知したら、Mamikoが「行きます!」って言ってくれたの。
Mamiko そうだ。あったね。
森本 そこが初めてのコンタクト。それで、そのトークライブまで毎日告知も兼ねてインスタライブで生配信してたら、それに出たいっていきなり連絡があって。
Mamiko そうだ、なかよしビクトリーズの岡田(康太)が出た日でしょ?
森本 そうそう。それで遊びに来たのが初対面だよね。で、ビックリしたんですけど、会話の3ラリー目でもうタメ口使われてたんです。
Rachel・Mamiko あははは(笑)。
Rachel ぴったり3?
森本 ぴったり3。ビックリしたもん。まあまあ年上なんですよ、僕。
Mamiko 3ターンで「この人はタメ口で大丈夫な人だ」って(笑)。
Rachel まみちゃん、けっこうすぐ見切りつけるもんね(笑)。
Mamiko 今までで一番早かったね、タメ口になるまで。
──完全にマウント取られましたね。
森本 そこからもう勝てないです。
パインジュース事件
Rachel でもそのときはあんまりしゃべってなかったよね。いつも男の子たちでやってる集まりに、急に知らん女の子が来た感じで、みんなドギマギしちゃって。
森本 満を持して全員黙ったね(笑)。それで生配信終わりで、フワちゃんから連絡が来て「今から渋谷集合」って。それで飲みに行ったんだよね。
Rachel 出た! パインジュース事件だ!
森本 僕はお酒飲めないので、パインジュースを頼んだんですよ。そしたら、それが全員からいじりのターゲットになって、「なんですか、パインジュースって」みたいな。
Mamiko 普通、ソフトドリンクでも烏龍茶とかコーラなのに……パインジュース! もうパイン先輩って呼んでたもんね。
森本 店員さんもそれ聞いてたのか、僕がほかの飲み物を頼んでも、何も持ってきてくれなくて。
Mamiko パインジュース以外頼むからだよ。
Rachel パイン以外出してもらえないみたいな。森本のいじり方、完全に把握してるね(笑)。
──デキる店員ですね。
森本 そうデキる……ってデキてないですよ! 客の注文持ってこないんだから(笑)。結局パインのいじりで夜が明けた、とんだ1日でしたね。そのあとに、トンツカタンのライブにも来てくれたんだよね。
Rachel そう。トンツカタンのライブに行ったり、森本がやってるYouTubeの「おこたしゃべり」を観た流れで、私たちのLINE LIVEのMCも森本にやってもらったんだよね。
Mamiko 最初にお仕事で絡んだのがそれだね。
森本 よく考えたらあれもいじりの延長だった気がしてきた。「最初は森本さんが1人でしゃべってください」って、オープニングの5分間、僕の独白で始まったんだ。chelmicoの番組なのに。だから、あれはいじりの最果てに仕事があったって感じ(笑)。
Rachel いじりの行き着いた先に(笑)。でも、すごい大好評だったよ。
森本 罰ゲームでセンブリ茶を飲まされたのも、スタッフさんがバラエティ慣れしてないものだから、コップに並々と注がれて。こんなに飲めるか!って。
──このまま原稿になるとパワハラを受けてる人みたいになりそうですね。
Rachel 「衝撃告発、私はセンブリ茶を飲まされた」。
Mamiko 「あんなに苦い思いはしたことがない」。
森本 なんの雑誌の見出し?(笑)
アンコールを一瞬で止めたポーズ
Mamiko 愛されキャラなんだよね、森本は。
Rachel それが大好評だったから、ワンマンのMCもお願いしたんだよね。chelmicoのワンマンはMC長いから、回してくれる人……即決で森本!
Mamiko お客さんにも愛されてたよ。
森本 愛されてたっていうか、いじられてた。あんまりないでしょ、1000人単位の客にいじられること。
Rachel 最後もアンコールじゃなく、「もーりもと!」って森本コールだったもんね。
森本 さすがに悪ふざけがすぎると思って舞台袖で震え上がってたんだけど、chelmicoのマネージャーさんが「GO」って。それで1人で出てったんだけど……。
──そこでダサいポーズをとってしまったと、noteで自戒されてましたが。
森本 こういうポーズ(「フレミングの左手の法則」の手の形)ですね。
──あ、ヒップホップ側からすると死ぬほどクソダサいやつですね。
森本 せめてインタビュアーは中立でいてほしかった……(笑)。確かにそのポーズが出た瞬間、「ああ、こんなヤツだったんだ」ってみんな我に返って、コールが一瞬で止みましたね。
Mamiko そこで「さすが森本……」って(笑)。ホントに面白い。
Rachel あと、インスタとかTwitterを使うのがうまいのも、同世代って感じがする。やっぱり、自分たちで自分たちを盛り上げる人って強いと思うし、森本はそれがすごくうまいから、学ぶところが本当に多くて。
Mamiko chelmicoのTwitterとかインスタの使い方がうまいんだとしたら、森本のおかげです。
森本 ホント? めちゃくちゃうれしい。やっと森本いい話出たね。
Rachel でも森本いい話これだけ。あとはもうない(笑)。
Mamiko ゴメンね(笑)。
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chelmicoかLinkin Parkか