ナタリー PowerPush - CHEESE CAKE
福岡在住4人組がメジャーデビュー「閃光ライオット」受賞からの奮戦を語る
「閃光ライオット」準グランプリは悔しかった
──2009年に準グランプリを獲得した「閃光ライオット」をはじめ、これまでいろんなコンテストに出場して賞をもらっていますよね。それは貪欲にチャンスをつかんでいこうという思いからだったんですか?
一瀬 僕はずっと野球をやっていたり、ポチはずっと水泳をやっていたり、もともと体育会系だったこともあって。賞レースにもどんどん積極的に参加していこうみたいな思いがあったんですよね。
岩淵 ホント? ウチはあんまりそういうこと考えてなかったよ(笑)。
一瀬 いや、俺はそういう気持ちで……(笑)。でも、昔からポチも負けず嫌いだったよ。
岩淵 そうかなあ(笑)。
田村三果(通称:アネキ / B) バンドに専念したかったから、みんな高校の部活を途中で辞めているんですね。だから、バンドにすべてを注ぐような感じではありましたね。
一瀬 負けず嫌いだったし、バンドが形になってからは自信もあったので、どんどん出ていこうと。
──「閃光ライオット」で準グランプリを獲ったときはうれしかった? それとも悔しかった?
一瀬 悔しかったですね。
岩淵 え!?
一瀬 ステージでコメントを求められたときにアネキが「悔しいです」って言ったんですよ。僕も同じ気持ちでしたね。
田村 あのときはグランプリを獲るつもりだったので。
一瀬 だから「閃光ライオット」のときは賞をもらった気がしなかったですね。
岩淵 え!?
──岩淵さんはさっきから2人の言葉に驚いてるけど(笑)。
岩淵 私はうれしかったんですよね。準グランプリを獲ったときにステージ上でヒダカトオルさんから副賞をいただいて。BEAT CRUSADERSが大好きなので「ヤバい!」って舞い上がってました(笑)。
「これだ!」と思える曲がなかなかできない
──そんな「閃光ライオット」から今回メジャーデビューに至るまで、3年以上の時間がかかったのはなぜなんですか?
一瀬 「閃光ライオット」以降、りきみすぎたのか曲が書けなくなって。「これだ!」と思える曲がなかなかできなかったんですよね。演奏の技術も思うように上がらなかったし。それで、メンバー同士でケンカしたり。深刻なところまで険悪になることはなかったんですけど。でも、そうやって時間をかけたので、最終的には70曲くらいは作れたんですよ。
──プライベートスタジオもあるんだよね?
一瀬 はい。ゴンのお父さんの会社の倉庫のプレハブ小屋みたいなところを改造させてもらって、そこで曲を作っていたんですけど。でも、そこは山奥で寒いので(笑)、今は僕が1人暮らししている部屋を拠点にやっています。エレキドラムを置いて、一応その部屋でミックスまでできる環境にあるんですけど。YouTubeに上がっている「ノンフィクション」という曲があるんですけど、それはプライベートスタジオでミックスまで全部やった曲ですね。
──ミックスの方法論はどこで学んだんですか?
一瀬 この3年強のあいだに本を読んだりして独学で学びました。
──この3年強は修行期間だったんだね。
岩淵 まさにそうですね。今はこの3年があってよかったなって思います。「閃光ライオット」直後にすぐ前に進んでいたらバンド自体がダメになっていた気がするし。このタイミングでメジャーデビューできてよかったなって。すっごくつらいこともたくさんありましたけどね。
──でも、誰もバンドをやめようとは思わなかったんでしょう?
岩淵 そうですね。つらいことはそれぞれあったと思うんですけど、私はバンドというよりも自分自身にいっぱいいっぱいになっちゃっていて。曲ができないことをメンバーに言うのもヤだし、すごく強がっていて。あとは、曲を書いたら「今こいつはこんなこと考えてるんだ」って思われるのも怖くて。
──見透かされるのがヤだった?
岩淵 そうなんです! 恋愛の曲を書いても、「ああ、こんなことあったんだ」って思われるのもすっごいヤで。
──でも、それじゃあ曲なんて書けないでしょう。
岩淵 そうなんですよね。
一瀬 ポチが悩んでた原因を今知りました(笑)。
岩淵 でも、ある日「曲ができません」ってメンバーに素直に言ってから楽になったんですよ。「何をあそこまで悩んでいたんだろう?」と思って。できないことはできないって言えばいいし、ヤなものはヤって言えばいいし、したいことはしたいって言えばいいんだって思えたんですよね。私、昔はこんなにしゃべれなかったんですよ。しゃべったら自分の気持ちが読み取られるのがヤで。けっこう暗かったんですよね。
金山 思春期だ(笑)。
岩淵 思春期だったら思春期で曲が書けると思うんですけど(笑)。私ってホントに適当なところがあるし、かなりわがままな人間なんですけど。音楽をやっていくって決めたから、わがままに自分の伝えたいことを発信していけばいいやって思って。そうじゃないと音楽をやる意味がないなって。
CD収録曲
- 哀しみのブランコ
- ふわりと浮かぶ夜の月まで
- Thank you
LIVE INFORMATION
- Music Climbers vol.2
2013年3月20日(水・祝)
福岡県 福岡DRUM Be-1 - Beat Happening! CHEESE CAKEレコ発編!
「哀しみのブランコでスタート」
2013年4月5日(金)
東京都 渋谷LUSH
CHEESE CAKE(ちーずけーき)
福岡県春日市で同じ小学校と中学校に通っていた岩淵紗貴(ポチ / Vo, G)、一瀬貴之(イッチー / G)、田村三果(アネキ / B)、金山尚右(ゴン / Dr)の4人が2006年に結成したロックバンド。オリジナル曲の制作やライブ活動を経て、2008年6月に初の自主制作音源「CHEESE CAKE」をリリース。同年8月には初の主催イベントを開催し、爽やかさとせつなさが融合した独特のサウンドで注目を集める。この年はさまざまなコンテストに出場し、多数の賞を受賞した。2009年3月からは全国規模での活動を展開し、同年8月に行われた「閃光ライオット2009」で準グランプリを受賞する。同年10月、初のシングル「強がり虫*寝グセ」をリリース。その後はライブ活動と並行して腰を据えた楽曲制作を続け、SMEレコーズからのメジャーデビューも決定。2013年2月27日発売のシングル「哀しみのブランコ」でメジャーデビューを果たす。