ナタリー PowerPush - チャットモンチー
しなやかな「変身」の道のりを振り返る
私たちはこれからもずっと変身し続ける
──このアルバムを作って何を得られたと思いますか?
橋本 いろいろ思い出しましたね。久しぶりに歌詞をたくさん書いて、無理にひねり出そうとしなくても音楽を作ることの大切さを思い出したし。余計な計算をせずに曲を仕上げることもそう。ミュージシャンとして、ここを失ったらだめだろうってことを再確認しましたね。
福岡 今後、自分に何かあったときにこのアルバムを聴いたら元気をもらえると思う。リスナーにとってもそういう作品になったら幸せですね。あとは、アルバムを作るってこういうことだよなって思いました。当たり前のように年に1枚作ってリリースするとかじゃなくて、バンドにドラマがあって作るべきものなんだなって思った。このアルバムを聴いてもらったら、そのドラマを感じてもらえると思います。
──そのドラマは「変身」というアルバムタイトルに集約されていると思います。
福岡 そうですね。アルバムタイトルは絵莉子がいろいろ考えてくれて。最終的にやっぱりこのアルバムを表すのは「変身」しかないってなったんですけど。「このタイトルを付けるのは今しかないんじゃない?」って。
橋本 最初は表しすぎているかなとも思ったんですけど。でも、最終的にはこれしかないと思って。
──ほかにはどんなタイトルが候補に挙がっていたんですか?
橋本 あとは「再生」とかあったね。でも、まあバンドが一度止まったわけでもないしなと思って。
福岡 結局、最後まで引っかかっていたのが「変身」で。私たちはこれからもずっと変身し続けると思うから。私たちの変身はこれで終わりじゃなくて、ここからどんどん、自分たちも想像できないくらいに続いていくというので。
DVDでどういうふうにライブをやっているかわかる
──初回限定盤にはスタジオライブを収録したDVD「変身中」が付きます。福岡さんはお酒を飲みながら収録したってTwitterに書いていましたけど、どんな感じだったんですか?
福岡 スタジオライブでお客さんもいないし、シーンとしているから、これは普段の調子でライブをやると危険だぞと思って。お酒でも飲んでリラックスしているくらいがちょうどいいかなって。あんまりカチッとしないように。
──ビールを飲んだんですか?
福岡 私はビールで、絵莉子は梅酒ですね。
橋本 お酒を飲んでライブをやることに慣れてないから、「飲んでまーす!」って感じが私には合ってなくて(笑)。途中からは飲まないで真面目に、楽しくやりました。
──選曲のポイントは?
福岡 どうやって演奏しているのかわかりづらそうな曲をメインに。手元も足元も見えるように撮影してもらいました。
橋本 今の私たちがどういうふうにライブをやっているかがよく伝わると思うので、ぜひ観てもらいたいですね。
ツアーでまたいろんなドラマが巻き起こると思う
──そういえば、前のインタビューで「今年はどんどん花火を打ち上げたい」って言ってましたけど、このアルバムは見事にメインを飾る大玉になったと思います。
橋本 あ、そうですね! そうでしたね!
──忘れてた?(笑)
福岡 うん、花火のことを忘れてた!(笑) (シングルリリースの)3、4発目くらいから忘れてた! 良いことを思い出させてくれました。リリース日にちゃんと言わないと(笑)。
──2人のことだから、既にこの先の構想を描いているのかな?と思うんですけど。
福岡 ゼロっす!(笑)
橋本 何にも湧いてこないですね!(笑)
福岡 まずはツアーのことしか頭にないですね。そこでまたいろんなドラマが巻き起こると思うし。
橋本 そうね。ツアーでどんなことが起きるのか、ホンマにワクワクしてます。
- ニューアルバム「変身」 / 2012年10月10日発売 / Ki/oon Music
- ニューアルバム「変身」
- ニューアルバム「変身」初回限定盤 [CD+DVD] 3500円 / KSCL-2150~2151
- ニューアルバム「変身」通常盤 [CD] 3059円 / KSCL-2152
CD収録曲
- 変身
- ハテナ
- テルマエ・ロマン
- 少女E
- コンビニエンスハネムーン
- Yes or No or Love
- 初日の出
- 歩くオブジェ
- きらきらひかれ
- ふたり、人生、自由ヶ丘
- ウタタネ
- 満月に吠えろ
DVD収録内容
- きらきらひかれ [Studio Live]
- 初日の出 [Studio Live]
- コンビニエンスハネムーン [Studio Live]
- Yes or No or Love [Studio Live]
- ウタタネ [Studio Live]
チャットモンチー
2000年4月、橋本絵莉子を中心に徳島で結成。2002年3月、橋本の高校の同級生だった福岡晃子が、翌2004年4月に福岡の大学でサークルの先輩だった高橋久美子が加入し、以降はこの3人体制で地元徳島を中心に活動を展開する。2005年11月、ミニアルバム「chatmonchy has come」で、Ki/oon Musicよりメジャーデビューを果たす。2006年春には初の全国ツアー「smoke on the ご当地'06」を開催し、同年1月には初のフルアルバム「耳鳴り」をリリース。この作品はオリコンウィークリーチャート10位を記録した。2008年春、初の日本武道館ワンマンライブを2日間にわたって開催。チケットは2日間とも完売し、大成功を収めた。その後も精力的な活動を繰り広げるが、2011年9月29日の地元・徳島でのライブを最後に高橋が脱退。その後は橋本と福岡の2人体制で活動を継続し、同年11月からは対バンツアー「チャットモンチーの求愛ツアー」を行う。2012年2月には初のベストアルバム「チャットモンチー BEST ~2005-2011~」をリリース。その後、7カ月間で計5枚のシングルを次々と発表。同年10月、2人体制となって初のフルアルバム「変身」を発売する。