ナタリー PowerPush - チャットモンチー
「新しい未来」を突き進む2人が語るこれまでとこれから
クミコンの気持ちは受け止めなきゃいけない
──高橋さんから脱退の意志を告げられたのは、どのようなタイミングだったんですか?
橋本 2011年の春のツアー中でした。Zepp Osakaでの2DAYS公演のときです。
──ツアー中ってかなり動揺しますよね。
橋本 確かにビックリはしましたけど、以前に何度かそういう話を経ての、その日だったので。受け止めなきゃいけないなって思いましたね。
──その日はどういう話をしたんですか?
橋本 私が「次の展開から大きな花火を上げたい」という話をして。もちろん、クミコンがその話に乗ってきてくれることを期待していたんですけど、そこでクミコンは自分に嘘をつけなかった。その感じが伝わってきたから、私が「素直に言っていいよ」って言って、彼女の意思を話してもらったんです。
福岡 つらかったけど、久美子の思いを否定する理由はなくて。私も送り出してあげようって思いましたね。
チャットモンチーのこの先のために腹を括った
──橋本さんの「大きな花火を上げたい」という発言はどのような思いから出たものなんですか?
橋本 「YOU MORE」をリリースして、ツアーを回っているうちにチャットモンチーというバンドの進み方や着地の仕方を考え直していたんです。チャットモンチーが置かれている状況を考えたときに、このままではこれ以上広がっていかないなって思ったんですよね。なんとなく「チャットモンチーはいいよ」っていろんな人に言ってもらえるけど、その先はないと感じてしまったというか。だから、チャットモンチーのこの先を、もっと大きく展開していくために、腹を括りたいなと思って。
──もっと貪欲に攻めていこうと?
橋本 そう。攻めた先がどうなるかはわからないけれど、守りすぎてバンドがつまらなくなるよりは、攻めたほうが絶対に面白いと思ったから。
──そのとき考えていた攻め方というのは?
橋本 例えばもっとテレビに出たり、大きな会場でライブをすることで、自分たちの存在や音楽を広く知ってもらうとか。自分たちを見てもらうことに積極的になるということですね。でも、クミコンから脱退したいという話を聞いたときは「花火どころじゃない!」ってなって(笑)。でも、あっこちゃんがすぐに「チャットモンチーは続けるよ!」って言ってくれたんです。で、私も「やる!」ってなって、大きな花火を上げたいという思いも復活して。
福岡 えっちゃんから「花火を上げたい」という話を聞いたときに、だいぶ腹括ったなと思ったんですよね。元々は、積極的に前に出るのを一番苦手とするタイプなんですよ。そんなえっちゃんがメンバーもスタッフもお客さんも笑顔になる方法を考えた末に「花火を上げたい」という決心に至って。えっちゃんにはしんどい選択をさせてしまったけど、リーダーとして決断したんだなって思ったんです。その気持ちは消したらアカンと思ったし、私自身もチャットモンチーがここで終わると思われたくなかったから。
──意地もあった?
福岡 うん、それがすごく大きかった。
早く新しい未来が欲しかった
──そして、自分がドラムを叩くという決意をした、と。
福岡 そうですね。
──それを橋本さんやスタッフに告げたのはいつ頃だったんですか?
福岡 Zepp Osakaのライブから10日後くらいですね。空港で。「空港で」ってなんかドラマっぽいですね(笑)。
──相当な覚悟が要ったと思うんですけど。
福岡 でも、チャットを続けるためにベースから離れることは何の未練もなかったんですよね。自分がドラムになることに覚悟が必要だったというよりも、それでもカッコいい音楽を作らないと絶対にお客さんは納得しないと思ったから。そっちのほうに意識がいっていましたね。基本的に音楽が大好きだから。2人になってもカッコいい音楽を作りたいという思いが一番でした。やっぱり最初はスタッフも含めて「ええー!?」ってなったんですけど、すぐにえっちゃんが「楽しそう!」って言ってくれて。
橋本 あっこちゃんが「私がドラムをやる」って言ってくれたときにすごくワクワクしたんです。曲やPVのいろんなイメージが浮かんで、しばらくはそのことで頭がいっぱいになりました(笑)。そこからは、プラスの悩みばかりになったんですよね。
福岡 そうだね。ステージに2人で堂々と一列に並んで演奏する画が浮かんで、絶対にカッコいいバンドになれるって思いましたね。とにかく早く新しい未来が欲しかった。
CD 収録曲
- ハナノユメ
- 恋の煙
- 恋愛スピリッツ
- 東京ハチミツオーケストラ
- シャングリラ
- 女子たちに明日はない
- とび魚のバタフライ
- 世界が終わる夜に
- 橙
- 親知らず
- ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
- 風吹けば恋
- 染まるよ
- Last Love Letter
- 8cmのピンヒール
- ここだけの話
- バースデーケーキの上を歩いて帰った
初回限定盤 LiveDVD収録曲
- DEMO、恋はサーカス
- さいた
- メッセージ
- ひとりだけ
- とび魚のバタフライ
- 恋愛スピリッツ
- 長い目で見て
- シャングリラ
- 風吹けば恋
- ここだけの話 (Acoustic Ver.)
- 染まるよ (Acoustic Ver.)
- 真夜中遊園地
- Last Love Letter
- 拳銃
- ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
- 親知らず
- ハナノユメ
チャットモンチー(ちゃっともんちー)
2000年4月、橋本絵莉子(G, Vo)を中心に徳島で結成。2002年3月、橋本の高校の同級生だった福岡晃子(B, Cho)が、翌2004年4月に福岡の大学でのサークルの先輩にあたる高橋久美子(Dr, Cho)が加入し、以降はこの3人体制で地元徳島を中心に活動を展開する。同年6月にリリースした自主制作音源「チャットモンチーになりたい」が大きな話題を呼び、音楽専門誌などで大きく取り上げられるようになる。2005年11月、ミニアルバム「chatmonchy has come」で、Ki/oon Recordsよりメジャーデビューを果たす。2006年春には初の全国ツアー「smoke on the ご当地'06」を開催し、その人気を全国区へと拡大する。同年1月には初のフルアルバム「耳鳴り」をリリースし、オリコンウィークリーチャート10位を記録した。2008年春、初の日本武道館ワンマンライブを2日間にわたって開催。チケットは2日間とも完売し、大成功を収めた。その後も精力的な活動を繰り広げるが、2011年9月29日の地元・徳島でのライブを最後に高橋が脱退。その後は橋本と福岡の2人体制で活動を継続し、同年11月からは対バンツアー「チャットモンチーの求愛ツアー♡」を実施した。2012年2月1日より、3週連続でシングル「満月に吠えろ」「テルマエ・ロマン」、初のベストアルバム「チャットモンチー BEST ~2005-2011~」をリリースする。