音楽ナタリー Power Push - Charisma.com

今度は完全攻撃モード! 世間の“自己愛”をメッタ斬り

京都で目撃した衝撃的な自己愛

──通常盤の最後の曲が「自撮ール」。これはその名の通り、自撮り写真をSNSにアップする人の曲ですね。

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いつか 京都に行ったときに、すごく衝撃的な光景を見たんです。女の子2人組が着物姿で観光してるんですけど、おのおのが自撮り棒をもって自分と建物を撮り始めて。「2人で来る意味あるのかな?」「一緒に写んないんだったら、互いに撮ればいいから別にセルフィーじゃなくていいんじゃないの?」って、もうビックリでしたね。

ゴンチ 一緒に来てる意味がない(笑)。電車で自撮りしてる人もいますよね。「ええっ! ここで?」ってビックリする。電車の中なんて風景も全然よくないですし。

いつか エスカレーターとかで自撮りする人とかね。あれが一番意味わかんなくない? エスカレーターを見せたいのかな?

ゴンチ このアルバムの中でもこれが一番わかりやすい自己愛ですね。

いつか うん、もう自己愛マックスです。

──この曲も共感しながら聴く人が多そうだなと思いました。

いつか いや、これはね、全然共感されないと思うんですよ。

ゴンチ だってみんな自撮りやってるから。

いつか そう、むしろ嫌悪感を抱かれると思う。ライブで「自撮ール」を歌ったらきっと、お客さんは手は叩いてるけど目は笑ってない感じになりそう(笑)。

──そしてタワーレコード限定盤のみ、さらにボーナストラック「豚」が収録されます。

ゴンチ

いつか ひどい曲名。

ゴンチ 私も最初にこれを聴いたとき、まずタイトルにビックリしました(笑)。

いつか めちゃめちゃ怒ってたんですよ(笑)。怒りにまかせて2時間ぐらいでぶわっと書いたんですけど、頭にきてたから「もう『豚』でいいや」と思って。それが採用されました。

──よっぽどこういう人が嫌いなんだろうな、というタイトルですね(笑)。

いつか おっきい会社のブランドを笠に着たり、権力がある人にペコペコしたりして、「俺、その人知ってます」とか言って自分がすごいわけでもないのに偉そうで。そういうタイプは本当に虫唾が走るんです。

──それって会社じゃなくても、学校だったりあらゆるコミュニティにいますよね。

いつか いますいます。いっぱいいる。君の友達はすごいかもしれないけど君がすごいわけじゃないよね? というか、友達の友達って要するに知らない人だよね?っていう。

ゴンチ ここまでキツい悪口だと、逆に面白いですよね。悪口を飛び越してウケる。

いつか いや悪口だよこれは。

──ははは(笑)。

いつか でもこの曲、先に聴いていただいた皆さんからは「これが一番いい」って言っていただけることが多くて。「みんな相当怒ってんなー」って思いました(笑)。

でも正論は世の中にそんなに求められてないです

──ゴンチさんから見て、「愛泥C」はどんなアルバムに仕上がったと感じますか?

ゴンチ どの曲もそれぞれギャップがあるなと思います。「骨抜きに恋して」はすごくポップなのに言ってることはエグいし、逆に「腰掛けラップ」はトラックがブリンブリンなのにテーマが「腰掛け」だし、「GODcustomer」はかわいい雰囲気なのに「ファッキュー! ファッキュー!」って言ってるし。

──確かにそうですね。それにしても、このアルバムで描かれてるような人たちに対して、こんなふうにしっかり説得力のあるDisができてるということは、いつかさんはとてもちゃんとした人なんだろうなあ、と思いました。

いつか ちゃんとしてます(きっぱり)。

ゴンチ ちゃんとしすぎてます。

いつか でも正論は世の中にそんなに求められてないです。そこの葛藤がすごいです(笑)。

いつか

──今作はサウンド面でのバリエーションが増えた印象がありますが、とはいえ基本的にEDM的なアレンジが柱になっていますよね。その部分はこれからも崩さないんですか?

いつか いや、もう全然崩していきたいと思ってます。今までやってきたことのイメージもあるので、これから自分が新しくやりたいことをトラックメーカーさんに伝えるのがけっこう難しくて。「似てるけどちょっと違うんだよなー」みたいな微妙なニュアンスを、うまくトラックメーカーさんとやり取りする方法を探しています。

──いつかさんはメリヤス♀名義でソロ活動もしていて、そちらではドープなヒップホップをやっていますが、Charisma.comでそういうことをやるつもりは今後もないですか?

いつか ないですね。ゴンチもいるので。

──ゴンチさんと一緒にステージに立つことを考えると、Charisma.comとしてやるべきことは今のようなサウンドだと。

いつか そうですね。Charisma.comはカッコよくやりたいんです。

──では、今後Charisma.comとしてチャレンジしてみたいことはありますか?

ゴンチ やってみたいことっていうか、やってほしいことはある(笑)。

いつか 他力本願がハンパないんですよこの人。

ゴンチ 歌い上げる“超バラード”みたいな曲をやってほしい。私はそういう曲が好きなので。

いつか ライブでどうすんの? Charisma.comのライブは速さあってのものよ?

ゴンチ それはそうなんだけど、聴きたいなって思って(笑)。あくまでアルバムの1曲としてね。

──完全にお客さん目線ですね(笑)。

いつか ゴンチは後ろにいるお客さんですから(笑)。私は、いろんなフィールドのいろんなミュージシャンと音楽を作ってみたいって思ってます。普段とは違う人と一緒にやると刺激を受けるし。やっぱり1人で作ってると癖が出やすいんですよ。ラップのやり方とか、コーラスの入れ方みたいなことを、ほかの人は私が思い付かないような方法でやってるなって感じることも多いので、それをたくさんの人から吸収していきたいですね。

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ミニアルバム「愛泥C」/ 2016年3月2日発売 / Warner Music Japan
通常盤 [CD] / 2160円 / WPCL-12323
タワーレコード限定盤 [CD] / 2160円 / WPCL-12324
収録曲
  1. サプリミナル・ダイエット
  2. 骨抜きに恋して
  3. 腰掛けラップ
  4. PH4
  5. GODcustomer
  6. 等身大グレー
  7. ベルサッサ
  8. 自撮ール
タワーレコード限定盤CDボーナストラック
Charisma.com「愛泥Cリリースツアー『FATです。PIGです。フィットネスツアー』」
2016年4月17日(日)神奈川県 横浜BAYSIS
<出演者> Charisma.com / 夜の本気ダンス
2016年4月23日(土)宮城県 enn 2nd(※ワンマン)
2016年4月24日(日)愛知県 ElectricLadyLand(※ワンマン)
2016年5月1日(日)北海道 Sound Lab mole(※ワンマン)
2016年5月8日(日)福岡県 DRUM Be-1(※ワンマン)
2016年5月13日(金)大阪府 BIGCAT(※ワンマン)
2016年5月15日(日)東京都 TSUTAYA O-EAST(※ワンマン)
Charisma.com(カリスマドットコム)
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普段は雑貨メーカーの事務をしているいつか(MC)と、普段は精密機器メーカーの事務をしているゴンチ(DJ)による、2011年に結成された女性2人組エレクトロラップユニット。YouTubeに投稿した動画がきっかけとなり、卓越したラップスキルと毒気の強いリリックで話題を呼ぶ。2013年7月に初の音源となるミニアルバム「アイアイシンドローム」をリリースすると、同作は「iTunes BEST OF 2013」に選出され、また「CDショップ大賞2014」の関東ブロック賞を受賞。LOUIS VUITTON主催の特別展のレセプションパーティに唯一の日本人アーティストとしてホログラムで出演したり、PARCOのバレンタインキャンペーンのメインビジュアルに起用されたりと幅広い活動を展開する。2015年2月には、映画「死んだ目をした少年」の主題歌として書き下ろした「とんがりヤング」を配信リリース。同年7月にワーナーミュージックよりメジャーデビューし、OLをテーマにしたミニアルバム「OLest」を発表した。2016年1月には初の書籍「がめつくストロング~毒舌OLラッパー、世間をぶった斬る!~」を刊行。同年3月にミニアルバム「愛泥C」をリリースする。