音楽ナタリー Power Push - Charisma.com×おかざき真里
元OLマンガ家と現役OLアーティストによる“最上級のOL談義”
女の人は仕事ができても恋愛はついてこない
──OLさんの恋愛事情はどうなんでしょうね。
いつか 私は恋愛と仕事を両立できないタイプなんですよ。ほんとは両立できたほうがいいに決まってるんで、チャンスがあればがんばりたいなとは思うんですけど。ただ、そういう相手ができたら愛だの恋だのの曲ばっかになっちゃうかもしれないです(笑)。
おかざき 楽しみですねー(笑)。
いつか ほんとですか? 聴きたいですか、うちらのそんな曲?(笑)
ゴンチ いや楽しみ。どうしたんだろうって思いますよね。あらーっていう(笑)。
──アルバムには「マメマメBOYがさつGIRL」というラブソングもありますよね。
いつか あれは想像で書きました。男性が働いているパターンで。女性は部屋が汚いがさつな感じっていう。
ゴンチ 私、まさしく“がさつGIRL”なんですよ。なので、“マメマメBOY”募集中なんですけどね(笑)。
──やっぱりお仕事で忙しいと部屋は片付けられないですか。
ゴンチ まあ性格もあるんでしょうけど(笑)。忙しいってことを言い訳にしてますね。実際、部屋を片付ける時間くらいはあるはずですし。
おかざき 私もOL時代は部屋が散らかってましたよ。だから大丈夫です(笑)。
ゴンチ 大丈夫ですか?(笑)
おかざき でも私、不公平だなって思うことがあって。男の人って仕事ができれば恋愛がついてくるみたいなところがあるじゃないですか。
いつか わかる! それ、女の人にはないかも。仕事ができても恋愛はついてこないですよね。
おかざき ね。男の人に向かい合うときは、逆に「自分は仕事のことをあまり重視してないですよ」ってアピールしないと相手が納得しないところがあるというか。
──男性のプライドが、仕事のできる女性を拒絶するところがあるのかも。
いつか ありますよ!
おかざき ジャマっけよねー(笑)。
いつか 男女関係においては、女の人ががんばって仕事していることを評価してくれることってあんまりない気がする。生きている中で、悩みって仕事以外でそんなになかったりするじゃないですか。でも、その仕事の悩みを相談すると自慢に受け取られちゃったりして。女性が仕事をバリバリしてると「あいつは1人でOKでしょ」みたいに思われがちですけど、そんなことないんですからね(笑)。
「お先真っ暗」じゃないよ、先なんて自分で作んだよ
──今回のアルバムにはそういった働く女性の弱さがにじみ出た曲もあったりして。喜怒哀楽が感じられるところがすごくいいなと思いました。
おかざき そうですよね。怒ってるんだけど、最後に泣き言みたいなのがちょっと入ってたりして。かわいらしいなと思いました。
ゴンチ ズバズバ言ってるCharismaらしさはあるけど、今回はそうじゃない優しい部分もすごく出たアルバムになりましたからね。1作目から聴いてくださっている方には、そういうちょっとした変化にも気付いていただけるんじゃないかなって思います。
いつか そういう部分もちゃんと受け入れて出していかないとなって思うようになったんですよ。「なんか怖かったな」っていう感想だけで終わるのはイヤだし、一緒にイライラを共有してもらうだけでもダメだと思ったので。笑って聴き終えていただければなと。
──では、最後にOLの楽しいところを聞かせていただければと。
おかざき OLということに限らず、仕事っていうのは「よし終わった!」みたいなちっちゃい達成感をたくさん与えてくれるものではあるんですよね。そういう意味では、それを1つずつクリアしていく楽しさはありますよね。
いつか 確かに。音楽よりもOLのほうが達成感みたいなものが見えやすいところもありますしね。あとはまあなんだかんだ結局は全部楽しいんですよ。たくさんイライラはするけど結果、楽しいみたいな。基本、ポジティブなんで(笑)。
ゴンチ 私の場合は……クリアする喜びや達成感は感じますけど、それが楽しいかって言われるとそんなでもないというか。全開で楽しめるようになるのが課題ですね(笑)。
おかざき それは自分のテンションを上げるだけで実現するんじゃ?
いつか きっとそうなんですよ! 自分次第なんですけど、ゴンチはすぐ内に入ってっちゃうタイプなんで。私もいろいろ言うこともあるんだけど、全然刺さんない(笑)。ぬかですよ!
ゴンチ んふふふ(笑)。
──ゴンチさんもOLを謳歌できるようになるといいですよね。
ゴンチ そう、ですよね(笑)。ただ、私の周りでOLを謳歌してる人はいないです。みんな悩んで、お先真っ暗みたいな。
いつか いやいや、みんな悩んでるよ。悩んでるけどちゃんと楽しもうってスタンスだから。先なんて自分で作んだよ!
──最後にいいセリフいただきました。
いつか いやでも私の周りにはOLを謳歌してる同級生がけっこう多いんですけど、みんなさりげなく彼氏できたアピールをSNSでしてるのってなんなんですかね(笑)。「休日はお寿司食べに行きました」って写真上げてんだけど。
おかざき ちゃんと2人分のお皿が映る角度で撮ってるやつね。なんなら向こうに座ってる彼の腕だけ映り込んでるみたいな(笑)。
いつか そうそう! あれは女性特有ですよね。謳歌してんなあって思うけど、ちょっと引きますね(笑)。
- メージャーデニューミニアルバム「OLest」/ 2015年7月8日発売 / 2160円 / Warner Music Japan / WPCL-12163
- メージャーデニューミニアルバム「OLest」
収録曲
- やれよ。
- お局ロック
- マメマメBOYがさつGIRL
- アラサードリーミン
- ダリぃだらりん
- こんがらガール
- 超絶に胸が痛んでいるあなたの上司
- 黄昏各位
Charisma.com(カリスマドットコム)
普段は雑貨メーカーの事務をしているいつか(MC)と、普段は精密機器メーカーの事務をしているゴンチ(DJ)による、2011年に結成された女性2人組エレクトロラップユニット。YouTubeに投稿した動画がきっかけとなり、卓越したラップスキルと毒気の強いリリックで話題を呼ぶ。2013年7月に初の音源となるミニアルバム「アイアイシンドローム」をリリースすると、同作は「iTunes BEST OF 2013」に選出され、また「CDショップ大賞2014」の関東ブロック賞を受賞。LOUIS VUITTON主催の特別展のレセプションパーティに唯一の日本人アーティストとしてホログラムで出演したり、PARCOのバレンタインキャンペーンのメインビジュアルに起用されたりと幅広い活動を展開する。2015年2月には、映画「死んだ目をした少年」の主題歌として書き下ろした「とんがりヤング」を配信リリース。同年7月にワーナーミュージックよりメジャーデビューし、OLをテーマにしたミニアルバム「OLest」を発表した。
おかざき真里(オカザキマリ)
6月15日長野県生まれ。高校在学中より「ファンロード」にイラストやマンガを投稿。圧倒的な画力でアマチュアでありながらファンが付くほどの人気を得た。多摩美術大学を卒業したのち、広告代理店の博報堂に入社。デザイナー、CMプランナーとしてキャリアを積みながら1994年に「ぶ~け」にて「バスルーム寓話」でデビュー。寡作ながら印象的な短編作品を多く発表した。1997年、オカザキマリ名義で歌人の枡野浩一とコラボレーションした「てのりくじら」「ドレミふぁんくしょんドロップ」(ともに実業之日本社)を刊行。2000年、結婚を機に博報堂を退職し、「ビジネスジャンプ」に一色伸幸原作で「彼女が死んじゃった。」を連載。2004年にテレビドラマ化もされ人気を集めた。その他の代表作に広告代理店での経験を基に描いたラブストーリー「サプリ」がある。こちらも2006年に伊東美咲、亀梨和也主演でテレビドラマ化もされている。2007年には「渋谷区円山町」が榮倉奈々、EXILE MAKIDAIこと眞木大輔の主演で映画化。2010年から2014年まで、病院での医療事務として働きつつネイルサロンを経営する女性を主人公にした「&―アンド―」を「フィール・ヤング」で描き、現在は最澄と空海の生き様をマンガにした「阿・吽」を「月刊!スピリッツ」にて連載している。