音楽ナタリー PowerPush - チャラン・ポ・ランタン×松井玲奈
“異世界の住人”同士が意気投合
ももが歌うことで小春の荷が軽くなる
──ちなみに「私の宇宙」というバラードは、以前の小春さんが感じていたことを書いた曲なんですよね。いつも押し入れにこもってて、“押入れが私の宇宙”だっていう。
小春 そう。私の押し入れ時代の歌なの。小春、子供の頃から長い間、誰とも遊ばないで、押し入れにこもって工作したり、絵を描いたりしてたのね。アコーディオンもそこで練習したりしてて。小学生からだけど、中学生になってもだいたいそこにいた。で、そんなに押し入れが好きならってことで、お母さんが壁紙を貼ってくれて、電気も付けてくれて。牛乳パックで机も作ってもらったし、ハサミとか紙とか工作の道具も全部そこにあって、そのときのことを思い出して書いたのが「私の宇宙」なんだよ。
松井 そうなんですかあ。
小春 でも考えてみると、このアルバムはよく聴くと小春の中身がわかりますよっていうものだから、恥ずかしいね。血まみれよりよっぽど恥ずかしいよ(笑)。
松井 でも、自分で歌詞を書いて歌を作るって、そういうことなんでしょうね。
もも ただ、それを歌ってるのは、ももっていうところが……。
小春 そうそう。ももが歌うことによって、自分の荷が軽くなるってところもあるの。
もも だって、小春が「押入れがー、私の宇宙ー」って歌ってたら、恥ずかしいよね(笑)。
小春 恥ずかしいね。歌えないね。
もも でも「私の宇宙」を小春が歌ったら、どうなるんだろ。今度歌ってよ。
小春 じゃあ、ももさん、アコーディオン弾いてくださいよ。
もも 「ワーカホリック」のピロピロっていう2つの音しか弾けないけどね。実は「ワーカホリック」でちょっとだけ私がアコーディオンを弾いてるところがあるんです。聴き取れないくらいのボリュームだけど。
お互いに「絶対無理」
松井 へえー。でもアコーディオンって難しいですよね。この間、ちっちゃいオモチャみたいなアコーディオンを触ったんですよ。ボタンが5つくらいしかないもので。
もも それ、小春も持ってるよね。
小春 うん。それを弾いたのが最初なんだよ。
松井 それを初めて触って、あ、こういう仕組みで音が鳴るんだって初めてわかって。でもどうやっても音が作れなくて、これであんなにいろんな音が出せるのってすごいなって思ったんです。さっき小春さんが弾いてるのを見てても、こんなにボタンがあるのを弾きこなすなんて、私には絶対無理だなあって。
小春 いやいや。でも玲奈たんはアコーディオンを初めて触ったって言ってたけど、私たちはこの間、初めてダンスしたんだよ。
松井 ダンス!?
小春 高橋克実さんと一緒に「ぎんなん楽団カルテット」っていうのをやってて、それで「MUSIC JAPAN」に出るときに、じゃあ踊りましょうって話になって。軽い気持ちで「いいっすよー」って受けたんだけど、いやあー、これがもう大変でね。まず、アコーディオンを弾きながら踊るっていうのが、とにかく大変で。「ぎんなんなんなん」の「なん」のところで右足を出すっていってるのに、どうしても左足が出ちゃって(笑)。
もも しかもミュージックビデオでも間違えてるからね。こんなところで言うのもなんだけど。
松井 あ、だからニコニコしてたんですね、小春さん。妙にニコニコしてるなって思ってたんです。
もも そう。間違えるたびに“テレッ”ってなるから、わかりやすくて(笑)。
小春 あれは照れ映像だね。玲奈たんは、やっぱりすごいと思う。だって、たった1曲で私たちはゼエゼエしてるのに、ライブ中ずっと踊ってるんだもんね。そういう意味で、私たちはAKBには入れないね。
もも いや、そういう意味じゃなくても入れないから。
3者3様の幼少時代
松井 でも小春さんは、ライブですごくたくさんしゃべってお客さんを楽しませるじゃないですか。私は小春さんみたいにしゃべれないし。
小春 いや、でもね、小春がこんなにしゃべるようになったのは、音楽活動を始めてからなんだよね。
松井 ええっ。
小春 私は大道芸から音楽を始めたんだよ。道端でアコーディオンを弾いてたの。だけど演奏してるだけだと人が集まらなくて、しゃべらないと立ち止まってもらえないから、お金ももらえない。だから、嫌な話、お金のためにしゃべり始めたってところがあるの。で、まず家でMCを考えて。
もも 私はそれを見てたんですけど、「皆さんこんにちは。アコーディオンの小春です」っていうところから紙に書いてて。名前を言うだけなのに。
小春 そう、全部カンペに書いてたの。ど忘れしちゃうとまずいから。普段、人とまったくしゃべらないでいた子供だったから、人前でしゃべるなんてあり得なくてね。
松井 そうなんですか?
もも 家でもほとんど話さない人だったからね。親との会話も、「ああ」とか「うん」とか「別に」くらいで。
小春 反抗期の子供みたいな(笑)。学校でも口を開いた記憶がほとんどなくてね。でもアコーディオンだけはずっと弾き続けてたっていう。本当にアコーディオンだけが頼りって感じだったの。だから、私は音楽の世界に入ってようやく少しずつ人と話せるようになった感じなの。それに比べて、ももは昔から世渡り上手で、八方美人だったけどね。
もも ちょっとお!
──でも、ももさんもヘン顔とかって、1人のときや家族の前ではするけど、ほかの人の前だと恥ずかしくて絶対できなかったって前に言ってましたよね。
もも 無理でしたね。親戚の前でお母さんに「昨日のヘンな顔やって」とか言われても、「そんなことしてない」とか言って。
小春 人前だと、いい子になろうとして、おとなしくなるの。
──2人とも、よくここまできましたよね(笑)。
もも 確かにねー。
小春 玲奈たんはどうだったの?
松井 私は子供の頃、ずっと家にいるタイプだったので、友達も少なくて、ゲームしてアニメ観てっていう内気な性格だったんですよ。一番ひどかったのが高校時代で、クラスの子と口をきくのもうまくできなくて。話しかけられても首を動かすだけで意思表示するみたいな感じだったんです。でもお芝居が好きだったので、演劇部に入って、そこでは大きな声でセリフを言ったり友達としゃべったりもしてて。体育館で練習してたんですけど、運動部に入ってるクラスメイトがそれを見てビックリしてました。松井はクラスでは全然しゃべらないのに、昨日ステージの上でゴキブリ殺してたよって。
もも えっ、ゴキブリ!? あはははは(笑)。
小春 そんなことを……(笑)。
松井 ゴキブリを殺すっていう舞台だったんですよ。どんな舞台なんだって感じですけど(笑)。
もも あはは(笑)。やっぱりそのギャップがいいですよねえ。
松井 お芝居は本当に好きで。何か作るのが好きだったんですね。あと、ゲームとか、1つのことをやりこんでいくことが好きでした。
小春 小春も1つのことを黙々とやるのが好きなんだけど、そういう性格上、絶対ゲームにハマるだろうからってことで、お母さんが買ってくれなかった。
松井 へえー。
小春 で、22歳くらいになって、さすがにもう自分でお金も稼いでるからいいだろうって思って、初めてドラクエを買ったのね。そしたらやっぱり生活が狂いまくって。全然寝ないで、ずーっとやってた。
もも 私はそもそもゲームのやり方も知らなければ興味もないんだけど、小春がゲームやりながらいちいち実況中継したり報告したりしてくるんですよ。それがもう、うるさくてね。
小春 なんかねえ。あと、たまごっちも入り込んでやってたから、死んだら本当に哀しくなっちゃうの。
松井 私もそうでした。私はたまごっちの流行りが終わってからなぜかやりだしたんです。保育園に通ってるときだったんですけど、保育園に行ってる間は触れないから、お世話ができないんですよ。それで死んじゃって、大泣きするみたいな。なんで保育園に持ってっちゃいけないのー、死んじゃうよーって(笑)。
もも 私はゲームはやってなかったんだけど、妄想の中で、飼ってもいなかった犬が死んじゃって、泣いてましたね。
松井 ええっ!?
小春 こわっ。こいつ、一番怖いわ。たまごっちで泣くほうが全然いいわ。
もも だって、たまごっち、買ってもらえなかったから。
松井 私も妄想とかするほうですけど、犬が死んだりはしないですね(笑)。
小春 しないよね、普通(笑)。
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- チャラン・ポ・ランタン 1stアルバム「テアトル・テアトル」 / 2014年12月3日発売 / avex trax
- CD+DVD / 3780円 / AVCD-93020/B
- CD / 2700円 / AVCD-93021
CD収録曲
- 71億ピースのパズルゲーム
- ムスタファ
- さよなら遊園地
- 蕾
- 美しさと若さ
- 私の宇宙
- プレゼント
- ワーカホリック
- NANDE-NANDE
- 忘れかけてた物語
- 愛の讃歌
- 季節は廻る
CD+DVD盤 DVD収録内容
- 71億ピースのパズルゲーム【Music Video】
- フランスかぶれ【Music Video】
- 美しさと若さ【Music Video】
- 私の宇宙【Music Video】
- ワーカホリック【Music Video】
- スーダラ節【Music Video】
- 忘れかけてた物語【Music Video】
- さよなら遊園地【Show Movie】
- Oppai Boogie【Show Movie】
チャラン・ポ・ランタン
1993年生まれのもも(Vo)と1988年生まれの小春(Accordion)による姉妹ユニット。2009年に結成。2010年8月に「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン」名義でアルバム「ただ、それだけ。」をリリースする。2012年6月にはZAZEN BOYS、group_inouらとのカナダツアーを大盛況に収めるなど海外での活動も多数。2012年9月に約2年ぶりの新作アルバム「つがいの歯車」を発表すると同時に、ももが20歳の誕生日を迎える2013年4月9日までに3枚のアルバムをリリースすることを公約し、それを達成。2014年7月にシングル「忘れかけてた物語」でエイベックスからメジャーデビューを果たし、同年12月に1stアルバム「テアトル・テアトル」をリリースした。
松井玲奈(マツイレナ)
1991年生まれ愛知県出身。SKE48、乃木坂46のメンバー。2008年に「SKE48オープニングメンバーオーディション」に合格し活動を開始する。SKE48の中心メンバーとして多大な人気を獲得し、AKB48でも選抜メンバー常連に。近年は個人としての活動も多く、2014年6月には初主演を務めた映画「gift」が公開され話題に。趣味はアニメ、マンガ、鉄道など。
- SKE48 ニューシングル「12月のカンガルー」 / 2014年12月10日発売 / avex trax
- Type-A / 初回限定盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83092/B- Type-B / 初回限定盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83093/B- Type-C / 初回限定盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83094/B- Type-D / 初回限定盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83095/B- Type-A / 通常盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83096/B- Type-B / 通常盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83097/B- Type-C / 通常盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83098/B- Type-D / 通常盤
[CD+DVD] 1646円 / AVCD-83099/B - Type-B / 初回限定盤