ナタリー PowerPush - チャラン・ポ・ランタン
こういうわけでエイベックス契約&たらふくシングル
こんなに女の人から共感される曲って今までなかった
──では、次。「フランスかぶれ」。
チャラン・ポ・ランタン / フランスかぶれ(ちょっとだけショートヴァージョン)
小春 これはだいぶ前にできた曲だったんだよね。円形劇場(昨年11月に行われた東京・青山円形劇場でのライブ)より前にできてたんだけど、スタッフに聴かせてなかったの。
──どうして?
小春 そんなに推す感じの曲ではないなって自分で思ってて。
もも 「いつかアルバムに入れるかなー」ぐらいな感じで、とりあえず仮で録音したんですよ。
小春 そしたらエイベックスの担当の女の人の食い付きがやけによくて。
もも エイベックスの人が「これ、デビューシングルに入れましょう」って言ってきたとき、ウチらもねこ太さんも「えっ?」って感じだったよね。
小春 なんか自分では冷静に評価できない曲だったのよ。今までにあったようでなかったタイプの歌詞だし。
──さらっと書けちゃったって感じの歌詞ですよね。
小春 うん。自転車乗ってるときに作った。メロディと歌詞と一緒に。
──「ベレー帽かぶったよん 何種類も持ってるよん」とか「ブーツは夏でもタイツ履いて むれても我慢だよん」とか、普通に自分たちの日常もそのまま書いている(笑)。
小春 そうそう。あ、でもね、このぐらいの、ちょっと背伸びしてるぐらいの年代の女の子の歌って、今までなかったんだよね。
もも 確かに。
小春 声が枯れてどうのって言ってるおばさんの歌とかさ(「ライムライトを浴びて」)、30代ぐらいの女の人の歌は多かったけど。
もも 「今更惜しくなる」とかね。
小春 そう。こういう、10代くらいにも思えるような曲は初めてで。
──ももさんの実年齢に比較的近い感じですよね。
小春 そうだね。
──妄想して誰かになりきる感じとかも、まさしくももさんそのまんまじゃないですか。子供の頃、誰かを演じながら電車に乗ったりしていたって前に話してましたもんね。
もも はい。だから曲をもらってスッと入れましたね。共感できたし、ライブで歌ってみて、聴いてる女の子たちも共感できるだろうなって思いました。ばあばにも言われましたよ。「これ、ももちゃんじゃん」って(笑)。
小春 うちのお母さんも「これ、いい!」って言ってた。女性からやけに受けがいいんですよ、この歌。こんなに女の人ばっかから共感される曲って今までなかったよ。
もも うん。エイベックスの担当が女の人で、その人が「これ入れましょう」って言ってくれたのがすごく大きかったと思う。
小春 ウチら、今まで女の人の意見ってあんまり取り入れてこなかったから。
もも 周りのスタッフさん、男の人が多かったしね。
小春 だから今回のレコーディングで男の人と女の人の感じ方の違いに気付けたのはよかったよね。
もも うん。私たちもその違いに気付けなくなってたからね。
小春 そもそも自分が普通の女の子をやってこなかったから(笑)。だから普通の女の子がどんな感じにグッとくるのか、わからなくなってたし。
──「『貴方』はいなかった」という妄想オチみたいな終わり方もいいですね。
もも 最初はそういう終わり方じゃなかったんですけど、こういうふうになって、より共感しやすくなりましたね。私の好きなフランス映画に「愛してる、愛してない…」っていうのがあるんですよ。「アメリ」のオドレイ・トトゥが出てる映画。それも妄想過剰すぎる女の子の話で、それに通じる世界観があるからこの歌も大好きなんです。
──あと、小春さんのアコーディオンがひさしぶりにシャンソンっぽい感じなのもよかったです。
小春 なんかヨーロッパな感じだよね、うん。ひさしぶりに。
スラスラスイスイスイってできた
──続いて3曲目が「スーダラ節」。これはもともと好きでカバーしようと?
小春 「スーダラ節」をやろうというよりは、あのへんの日本の曲をなんかやってみようぐらいの感じだったんですよ。初めは「『スーダラ節』はいろんな人がカバーしてるからなあ」って言ってて。
もも 私も「スーダラ節」というと、EGO-WRAPPIN'(の中納良恵)のイメージがあったので。もちろんほかにもいろんな人が歌ってるから、どうなのかなって思ってたんだけど。
──それで、そのままメロディを歌わずに語りっぽくしたと。
小春 そうそうそう。同じようにやったところで絶対比べられるから。だから「これは別ものですから」っていう。ほかの人と同じ土俵に上がるのをやめたの(笑)。で、アレンジはいつの間にかこういうふうになっちゃいましたって感じ。あんまり考え込まないほうがうまくいくだろうと思ったからね。だから2人でリハやってみて、もうそのまま、スイスイと。
──スーダララッタと(笑)
小春 そう(笑)。スラスラスイスイスイってできた。レコーディングもめっちゃ早かったよね。2回目にやったのを使ったっていう。
──それにしても青島幸男さんのこの歌詞は本当に素晴らしいなって改めて思う。この感じって理解できますか?
小春 これってやっぱり男の人の性格だなあって思う。曲としてすごく面白いけど、共感できるっていうのとは違うかな。小春はね。そういう意味で「フランスかぶれ」と対照的だよね。「フランスかぶれ」は男の人からすると「ふーん」ぐらいな感じなんだろうけど、逆に「スーダラ節」の歌詞は女の人からすると「へえー、こういうものなのか」ぐらいの感じじゃないかな。
──僕の友達はこの歌を生きる指針にしてますよ。
もも ああ、そういう方いますよね。前にライブのあとお客さんと話したときも、同じこと言ってました。
小春 「私は“フランスかぶれ”派」「オレは“スーダラ節”派」っていうふうに、男女で分かれそうだな、このCD。
- メジャーデビューシングル「忘れかけてた物語」 / 2014年7月9日発売 / avex trax
- CD+DVD / 1728円 / AVCD-83037/B
- CD / 1080円 / AVCD-83038
CD収録曲
- 忘れかけてた物語
- フランスかぶれ
- スーダラ節
- 私の宇宙
DVD収録内容
- チャラン・ポ・ランタンが行く!【Profile Video】
- 忘れかけてた物語【Music Video】
チャラン・ポ・ランタン
1993年生まれのもも(Vo)と1988年生まれの小春(Accordion)による姉妹ユニット。2009年に結成。2010年8月に「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン」名義でアルバム「ただ、それだけ。」をリリースする。2012年6月にはZAZEN BOYS、group_inouらとのカナダツアーを大盛況に収めるなど海外での活動も多数。2012年9月に、約2年ぶりの新作アルバム「つがいの歯車」を発表すると同時に、ももが20歳の誕生日を迎える2013年4月9日までに3枚のアルバムをリリースすることを公約。各作品で話題を振りまき、2014年7月にシングル「忘れかけてた物語」でエイベックスからメジャーデビューを果たす。