ちゃんみなが求めるのは血が通った「本物」の個性、新曲「NG」とプロジェクト「No No Girls」への思い語る (2/2)

SKY-HI「今ガールズグループオーディションをやらないとダメ」

──「NG」は「No No Girls」でタッグを組んでいるSKY-HIさんには聴かせたんですか?

SKY-HIに送ったら感想じゃなくて、自分で作った曲を送り返してきたんですよ(笑)。

──そもそも「No No Girls」をSKY-HIさんと一緒に立ち上げたのはどうしてだったんでしょう?

SKY-HIが「今ガールズグループオーディションをやらないとダメだと思う」と強く言ってきたんです。私は正直、キャリア的にまだ新人のつもりだったので「早くない? 今やるの?」って返したんですが、SKY-HIとしてはとにかく今やるべきだという気持ちが強くあったみたいで。いつの間にか私のスケジュールが押さえられて(笑)、どんどん話が進んでいったんです。でも、やるからには責任を持ってやろうと思いました。

──SKY-HIさんが立ち上げたBMSGは先ほどちゃんみなさんがおっしゃったような、血が通っていて、本当の声を聞かせられるアーティストを多く生み出していると思うのですが、そういった動きには共感しますか?

もちろん共感しますね。「No No Girls」については私がプロデューサーを担っているので、審査についても私が中心になって進めています。

──1月末に応募が締め切られましたが、7月上旬の現段階ではどういう状況なのでしょう?

審査を進めていて、今は合宿前の段階ですね。

──予想を上回る応募の数があったそうですが、審査を進める中でどんな手応えを感じましたか?

出会えてよかったなと思える才能を持った方がたくさんいました。オーディションを初めて受けた方や、「募集段階でちゃんみなさんのメッセージを知ったから受けました」という人がとても多かったんです。自分の気持ちが伝わった気がしてうれしかったですね。

ちゃんみな

──審査をする中で新たな発見はありましたか?

10代中盤から20代前半くらいの女の子たちは感情がすごく活発なんだないうことに気付きました。感情が一番ダイナミックな時期。泣くときは大泣きするし、すべてに対して本気なんですよね。私もそうだったし、「美しいな」と思いました。私はそういう時期にいろいろなことを言われたことでたくさんの曲が書けたので、思う存分いろいろなことを感じてほしいと思います。でも、嫌なことも苦しいこともすべてを100%で受け止めてしまうことでうまくいかなくなってしまう子もいると思うので、そこは私がしっかりサポートしてあげなければいけないなと思いました。応募者には本気で向き合っています。

──応募者のそういった性質を踏まえたうえで、審査の内容を決めていくのでしょうか?

そうですね。一番大事にしていることは、歌やダンスがうまくできた、できないということよりも、その子がどういうふうに練習時間を費やしたか、何を伝えたかったかということです。「自分らしくやってほしい」ということを一番口にしています。それは私が大事にしていることでもあるので。

正直なアーティストだけ残ったらいい

──ちゃんみなさんは「No No Girls」の動画で「クリエイティブファーストであることをできているアーティストはどれくらいいるのだろう?」というようなことを言っていました。そういった危機感はいつ頃から持っていたのでしょう?

この話は賛否両論あると思うんですが、SNSが中心になってから、それを意識するアーティストが増えていったことは大きいと思います。ほかにも、ここ数年でいろいろなことが変わっていきましたよね。アーティストのあり方も変わって、昔で言うカリスマ的な存在が生まれづらくなり、とにかく中毒性のある楽曲が優先されるようになった。流行ったものや曲を模倣するような動きが目立ってきていると思っています。あと「個性的」という言葉を「変なことをする」というふうに捉えている人がけっこう多いんですよね。例えば、きゃりーちゃん(きゃりーぱみゅぱみゅ)に対して「個性的」っていう言葉を使う人は多いけれど、きゃりーちゃんは別に変なことをしているから個性的なわけじゃなくて、ちゃんと自分の個をエンタメに落とし込んでいるから個性的なのに、意味をはき違えてしまっている人がいます。

──自分の意志がある本物かどうかということが大事というか。

言いたいことを言えばいい、やりたいことをやればいいということでもないんです。人間として血が通っていることをやることが大事。そうでないとAIでもできてしまう。「人間としてのあなたの血はどういうものなのか?」ということが、ちゃんとエンタメに落とし込まれているかどうかを私は大切にしたいんです。

──「No No Girls」を通じて作ろうとしているガールズグループの一番の軸はそこ、ということですね。

そうですね。

──まだ合宿前の段階ということですが、ご自身のプロデューサーとしての資質についてどんなふうに捉えていますか?

昔から自分のことを客観視するタイプなので、向いているとは思いますね。

ちゃんみな

──「No No Girls」というオーディションが立ち上がったことに対して、ちゃんみなさんがプロデュースすることに対する期待の声が多く上がっていました。期待されていることは実感していますか?

それは感じますね。

──「No No Girls」によって音楽シーンがどう変わったらいいと思いますか?

正直なアーティストだけ残ったらいいなと思います。

──「NG」が完成したのは5月ということですが、5月頭に行われた「AREA OF DIAMOND 2」の追加公演では、「なんで私ばかりNGを突き付けられるんだろうと思う中で、音楽が大好きだった幼い頃の自分を取り戻したくなった」と言っていました。「NG」の歌詞とのリンクも感じましたが、「AREA OF DIAMOND 2」は自分の中でどういう位置付けのライブなのでしょう?

底力が上がった感じがします。あのライブでより強くなったと思いますね。

──「あなたはありのままで美しい」をテーマにしていた前回のツアー「AREA OF DIAMOND」から一転して、「AREA OF DIAMOND 2」では「絶対に許さない」がテーマに据えられました。そこには自分にはトラウマがあり、許せていない人がまだたくさんあるということに気付きがあったそうですが、「NG」ができた今、改めてその変化はどうして起きたんだと思いますか?

弱い自分を受け入れることが本当の強さだと思った。だから「NG」みたいな曲ができたんだと思っています。

プロフィール

ちゃんみな

日本語、韓国語、英語を巧みに操るトリリンガルラッパー / シンガー。2017年にメジャーデビューを果たす。2019年に10月に東京・日本武道館、2023年3月に神奈川・横浜アリーナでワンマンライブを行い、2024年4月には神奈川・ぴあアリーナMMでの2DAYS公演を成功させる。同年6月にASH ISLANDとのコラボ曲「20」をリリースし、7月7日にASH ISLANDとの結婚と第1子妊娠を発表した。