音楽ナタリー Power Push - 「チェインクロニクル3」

ナノ「チェインクロニクル3」インタビュー

ゲームの世界と“チェイン”する、入魂の新曲

ポジティブな部分を描くことでユーザーとリンクできる

──アニメ映画「チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~」のエンディング曲「PARAISO」は、ゆよゆっぺさんの作曲によるロックチューンですね。

「チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~」の1シーン。

実は「HAVEN」よりも「PARAISO」のほうを先に作っていたんですが、WEST GROUNDさんと違う作家さんにお願いしたのはひさびさだったのですごく新鮮でしたね。デモを聴かせてもらったときは「メロディが素直だな」と思いました。WEST GROUNDさんは2番で少しヒネったりする傾向があるんですが、「PARAISO」はすごく素直なイメージだったというか。レコーディングも普段とは違う気合いが入りましたね。

──ゆよゆっぺさんとは以前から交流があるそうですね。

そうですね。デビュー前からつながりがあって、1stアルバム(「nanoir」)にも楽曲を提供していただいて。最近はBABYMETALさんに楽曲を提供していたり、すごく活躍されてるじゃないですか。自分にとっても「負けたくない」という原動力になるし、刺激をもらってます。こうやってひさびさに曲を書いてもらえたのもうれしいですね。

──「PARAISO」の歌詞からもハッピーなパワーが伝わってきました。

これもすごく前向きですね。「PARAISO」はパラダイスのことなんですが、「HAVEN」とは違った要素を引き出すことで、「チェインクロニクル」と連なりたいという気持ちがあって。チェンクロの世界には苦しいことがたくさん起こりますが、それでも主人公は喜びや幸せ、愛情といったものに向かって進もうとしていて。自分としてもそういうポジティブな部分を描きたかったし、そうすることでチェンクロのユーザーの方ともリンクできるのかなって。自分も内心ではポジティブな人間だと思っているし、自由に歌詞を書くと自然に前向きな歌詞になっていくんだなって思いました。

──サウンドやメロディに引っ張られているところもある?

「チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~」の1シーン。

うん、すごくあります。最初にデモを聴くときは「作詞しよう」という気持ちではなく、先入観を持たずに聴くようにしていて。そこで浮かんでくる色、映像、キーワードをメモして、ストーリーを作って歌詞につなげることが多いんですよね。今回の場合はもちろんチェンクロの世界観を重視していたわけですが、書いているとどうしても自分の思いが出てきて。資料や台本を読ませてもらった段階からすごくリンクできていたし、楽曲の制作を通して自分自身のテンションも上がっているんですよ。映画もすごく楽しみですね。たぶん何回か映画館に行くと思います。

──「チェインクロニクル」のユーザー、ファンの皆さんの反応も楽しみですね。

はい。今はクオリティの高いタイアップ曲がたくさん存在しているし、ユーザーの皆さんもそういう楽曲を聴いているので、ハードルはすごく高いと思うんです。期待を下回ってしまうとガッカリされるだろうし、「もういいや」って聴かれなくなることもあるだろうなって。自分も大好きな映像作品の中で流れる楽曲がピッタリだったら涙を流すほど感動するし、感情的になりますからね。逆に「いまいちパズルが合っていないのかな」というときは、その作品自体によくない影響があるような気もしていて。今回の「HAVEN」「PARAISO」は、自分としてはチェンクロとすごくリンクできているつもりだけど、曲を聴いたユーザーの皆さんがどう反応するのかはわかりませんからね。今や冷や汗をかきながら待ってる感じです(笑)。

国境を越えて、誰が聴いても楽しめる音楽をやりたい

──ナノさん自身の活動についても聞かせてください。ニューシングル「DREAMCATCHER」のリリースを皮切りに、2017年2月に発売されるシングル、5月に発売されるフルアルバム、夏に行われるツアーなど2017年の5周年アニバーサリーに向けた企画が次々と発表されていますね。来年のビジョンはもう明確になっていますか?

「チェインクロニクル3」で舞台の1つとなる賢者の塔のイメージ。

自分としてはゴールにたどり着くだけではなく、作る過程も大事だと思っているんですね。5周年に関しても今から決めつけるのではなくて、作っている過程の中で得たもの、吸収したものを反映させていきたくて。もちろんザックリとしたイメージはありますが、できあがったものがどうなるかはまだわからないんです。そこは自分でもすごく楽しみですね。

──2016年も海外でのライブを積極的に行いました。ナノの音楽が海外でも浸透している実感もあるのでは?

そうですね。海外でライブをして、現地のお客さんが日本語で歌ってくれているのを聴くと、すごくビックリするし、感動するんですよ。特に今年はそのことを強く実感したし、5年間やってきてこんなに知ってくれる人が増えたんだなって思いましたね。もともとワールドワイドに活動したかったし、国境、バウンダリー(境界線)を越えて、誰が聴いても楽しめる音楽をやりたくて。初めての国、初めてのステージに立たせてもらうたびに、すごく得られるものがあるんです。それを次に生かしていきたいですね。

──「HAVEN」「PARAISO」もこの先のナノさんのライブで大きな武器になりそうですね。

ライブで早く歌いたいんですよ、ホントに。コール&レスポンスできるところもあるので、お客さんもすごく盛り上がってくれるんじゃないかなって。チェンクロを通して曲を聴いて、もし気に入ってくれたら、ぜひ生で聴きに来てほしいです。自分もライブが大好きだし、イヤフォンで聴くのとはまったく違って臨場感がありますから。

──最後に「チェインクロニクル」のユーザーの皆さんにメッセージをいただけますか?

音楽、楽曲というのは、作品をより彩って、楽しませるためのお手伝いだと思っていて。楽しんで聴いてもらえたらうれしいし、歌詞の中にリンクできる部分を見つけてほしいなって思います。そうやってみんなで“チェイン”(つながる)できれば素晴らしいですよね。

ロールプレイングゲーム「チェインクロニクル3」
「チェインクロニクル3」

伝説の義勇軍が人々に託した、どこまでも続く真っ白な未来—あの戦いから5年、はじまりの大陸ユグドで新たな主人公たちの物語が刻まれる。

映画「チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃~第1章」2016年12月3日(土)公開
「チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃~」
「チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃~」

©SEGA / チェンクロ・フィルムパートナーズ

最果ての大陸ユグドに現れた暗黒の魔物“黒の軍勢”。ユーリ率いる義勇軍は黒の軍勢に破れ、世界のすべてを記述した本「チェインクロニクル」の半分を奪われてしまう。王都から撤退する中、ユーリたちはたった1人で黒の軍勢と戦う少年と遭遇する。

ナノ ニューシングル「DREAMCATCHER」 / 2016年11月2日発売 / FlyingDog
ナノver. [CD] 1296円 / VTCL-35244
アニメver. [CD] 1296円 / VTCL-35245
ナノ
ナノ

アメリカ・ニューヨーク州出身。日本語と英語を使い分けるバイリンガルシンガー。2010年にYouTubeなどの動画サイトに、洋楽曲などのカバーの投稿を始め、国内外問わず多くの音楽、アニメユーザーの支持を集める。 2012年3月にデビューアルバム「nanoir」(ナノワール)をリリース。2013年5月には、ドイツ・デュッセルドルフで行われたジャパニーズカルチャーコンベンション「DoKomi」に招待され、ライブ会場キャパ満員の1500人を集客した。その後も精力的に作品をリリースするほか、国内外で多数のライブを開催している。2016年11月からは2017年3月のデビュー5周年を記念した5大企画をスタート。11月にシングル「DREAMCATCHER」を発表したほか、2017年2月に第2弾シングルを、5月にアルバムをリリースする予定。2017年夏には全国ツアーを開催する。