音楽ナタリー Power Push - 「チェインクロニクル3」
ナノ「チェインクロニクル3」インタビュー
ゲームの世界と“チェイン”する、入魂の新曲
セガゲームスより、スマホ用の本格RPG「チェインクロニクル3」がリリースされた。このゲームは仲間との出会いで物語がつながっていく「チェインシナリオ」で人気を博している「チェインクロニクル」シリーズの最新作。12月3日からはゲームの世界をアニメ映画化した「チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~」の劇場公開も行われる。
ゲームのリリースと映画公開を記念し、音楽ナタリーでは「チェインクロニクル3」のオープニング曲「HAVEN」、「チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~」のエンディング曲「PARAISO」の作詞と歌唱を担当したナノにインタビュー。“チェンクロ”への思いや、「HAVEN」「PARAISO」の制作について語ってもらった。
取材・文 / 森朋之
自分の中に本当の強さを持つことが大事
──ナノさんの楽曲「HAVEN」が「チェインクロニクル3」のオープニングテーマ、さらに「PARAISO」が「チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~」のエンディングテーマに使用されます。ナノさんは「チェインクロニクル」に対して、どんな印象を持ってましたか?
もちろん作品自体は知っていたし、イラストも見たことがありました。だから自分が楽曲を担当することになったときは、緊張してたんですよね。「こんなに大きな作品とタイアップできるんだな」と思って。すでに存在している作品で、たくさんのユーザーの方がいらっしゃるので「どういう楽曲だったら受け入れられるだろう?」ということも考えましたね。自分のファンからもすごく大きな反応があったんですよ。ファンの方の中にもチェンクロのユーザーがいて、自分が楽曲を担当することに対する喜びの声が伝わってきました。
──ナノさん自身も“チェンクロ”の世界観をより深く知るきっかけになったのでは?
そうですね。チェンクロは“苦しみの中の希望に向けた戦い”というイメージが強くて。仲間との連結がすごく大事な要素になっていたり、一貫して“強さ”というものをすごく感じました。ただ戦うだけではなく、自分の中に本当の強さを持つことが大事なんだな、と。共感できる部分も多かったですね。敵と戦うよりも、自分との戦いのほうが難しいと思うんですよ。1人ではなく、仲間がいてくれることで初めて自分と向き合えることも人生の中にはいっぱいあって。現代の世界と共通しているところもすごくあるんですよね。
チェンクロは難しいけど続けたいゲーム
──では、それぞれの楽曲について聞かせてください。まず「チェインクロニクル3」のオープニングテーマである「HAVEN」は、ナノさんの楽曲を数多く手がけているWEST GROUNDの作曲によるナンバーです。どんなテーマで制作された楽曲ですか?
「チェインクロニクル3」は今までのチェンクロと少しイメージが違うというお話を聞いていたんですね。例えば“白”というキーワードだったり、そこからつながる希望や前向きな明るさだったり。「HAVEN」もそのイメージで制作しました。
──現代的なロックサウンドでもあり、エキゾチックな雰囲気もあって。不思議な手触りの楽曲ですよね。
今まであまり歌ったことがないタイプの楽曲だと思ったし、自分としても新しいチャレンジでしたね。歌っていてすごく気持ちいいんですよ、この曲。ナノというアーティストにはアグレッシブなロックのイメージがあると思うんですが、「HAVEN」のように前向きになれる曲も実は大好きで。レコーディングもすごく楽しかったですね。自然と踊りたくなるというか、体が動き出す感じもあって。歌詞もすごくポジティブなんです。「HAVEN」というのは“避難する場所”“逃れられる場所”というイメージなんですが、それもチェンクロの世界観に合っていると思います。
──なるほど。ちなみにナノさんにとっての「HAVEN」とは?
やっぱり家ですかね。外に出るのも好きなんですが、一番ホッとできるのは自分の部屋だったりするので。時間帯でいうと朝の4時。ここ1年くらいはすごく早寝早起きで、10時くらいに寝て、4時くらいに起きてるんです。一緒に曲を作る作家やアレンジャーは夜型の方が多くて、夜中の2時、3時くらいにデモが送られてくることが多いんですね。自分は4時過ぎには起きてるから、送ってもらったデモを聴いて、朝8時くらいに歌詞を送ったり。制作に関してもいい流れができてますね。
──ちなみにナノさん、チェンクロをプレイしてみました?
はい、やっています。実はRPGは得意じゃなくて、今までやってみたゲームはすぐに飽きてしまってたんですけど、チェンクロはずっと続いてますね。人間らしさが感じられるストーリーだし、自分とすごくリンクするキャラクターもいて。やっていると自分もチェンクロの一部みたいな気持ちになってくるんですよ。絵柄もいいし、声優さんもすごく豪華だし、いろんな要素が相まって、すごく惹かれています。自分にとってはすごく難しいゲームなんですけど、もっと続けたいですね。そういえばバンドメンバーの1人もチェンクロにすごくハマっていて。タイアップが決まる前から好きだったみたいで、自分がチェンクロの楽曲を歌うこともすごく喜んでるし、「ヤバいよ!」って言ってます(笑)。
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伝説の義勇軍が人々に託した、どこまでも続く真っ白な未来—あの戦いから5年、はじまりの大陸ユグドで新たな主人公たちの物語が刻まれる。
最果ての大陸ユグドに現れた暗黒の魔物“黒の軍勢”。ユーリ率いる義勇軍は黒の軍勢に破れ、世界のすべてを記述した本「チェインクロニクル」の半分を奪われてしまう。王都から撤退する中、ユーリたちはたった1人で黒の軍勢と戦う少年と遭遇する。
- ナノ ニューシングル「DREAMCATCHER」 / 2016年11月2日発売 / FlyingDog
- ナノver. [CD] 1296円 / VTCL-35244
- アニメver. [CD] 1296円 / VTCL-35245
ナノ
アメリカ・ニューヨーク州出身。日本語と英語を使い分けるバイリンガルシンガー。2010年にYouTubeなどの動画サイトに、洋楽曲などのカバーの投稿を始め、国内外問わず多くの音楽、アニメユーザーの支持を集める。 2012年3月にデビューアルバム「nanoir」(ナノワール)をリリース。2013年5月には、ドイツ・デュッセルドルフで行われたジャパニーズカルチャーコンベンション「DoKomi」に招待され、ライブ会場キャパ満員の1500人を集客した。その後も精力的に作品をリリースするほか、国内外で多数のライブを開催している。2016年11月からは2017年3月のデビュー5周年を記念した5大企画をスタート。11月にシングル「DREAMCATCHER」を発表したほか、2017年2月に第2弾シングルを、5月にアルバムをリリースする予定。2017年夏には全国ツアーを開催する。