ナタリー PowerPush - Caravan
「自分らしくあるために」本音で語る1万字インタビュー
Slow Flow Music / HARVEST
リスナーにとっての定番になりたい
──最後になりますが、自主レーベルの今後の展望とかありますか?
新人発掘とか、Caravanの妹オーディションとか……ってことは全く考えてないです(笑)。
──あははははは(笑)。
基本的にはパーソナルレーベルだし、自分の作品を作るための個人商店っていうか屋台みたいなものだからね。大規模な展開とか派手なことやろうということはなくて、だからこそ柔軟にやっていけるかなって。ひょっとしたら配信で曲を発表するかもしれないし。自分で自由にできる分、そこは自分で責任を持つし。自由と孤独を手に入れた感じかな。あと「あそこのラーメンうまいよ」って言われる感じというか、リスナーにとっての定番になっていけたらいいですよね。
──レーベル名の「Slow Flow Music」ってご自分の曲名からとったんですよね。「Slow Flow」ってゆっくり漂うという意味ですけど、これはレーベルのコンセプトなんですか?
ゆっくりがいいことだとは思ってはないんだけど、メジャーの展開の仕方ってリリースから1カ月が勝負みたいな忙しない雰囲気があって。だけど20年前に誰かが作ったレコードを、今の俺が好きになることもあるわけで。もちろん作ったものを早く届けたい思いはあるんだけど、一過性のものじゃなくて、ゆっくり漂うように、いつでも聴ける音楽であったらいいなっていうか。時代とともに消耗されてしまうんじゃなくて、1年に1枚でも2枚でもいいから、誰かの手に届くような作品を作っていきたいなって。
──以前あるアーティストが「いつか出会う誰かのために音楽を作ってる」って言ってて、それに近い気がしました。
そうだね。それだけでやってると、事務所は大変だと思いますけど(笑)。音楽ってアーティストにとって生き写しなところあるじゃないですか。特にシンガーソングライターなんて孤独だし、いつも丸裸なんですよ。それがリリースして1年とか2年で作品が廃盤になっちゃうと、自分を否定されたような気持ちになるし。あと、さっきのサーフミュージックの話じゃないけど、自分のわからないところで勝手に盛り上がったりすると不安になっちゃうんだよね。誤解されている気がして。だから大きな規模ではないかもしれないけど、丁寧に音楽を作って、長い時間をかけて自分で届けに行くっていうのが目標ですね。
収録曲
- Birds on strings
- The sound on ground
- The story
- You make me free
- Saraba
- Imagination
- New world
- ひかりのうた
- On the road again
Caravan ~Making of The Sound on Ground~
Caravan / On the road again【MUSIC VIDEO】
Caravan(きゃらばん)
1974年生まれの男性シンガーソングライター。幼少時代を南米ベネズエラで過ごし、高校時代からバンド活動を開始する。ギタリストとしてライブやセッション、リミックスワークへの参加など幅広い活動を展開。2001年からソロアーティストとしての活動をスタートさせる。全国各地を旅しながら弾き語りライブを行い、2004年に1stアルバム「RAW LIFE MUSIC」をインディーズレーベルからリリース。2005年10月にはシングル「DAY DREAM / Dynamo」でメジャーデビューを果たし、以降もコンスタントにリリースを重ねる。独自の視点で綴られた歌詞、エバーグリーンなサウンドで幅広く支持を獲得。また、YUKIの「ハミングバード」「WAGON」、SMAPの「モアイ」など、他アーティストへの楽曲提供も行っている。2012年春、7年間所属したrhythm zoneを離れ自主レーベルSlow Flow Musicを設立した。同年6月にニューアルバム「The Sound on Ground」をリリース。