音楽ナタリー PowerPush - キャラメルペッパーズ
インタビュー解禁!“共感SONG”ができるまで
キャラメルペッパーズが新作ミニアルバム「『こっち恋よ、ぎゅーしてやるから。』」をリリース。ナタリーではこれを記念してメンバー3人にインタビューを実施した。
これまで「ウェディングSONG」「LINE既読なのに返信こないSONG」など一風変わった曲名と共感できるストレートな楽曲で人気を集めながらも、一切取材を受けてこなかった彼ら。そんな3人に今作の制作エピソードはもちろん、顔を隠して活動する理由や今の音楽シーンへの思いなどたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 笹森健一
「~SONG」=キャラメルペッパーズ
──最初アルバム名や曲名を見たとき、正直コミックバンドかと思ったんです。
PASSER あはは。フザけてやってんのかと(笑)。
──実際はそうじゃないですよね。
PASSER もちろん。真剣にやってますよ。
──ではなぜ「失恋SONG」とか「さくらSONG」とか、一見フザけて見えるような曲名をつけているんでしょうか?
PASSER もともとユニット名をダサくしたいなっていうのがあったんですよ。曲はもうできてて真面目に歌ってたから、ギャップを作りたいなと。
RYO あとほかのグループと並んだときに、アルファベットのカッコいい感じと一緒になっちゃうと目につかないんで、カタカナでダサいのが入ってたら引っかかるかなと。
PASSER そういう感じでキャラメルペッパーズというユニット名が先にできて。曲が完成するまで仮タイトルをつけてデータでやりとりしてて「失恋SONG」の仮タイトルが「失恋SONG」だったんですよ。それで、1stアルバムの曲が完成して、タイトルどうしようかってミーティングしてるときに「失恋SONG」は「失恋SONG」でいいんじゃないかみたいな話になって。確かに「失恋SONG特集」とかって聞くけどそのまま曲名にしているのいないなって。
RYO 意外とね。
PASSER いっそのこと全部「SONG」つけちゃえば?みたいな、ノリっぽいところから始まったんです。ただその流れで、例えばラジオとかで「キャラメルペッパーズ」っていう名前は聞こえなかったとしても「『~SONG』でした」っていうのが聞こえただけで「あ、キャラメルペッパーズの曲ね」ってわかるくらい、「~SONG」=キャラメルペッパーズが浸透していけばいいなって思って、今は意地でつけてます。でもいまだにこうやって聞かれるっていうことはまだまだがんばんなきゃいけないな。
──すみません(笑)。
RYO でもみんなそうやって質問してくれるんで、こっちの意図してるところに引っかかってくれてるなって思います。
ケツメイシの歌詞が刺さった
──そもそも3人がこのユニットを始めたきっかけは?
PASSER もともと僕とYUICHIくんがバンドをやっていて。バンドではいわゆるサンプリングミュージックと生の楽器を混ぜる音楽を中学高校くらいからずっとやってたんですけど、なんかやりつくした感じが出てきて。で、新しくユニットをやろうと思ってたときに友達の紹介でRYOと出会い、第一印象でいい声してるなって思って「一緒にやらない?」と声をかけて始めました。
──声で判断したということは、新しいユニットでは歌モノをやろうと決めてたんですか?
PASSER もともと音楽が好きになったきっかけって洋楽で。レッチリ(Red Hot Chili Peppers)とか。歌詞を聴くっていうより、音で聴いちゃう人だったんですよ。なんだけど、ある日、ケツメイシさんの「涙」とか「東京」っていう曲を聴いたときに、「あれ? 歌詞がなんかスゲー刺さるなあ」と思って。ちょうどそのとき、自分も人の人生に関わる音楽を作りたいなって思ったときで、たまたま時期が重なっちゃって。歌詞を重視して、元気になるきっかけになるとか人の人生に関われたら幸せだなと思ったんですよね。で、サウンドは生のバンドじゃなくて打ち込みにしようと。もちろん生楽器も入れてますけどね。
──結成から4年経ってもやってる音楽が全然ブレないですよね。もしかして最初から3人の中でコンセプトみたいなものを決めてから走り出したんじゃないかなと思ったんですけど……。
PASSER そうです。もうドストレートな曲、ドストレートな歌詞でいきたいっていうのは特に僕が作る曲には強くて。もし同じカテゴリに分類されるアーティストさんがいるなら、その中で何かしら突き抜けたいっていうのがあって。だから振り切ろうと。普段ブルーノ・マーズ聴いて朝起きてるし、ジャック・ジョンソン聴いて海行ったりとかしてるけど、キャラメルペッパーズでやることは違うだろうと思ってるから。そこは割り切ってますね。
──それまでレッチリを聴いてた人にとって、キャラメルペッパーズのストレートすぎる曲って照れくさくなかったですか?
PASSER ないです。もちろんこういうストレートな音楽も好きでやってるんで。誰かにこういう曲をやれって言われてるわけでもなく、全部自発的に作ってるんで。ほかにもやりたいことがあるかって言われたらあるかもしれないけど、キャラメルペッパーズでやることではないから、そこはブレないです。
──ほかの2人も、そこは同じ気持ちですか?
RYO そうですね。
YUICHI 特に「ウェディングSONG」でいろんなところから反響があったっていうことが、自分たちにとってその方向性を押し進める一歩にもなった気がします。
PASSER あと、みんながやってないことをやってみたいっていう好奇心がすごいあった時期にTwitterに出会って。アーティストが発売前の歌詞をつぶやくのって誰もやってないよなって思ったんです。すごい厳密なこと言っちゃうと、発売した自分の曲の歌詞をつぶやくことすら問題あるらしいんですけど、だったら発売してないやつをつぶやいてやろうと思って。どんどん歌詞的なものをつぶやくようになったら、リツイートとかすごい数いくようになって、「あ、この方向性ってズレてないんだな」って思いました。
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- ミニアルバム「『こっち恋よ、ぎゅーしてやるから。』」/ 2014年10月8日発売 / HILLS RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] 2592円 / POCS-9170
- 通常盤 [CD] 1944円 / POCS-1190
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CD収録曲
- 心配すんな、お前以外の女興味ねぇから SONG
- 青春 SONG ~YELL~
- おっぱい SONG
- 今日まで流したキミの涙が明日への笑顔にかわりますように SONG
- すべて抱きしめて SONG
- ボクの夢中は死ぬまでキミだけだから SONG
- 皆で行こうぜ●●● SONG feat. きゃらふぁみ
初回限定盤DVD 収録内容
- 可愛くなるSONG
- LIFE SONG
- 告白SONG
- 1%☆SONG
- 道~自分が自分らしくある為に~SONG
- アンコール:ウェディングSONG
キャラメルペッパーズ
PASSER、RYO、YUICHIからなる、横浜と横須賀在住の3人組音楽ユニット。作詞、作曲、アレンジ、レコーディングのすべてを自らこなす。“スタンプアーティスト”と名乗り、ライブ以外では素顔を隠して活動をしている。2010年に発表した1stミニアルバム「LOVE LOVE LOVE SONGS」の収録曲「ウェディングSONG」が、YouTubeで再生1100万回を超え、レコチョク「感動のウェディングSONG」ランキングでユーザー投票3位を獲得するなど話題を集めた。またオフィシャルTwitterによる“歌詞ツイート”も人気を呼んでいる。2013年発売の1stフルアルバム「LOVE LOVE LOVE SONGS 4 & BEST!」がロングヒットを続けるなか、2014年10月にミニアルバム「『こっち恋よ、ぎゅーしてやるから。』」をリリース。