ナタリー PowerPush - CANTA

ベテランロッカー3人組が鳴らす 電子音 meets ハードロック

元聖飢魔IIのルーク篁(Vo, G)、雷電湯澤(Dr)とアニメタルなどで活躍したMASAKI(B)からなるロックトリオ、CANTA。彼らがバンド結成から12年目を迎えた今年、最新作「My Generator」をリリースした。そのサウンドは、4つ打ちのビートやシンセサイザーといったエレクトロミュージックの要素とハードロックを融合させた意欲的な仕上がり。日本ハードロック界にて長いキャリアを持つ彼らが、ここへきて従来のイメージを覆すようなサウンドを提示したのはなぜなのか? その理由や各曲の聴きどころについて、3人にじっくりと語ってもらった。

取材・文 / 伊藤大輔

もっと冒険してみようと思った

──少し話をさかのぼると、CANTAは一昨年に活動10周年を迎え、現在は結成12年目です。もうバンドとしても中堅どころといった感じですね。

MASAKI そうですね、それぞれのキャリアはもっと長いけど(笑)。一昨年の少し前くらいから、10周年に向けての意気込みが出てきて、ライブの数を増やしていって。

雷電湯澤 一昨年と去年だけで46本くらいライブをやったかな。

──10年間の活動を経て、原点回帰的にライブへの欲求が高まったということですか?

MASAKI それはあるかもしれない。

ルーク篁 僕自身はもともとライブが好きなので、原点回帰したという感じでもないですけどね。個人的に「バンドはライブでしょ」という気持ちがあるし、ライブが楽しくて。本当は毎晩ライブをやりたいけど、実際は土日じゃないと集客が厳しかったりもする。それでも10周年に向けたチャレンジとして、平日にも少しライブを入れてみたらわりとうまくいったんです。今やっている規模で回るくらいなら無理なくできるので、今後はもっと本数を増やしたいと思っています。

MASAKI 個人的にはとにかくライブの本数が増えたぶん、ブッキングがうまくなりましたね(笑)。以前なら会場間の移動ルートに無駄があったけど、最近のツアーのブッキングは完璧です(笑)。

ルーク篁 10年間やってきて、周りのスタッフとの連携もうまくいくようになったんでしょうね(笑)。

生きたロックになっている

──では最新作「My Generator」について伺います。本作ではシンセや打ち込みのサウンドを導入していました。そういったサウンドを取り入れた経緯は?

ルーク篁(Vo, G)

ルーク篁 音源の販売方法として、配信でのリリースが増えてきたのが一因です。僕らの世代は常にアルバムを見据えてシングルを出したりしていましたが、今は1曲単位でアーティストが扱われるようなところもあるし、いろんな音楽が出ては消えるサイクルも早くなっている。だから「こういう音楽しかやらない」というスタンスより、サウンド的な間口を広げた方がいいと考えるようになって。

──なるほど。

ルーク篁 具体的なサウンドの遍歴としては、今回の流れは前作アルバム「セヴン」からあって。「セヴン」のリード曲の「To be Continued」という曲はキックを4つ打ちにして、イントロにピアノを入れていたんです。最初は自分でもこういったアレンジに戸惑いがあったんですが、ライブで演奏してみたら意外に違和感がなくて。それならもっと冒険してみようと思って作ったのが今作でした。

──ハードロック系のギターバンドとして活動してきた方々は、やっぱり4つ打ちや電子音を取り入れることに違和感はあるものですか?

雷電湯澤 いや、まったくないね(笑)。普段打ち込みの音楽を聴くことはないけど、バンドでやるにあたって実際にドラムを叩くのは自分だから。ファンクをやるような感覚で演奏してますよ。

──ちなみにCANTAの楽曲は、すべてルークさんが作曲しているんですよね?

ルーク篁 はい。これまでは1人でひたすらメロディをひねり出していたんですが、今作ではメロやフレーズのアイデアが降ってくる感じもあって、それに頼ることも多かったです。

──では、最初にルークさんからこういった方向性を提案されたときは、ほかのメンバーの方はどう思いましたか?

雷電湯澤 ルークは曲を作ったら「はい、この曲やるから」ってデモを渡してくるんですけど、こちらとしては「かしこまり!」っていう感じですね。曲に対して意見を言ったりすることもないですし。

MASAKI まあ4つ打ちといっても生の演奏が乗っているし、作品としては“生きたロック”になっていますから。

──そもそも「To be Continued」のようなタイプの新しい曲をライブで演奏したときは、お客さんの反応はよかったんですか?

ルーク篁 ええ。今回はレコーディングとライブが並行するスケジュールだったので、ダンスミュージック的なサウンドを取り入れた冒険曲はまずライブでやって反応を伺えたんです。正直最初に人前で演奏したときにフィーリングは普通だったのですが、あとからいい反応が返ってきたので、「こういう路線もやってよかったかな」と勇気付けられましたね。

8thアルバム「My Generator」 / 2013年7月10日発売 / 3000円 / CNTA-003
8thアルバム「My Generator」
収録曲
  1. HEAVEN'S WAITING
  2. Forgiveness
  3. Flower Song
  4. Round and Round
  5. Goo-Choki-Pah
  6. Fantasize
  7. Born to Love
  8. Happy End
  9. Make My Day
  10. Heartbeat
  11. Gone
CANTA(かんた)

元聖飢魔IIの構成員のルーク篁(Vo, G)と雷電湯澤(Dr)、アニメタルなどで活躍したMASAKI(B)によって2002年に結成された3人組バンド。メロディを重視したハードロックサウンドや一筋縄ではいかないアレンジ、随所に散りばめられたメンバーの円熟した演奏などで人気を博し、卓越したライブパフォーマンスにも定評がある。2002年に1stアルバム「EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT」をリリースして以降、コンスタントにアルバムを発表。結成6周年の2008年にはロックとバラードにわけた2枚のベストアルバム「きらきら」「めらめら」を発表。さらにデビュー10周年となった2012年には7thアルバム「セヴン」をリリースした。またこのベストアルバム発売に伴い行われたツアー「CANTAの10周年! THE創業祭“Amazing Days”」のツアーファイナルである東京・Shibuya O-EAST公演はDVD「120414 LIVE!」として発売された。2013年7月に8thアルバム「My Generator」をリリースした。