buzz★Vibes×ZAQ|3人とリスナーで作り上げた“一期一会”の歌

一歩踏み出すのか、もしくは引くのか

──シングルにはbuzz★VibesとZAQさんそれぞれのオリジナル曲も収録されています。この2曲についても教えてもらえますか?

ZAQ じゃあまずは、buzz★Vibesのお二人の「ガンバリング」から。

森久保 ギャンブリング(「GAMBLING」)だよ! 「ガンバリング」なわけないでしょ(笑)。

ZAQ 最初、「ガンバリング」に空目したんですよ!

森久保 (笑)。この曲はbuzz★Vibesらしさもありつつ、これまでとは違う要素も入っている曲ですね。

Shinnosuke タイトル曲とは真逆の雰囲気にしたくて、ユーロビートをテーマにしました。これはもともと、プロデューサーも含めてbuzz★Vibesでやりたいことを考えていたときに出たアイデアの1つです。当時のイタロディスコやユーロビートのようなハイエナジー系の雰囲気で作っていきました。今回はそれを今風にアップデートするというよりも、「当時を知っている人がやるとこうだよ」という形で振り切っていきました。

ZAQ カッコいいですよね!

森久保 「One Time, One Meeting」とは違って、buzz★Vibesでこれまでやってこなかった要素を加えて、思い切り遊びました。ユーロビートで、どこか懐かしい部分もありつつ、アッパーな雰囲気というよりは、少し妖艶な楽曲になっていて。歌詞については、音からDead or Aliveのようなアーティストを想像したこともあって、「〇〇 or 〇〇」というものにしたいと思ったんです。そこでいろいろと考えた結果、“伸るか反るか”“一か八か”というイメージがハマる「GAMBLE」だと、その雰囲気を表わせるんじゃないかと思いました。新しい場所を前にして、一歩踏み出すのか、もしくは引くのかによって、恋愛、人との関係性、仕事、人生といったあらゆることが決まっていきますよね。例えば今回のコラボレーションでも、一歩踏み出したからこそ、「One Time, One Meeting」が生まれたわけで。そういうことを女性との夜の駆け引きに例えて、歌詞にしています。

左から森久保祥太郎、ZAQ、Shinnosuke。

才能を“小宇宙”に例えて

──一方、ZAQさんの楽曲「microcosmos」についてはいかがでしょう?

ZAQ buzz★Vibesのお二人とはまた違うものにしようという意味でも、クールなテクノ、ハウスでいこうと考えていきました。“熱い”“カッコいい”ではなくて、クールで涼しげな曲……例えば、MONDO GROSSOのような曲にしようと思っていました。それでストリングスとアコギを差し込んで、リズムも縦を感じるものにしています。今回はストリングスを生で差し込めたのもうれしかったです。レコーディング直前に、室屋大先生(室屋光一郎)が奇跡的に空いているとわかって、生のストリングスを入れていただきました。

森久保 すごくカッコいいよね。

Shinnosuke 英語のボーカルがいいと思った。Monday満ちるさんみたいな雰囲気で。

ZAQ 普段はこんなに英語の歌詞を入れることがないので、超がんばりました(笑)。詞については……ZAQに来るお便りの中で多い悩みが、クリエイションに関することなんですよ。みんな才能を持っているのに、「これを作る勇気がありません」「これをするのが怖くて」というお便りがとても多くて。だから、その背中を押せるような、勇気を出してもらえるような曲にしようと思いました。そこで、自分の内にある才能を“小宇宙”を意味する「microcosmos」に例えて、その宇宙をもっと外に見せて、輝かせてほしいという歌詞を考えていきましたね。スペーシーでありつつ、女性らしさも感じられるような曲にしたいと思っていました。

Shinnosuke ZAQは優秀です。

ZAQ buzz★Vibesのお二人ももっと真面目な曲でくると思ったんですけど……。

森久保 いやいや、俺たちも真面目にやってるよ!(笑)

Shinnosuke 祥ちゃんの軟派なところが出てるってことかも。

森久保 今回のスプリットシングルは3曲それぞれに違って面白いですよね。

──次に楽曲でコラボレーションする機会があれば、どんなことをしてみたいですか?

ZAQ

ZAQ 「One Time, One Meeting」ができたことで、いろいろなことができるようになったと思うので、ふざけた曲もやってみたいですね。「One Time, One Meeting」は森久保祥太郎、Shinnosuke、ZAQという3人それぞれのカラーがすべて入った曲だということを考えると、それすらも捨てるような曲も作ってみたいです。

Shinnosuke 演歌とか?(笑)

ZAQ やりますか?(笑) COMA-CHI×KREVAの「1 on 1 feat. KREVA」みたいな男女カップルがケンカをする曲もいいですよね。

森久保 「馬鹿いってんじゃないよ」(ヒロシ&キーボー「3年目の浮気」のフレーズ)って。

ZAQ そうそう、そういう歌(笑)。

森久保 スウィングしたジャズもいいかもしれないですね。もうちょっと大人の悪さを見せられるような曲とか。

ZAQ ああ、いいですね。大人ならではの、品のある悪い曲。

Shinnosuke また機会があったら曲作りがんばります(笑)。

「こんな楽しいお兄ちゃんお姉ちゃんっていいよな」と思ってもらいたい

──今回制作を共にしたからこそ聞きたいのですが、お互いにクリエイターとしてどんな魅力を感じていますか? 

ZAQ 最初に少し言いましたけど、私の場合は「Shinnosukeさんと森久保さんだ! わあ!」というところから始まっていて。元々Shinnosukeさんのファンでしたし、森久保さんも「ランティス祭り」(ランティス所属アーティストが一堂に会するライブイベント)で初めてライブを観させていただいたときに、「こんなにカッコいいライブをするんだ」「いつか曲を書かせてもらいたいなあ」と思っていたんですよ。「microcosmos」の歌詞にもありますけど、「小さな予感 信じたなら 奇跡を呼ぶんだ」ということですね。何が起こるかわからないなと思いました。成熟したお二人だからこそ頼りたいと思える部分もありますし、兄貴のような存在ですね。助けてもらいながら、ずっと付いていけたらいいなと思っています。

Shinnosuke 真面目だなあ(笑)。ZAQとは曲だけではなくて、ラジオを通して人間性も知ったうえで一緒に曲が作れたことがすごくよかったですね。ただ、まだライブを一緒にやれてはいないので、そこでようやく全容がわかるのかなと思っているんです。3人でぜひライブをやってみたい。

ZAQ ライブ、やりたいですね。(人差し指をかざしながら)「One Time, One Meeting」なんて、今からもう、こんな光景が見えてますよ。

──Shinnosukeさんには、クリエイターとしてのZAQさんはどう見えているんですか?

Shinnosuke すごく優秀だし、今回の制作でもいろいろと助けてくれたんですよ。音大を出ていてアカデミックな素養があって、アレンジも作詞も作曲もできる。そのうえ、祥ちゃんともボーカリスト同士として、自分とは違う関係性で会話ができるんですよね。一度トラックを投げれば、細かい部分は一緒に作っていくにしても、「あとは任せるよ」ということが安心してできました。もちろん、祥ちゃんは祥ちゃんで、自分で曲も作れる人ですけどね。

森久保 いやいや、やっぱり2人の会話は「ミュージシャン同士の理に適った会話だな」と思って見てました。「すげえなあ」って。

ZAQ Shinnosukeさんのディレクションはすごく的確で、やっぱりドMになるんですよ! ここはこうだから、こうしたほうがもっとよくなると思う。もうちょっとこういう感じでできない?」と芯を食った話をしてくれるので、こっちも「ですよねえ! いひひひひ!」という感じでうれしくなってしまう(笑)。すごく幸せな時間でした。

森久保 僕は「ランティス祭り」で初めてZAQのパフォーマンスを観てカッコいいなと思って以来、ずっとご一緒できないかなと思っていたんです。しかも、それがラジオからスタートしたのは、本当によかったと思います。最初にZAQの人間性を知ることができて、そこから音楽という主戦場での姿を見たときに、「ああ、やっぱりカッコいいな」って。なので、ZAQは「まだまだいろいろ知りたいな」と思わせてくれる人ですね。今回1曲コラボレーションしましたけど、この一面だけではなく、もっといろんな面を見てみたい。

Shinnosuke やっぱり、アルバム作ろうか(笑)。

ZAQ そうですね! 森久保さんも作曲できますし、私が1人で歌ったり、Shinnosukeさんにメインボーカルをお願いしてもいいかもしれないし。いろんなことができそう。

森久保 もし実現した場合、「またグズグズやってんな」と思われないようにしないとね(笑)。とにかく、若い人に「こんな楽しいお兄ちゃんお姉ちゃんっていいよな」と思ってもらえるような、そんな遊びを提供できるファクトリーでいられたらうれしいです。

buzz★Vibes×ZAQ