自分たちで全部やっていなかったら、あそこで涙は流れなかった
──その後、2017年4月に今回のメジャーデビュー曲でもある「サクラエビデンス」を公開しました。BUZZ-ER.にとっては始まりの歌ですね。
SHUN そうなんです。当初はオリジナル曲が「サクラエビデンス」しかなくて、ここにすべてを懸けていたんですよ。そうしたら、共演者やファンの方の間でも「この曲、めちゃめちゃいい!」と評判になって。そんな思い入れのある曲を3年越しにメジャーデビュー曲としてリリースさせていただけるのは本当にうれしいです。
──そして、同じ月に「dot Fes」で正式な初ステージを迎えます。
CHIBA 懐かしいなあ。「dot Fes」はライブ活動のスタート、という感覚ですね。この日を境にブッキングイベントがどんどん増えていくんですけど、「これからやってやるぞ」という意気込みの詰まったライブでしたね。
SHUN ステージが狭くてお客さんとの距離が近いから、より緊張するといいますか。本当にステージ慣れしてなかったので、ちゃんとお客さんにファンサービスもできないし。
HAU 完全にロボットだったよね。今は「お前ら行けんのかー!」ってロックな感じで煽ったりするんですけど、あのときはステージ上でも人見知りが出ちゃってた。
SHUN うん、怖かった。
KOHEY それぞれの役割ができてなかったのも大きいよね。だから15分のステージをやりきるだけで精一杯でした。
SHUN MCもテンプレートで、ライブの告知くらいしか話せなかったもんね。
──そういった意識って、どのあたりから変わってきました?
HAU 僕は2018年4月にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでやった1stワンマン「Spring of Evidence」が大きいかな。1人ひとりが手紙を書いてきて、お客さんの前で発表する機会があって。そのときに初めてステージ上で泣いちゃったんですよ。「泣き顔を見せたから、俺はもうすべてをさらけ出す」という気持ちになりました。
──それはどういう涙だったんですか?
HAU なんか……うれし涙? そのほかにもいろいろと含まれてますね。この6人に出会えた喜びや、1年活動してこられた思いとか。
SHUN 当時はフリーだったから、全部自分たちでやらなければいけなくて。ライブ終わりに打ち合わせをしたり、深夜練習が終わって朝方にごはんを食べながら次の企画を考えたり、そういう歌やダンス以外のこともしなくちゃいけなかった。本当に下積み時代だったので、うれしさと悔しさと反骨精神がぐちゃぐちゃに混ざっていた涙だよね。
HAU うん。自分たちで全部やっていなかったら、あそこで涙は流れなかったと思う。
──フリーだと後ろ盾がないし、周囲とのつながりも一から作らなければいけない。
SHUN そこが一番大変でしたね。BUZZ-ER.は人見知りが多いので、人付き合いがうまくできなくて。ライブのブッキングも頭を下げて「出させてください!」とお願いすることも多かったので苦戦していました。
KOHEY HAUも言ってたけど、2018年から俺らの色が出てきた感じするよね。
やっと、ここまで来た
──そして、2018年9月にリリースした「CATCH THE DREAM」は初の全国流通盤であり、1万枚のセールスを記録しました。
YUYA この曲は“王道アイドル”な曲になっているんですけど、文字通り夢をつかむために取り組んでいくぞという内容になっています。初めてミュージックビデオを撮影したのもこの曲なんですよ。おっしゃる通りセールスもよかったですし、すごく印象深い1曲になっています。
──2019年は初めての東名阪ツアー「BUZZ-ER. Live tour 2019 "Break The Wall"」があったり、7月にリリースされた「Black or White」がオリコンデイリーシングルランキング7位、オリコンウィークリーシングルランキング12位を獲得したりと飛躍の年でしたね。8月のZepp Tokyoでは、SHALFさんが体調を崩されたため、6人でのステージも経験されました。
HAU リハーサルのとき、マネージャーに「ちょっと練習を止めて、集まってもらっていい?」と呼ばれて。何事だと思ったら、SHALFがドクターストップで出られないと。
SHUN あのときは相当悩んだよね。「6人でやっていいのか?」「中止したほうがいいんじゃないか」など、それぞれの葛藤があって。1人欠けたとはいえライブを待っているファンのみんなもいるし、本番3日前までどうするべきか決まってなかった。そもそもSHALFが舞台演出を担当していたので、「僕らが演出を変えていいのか?」という迷いもありました。
YUYA 立ち位置に関しても、本当は6人構成にしなければいけないと思うんですけど、SHALFのスペースを空けて7人でステージに立っているような見え方にして。気持ちだけでも全員でZepp Tokyoのステージに立っているつもりで歌いました。
SHUN 本当に一番大きな壁でしたね。あれを乗り越えることができたからこそ、結束力も意識も高まったと思います。
──そして12月に池袋サンシャインシティ噴水広場でメジャーデビューの発表をしました。あのときの心境はどうでしたか?
CHIBA 「やっと、ここまで来た」という気持ちでしたね。
──109で7人が集まったときから、すごく濃厚な時間を過ごしていますよね。
HAU 本当ですよね。出会って約3年と考えたら、高校生活をしているようなもんじゃん。今、第2の青春時代だよ。
SHUN 1stワンマンをやる前までは「1年くらいでBUZZ-ER.は終わるんじゃないかな」と思っていました。だけど気が付いたら1人も欠けることなく、目標にしていたメジャーデビューを迎えることができた。「あのとき踏ん張ってよかったな」って思います。
3年間の思い出が詰まった1曲
──メジャーデビューシングルの「サクラエビデンス」にはどういった思いが詰まっていますか?
SHUN やっぱり、結成から3年間の思い出が詰まった1曲ですよね。曲自体は男女の関係や友情を問わず、さまざまな形の「出会いと別れ」がテーマになっています。曲調もすごくさわやかで、誰が聴いてもスッと耳に残ると思います。
CHIBA 2曲目の「DAWN」はもともと今のものとは違うデモトラックがあったんですけど、レコーディング前日に「これは修正したほうがカッコよくなるから集まろう」と、深夜2時にみんなスタジオに集合して、歌詞も含めて徹夜で直したんです。直し終わったのが朝9時でレコーディングに行けず、日程を延期してもらった思い出があります(笑)。
SHUN 音はカッコイイ感じの曲調なんですけど、歌詞はエモーショナルで心にグッとくる内容になってます。
CHIBA 3曲目の「Still in love」は、最初は“夢”がコンセプトだった曲を僕がトラックメイカーさんと打ち合わせをしてラブソング調の内容に変えたんです。というのも、僕らはラブソングの持ち曲が少なくて、ほかの収録曲とのバランスも考えてこういうタイプの曲があったほうがいいんじゃないかと思って。ダンスミュージックらしいサウンドに、恋愛モノの歌詞を乗せているのが個人的にはツボです。
SHUN メンバーも満場一致で「この曲はめちゃくちゃいい!」となって、個人的にもCHIBAちゃんにLINEしました。
CHIBA メンバーにほめてもらえると、何よりもうれしさがあるというか。「これからも作品を作っていきたいな」という意欲が高まった作品でもあります。
HAU あと、この曲は朝起きてコーヒーを飲みながら聴くのもオススメですね。
──では最後にBUZZ-ER.の発起人であるKOHEYさんにお聞きします。メジャーデビューを迎えて、今はどんな気持ちですか?
KOHEY 全員違う個性を持っている人たちを集めたらいいグループになるんじゃないかと声をかけたら、本当にみんなが個性を発揮してくれて。今、僕が思っている以上のビジョンを見ることができているんです。いや、僕が当初描いてた目標をもう超えているかもしれません。なのでこれから先、このメンバーでもっと大きな夢を見ていきたいです。