「俺らが集まれば無敵じゃない?」
──ミニアルバムには中川翔子さんに提供した「フライングヒューマノイド」や、BiSHのアイナ・ジ・エンドさんがカバーした「屋上の空」など6曲が入っています。シングル曲が中心ですが、Buzz72+の楽曲ではない「フライングヒューマノイド」を選曲した理由は?
松隈 僕の個人的な思いもあるんですけど、「フライングヒューマノイド」はちょうどバンドがなくなる頃に原案を作っていた曲で。中川さんへの提供曲ではあるんですが、「十年後の未来が見える魔法があったらな…」というフレーズもあって、自分のバンドがなくなりそうなときの心情を歌った曲なんです。「WACK & SCRAMBLES WORKS」(2017年12月発売のコンピレーションアルバム)企画のときがちょうどバンド解散から10年後のタイミングだったのでプー・ルイたちに歌ってもらって、エモい気持ちになりました。今回Buzz72+復活のタイミングで、Buzz72+でセルフカバーさせてもらう形にしたのは、ハルのボーカルバージョンを発売したかったから。
──収録曲のうち1曲目の「Beret city」だけ井上さんの作詞になってますね。
井上 これは完全に僕の作詞というわけではなくて、松隈が書いた歌詞がもともとあって。
松隈 今回の作品を作るにあたってハルにリライトしてもらったんですよ。
井上 昔歌っていた歌詞の中にも大事にしたい部分が僕にもあったので、まったく新しい歌詞にはしてないんです。当時がむしゃらに活動してた4人が、時を経てこういう形で集まった。そういう今の焦ってない感じというか、苦悩を乗り越えてどうこうじゃなくて「俺らが集まれば無敵じゃない?」というようなニュアンスを歌詞に込めました。
松隈 ひさしぶりに再結成の話をするために会ったとき、正直不安もあったんです。でも今のハルは歌に自信を持てているし、「やっぱりインディーの頃って4人だったやん?」って俺が言ったときに、ぽろっと「そう。今思い返せばそんときの俺たち無敵やったやん!」と返してくれたんですよ。そのときの目が超カッコよくて、「確かに!」って納得した。この弱気なハルが「無敵やったやん、俺たち!」と言ったときの目も顔もすごく輝いて見えて。うちのボーカルはカッコいいな、うちのバンドはカッコいいなと改めて思った。今回の再結成で取り戻したいんです。福岡で活動していたときの無敵感を。
2020年、新生Buzz72+が13年ぶりに復活の狼煙を上げる
──Buzz72+の復活を飾る4月19日のライブイベント「サウンドスクランブル天神2020」では、BiSH、PEDRO、豆柴の大群などWACK所属グループがBuzz72+の再始動を彩ってくれますね。
井上 もう感謝しかないですね。
松隈 福岡のDRUM Be-1、DRUM SONの2会場で開催するんですけど、DRUM SONのほうでは2カ月おきに地元バンドを集めて「親不孝スクランブル」というイベントをやっているんです。今回の「サウンドスクランブル天神2020」はそれのグレードアップバージョンですね。あと「サウンドスクランブル」というのも、僕が何年か前に渋谷のライブハウスで東京のバンドと一緒にやってたイベントなので、今回それを福岡に持ち帰るという意味合いもあります。いつか「松隈フェス」をやりたいなと思っていたので、今回それの第1弾という感じで。
──出演者は松隈さんがサウンドプロデュースを手がける人気アーティストに加え、松隈さんが立ち上げた九州・沖縄地区限定のインディーズレーベルscramble edge関連のアーティストも出演するそうですね。
松隈 はい。scramble edgeの若手たちのほかにも、福岡で僕と関わりのあるアーティストを出してあげたいなと思ってます。イベントに関しては1年くらい前からWACKの渡辺社長に相談していて、快く「じゃあBiSHとかみんなで行きましょうよ」と言ってくれたので、この春にやっと実現するという。
井上 いやー本当にありがたい。
──復活の舞台で人気グループから地元の気鋭アーティストまで強力な対バン相手がそろいましたね。
井上 また俺の弱気が発動しそう(笑)。
松隈 そこで緊張するわけ?(笑)大丈夫か?
井上 緊張するのよー。
松隈 無敵なんやないの? まるで二重人格やな(笑)。
井上 あの話をした3分後にこれ言うのよ(笑)。でも大丈夫だから。
──新生Buzz72+として実現したいことや、今後の予定は?
松隈 とりあえず現状は4月の復活に向けて精一杯やっているところなので、まずは4月のライブを成功させることと、カッコいいミニアルバムを作ることが目標です。そのあとワンマンができるくらいに新曲を増やして、過去曲も引っ張り出しつつ、フルアルバムのリリースとワンマン開催までは今年中に絶対やりたいですね。それと福岡を中心にフェスやイベントにも出たいなと思っておりまして……これは交渉中です。アマチュアなので「出れんの!? サマソニ!?」みたいな企画にも出たい(笑)。僕ら究極のアマチュアバンドとして自主制作で再デビューしますので。
井上 ははは(笑)。
松隈 ほかの人の意見を入れないで、4人だけで1回やってみたいから。あー、ワンマンやりたい。
井上 うん。そうだね。
──4月に出るミニアルバムの収録曲以外もライブでは聴けそうでしょうか? 「ミリオンダラーベイビー」とか。
松隈 練習はしてますけど、復活ライブは尺がそんなにないのでどうなるかな。まっさらにして新曲で復活するほうがいいのかなとかいろいろ考えてはいたんですけど。
井上 そういう話もあったよね。
松隈 過去は捨てて新曲で復活ライブをやろうとも思ったんです。だけど昔のベスト的なものをまず1回皆さんに観てもらって、今の実力というか、今の俺たちの力で過去をもう1回やるっていうのはいいなと。
井上 そうだね。初見の人からすると、昔の曲も新曲になるだろうしね。
松隈 盛り上がったらいいね。復活に向けて絶賛リハビリ中です、バンドは(笑)。
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スクランブルズ新スタジオ見学ツアー
2020年2月25日更新