ばってん少女隊「九伝」インタビュー|オリジナルメンバーが語る結成10年目の進化と変化 (3/3)

どんどん進化していく「でんでらりゅーば!」

──アルバムの10曲目には「でんでらりゅーば!」を作曲したGuruConnectさんが自らリアレンジした「でんでらりゅーば!feat. Daoko」も収録されます。「でんでらりゅーば!」は長崎に伝わる手遊び歌をブレイクビーツに昇華した楽曲で、TikTokや有線きっかけで大きな広がりを見せました。狐耳の衣装や手遊びを取り入れたダンスがかわいらしい仕上りではあるものの、TikTokで流行しやすい王道アイドルソングとは趣が異なりますし、とても面白いバズり方だなと。

上田 なんだか知らないうちにTikTokでの再生回数が伸びていて。この曲がきっかけでライブで来てくださった方もいて驚きました。正直に言うと、ばっしょーのメンバーはTikTokがそんなに得意じゃないんですよ。特にこの4人は(笑)。そんな中、「でんでらりゅーば!」で希望が見えました。「こういう曲もTikTokで注目してもらえるんだ!」って。自分たちの想像以上に曲が広がりましたし、SNSに「『OiSa』の子たちなんだ!」というコメントがあるとうれしくなりますね。有線でもたくさん流していただいて、「OiSa」に続き皆さんの耳と頭を占領しています(笑)。

瀬田 「この曲懐かしい!」というコメントもたくさんあって、九州出身の仲間たちがいっぱい見つかります。手遊び歌の「でんでらりゅうば」は私たちくらいの年代にもすごく馴染みがあるし、学校で習ったりするレベルで九州の人なら誰でも知ってる歌なんです。

──「OiSa」もそうでしたけど、地方で活動するアイドルのバズり方として理想的ですよね。アルバムに新たに収録される「でんでらりゅーば!feat. Daoko」には作詞を担当したDaokoさんがラップ歌唱でも参加していて、伝統のある童謡がさらに進化しています。

上田 Daokoさんは、前に私たちのライブに出演いただいたことがあって。そのときは一緒に「でんでらりゅーば!」を歌ったんですけど、まさかこの曲にラップで参加いただけるとは思っていなかったので驚きました。

瀬田 バチバチのカッコいいラップを入れていただきました。

希山 最初に曲を聴いたとき、「あれ、こればっしょーの曲?」ってびっくりしちゃいました。

上田 歌詞もリアレンジされていて、「でんでらりゅーば!」の続きのストーリーが描かれてるんですよ。おっしゃる通り、「でんでらりゅうば」がとんどん進化しています。

福岡でさらに大きな存在になるための東京進出

──ばってん少女隊は新メンバーオーディションを開催中で、今後は九州の魅力を日本全国に届けるため、東京も活動拠点に加えるそうですね。これからも進化していく姿を楽しめそうですが、この変化の形をどのように受け止めていますか?

上田 正直、まだよくわからないことが多くて。

希山 想像ができない(笑)。

上田 私たちはわりと九州でのんびり活動させていただいていた部分もあるので、グループをもっと大きくするには東京への進出を視野に入れないといけないというのは理解しています。でも、私たちの今の独特な雰囲気は絶対に壊したくなくて。その思いはスタッフさんにずっと伝えています。

「BATTEN GIRLS TOUR 2024 -TRY-」の様子。

「BATTEN GIRLS TOUR 2024 -TRY-」の様子。

春乃 東京にはたくさんの人がいるじゃないですか。その中には今まで機会がなかったけど、もし出会ったらばっしょーのことを好きになってくれる人もまだまだいっぱい潜んでるのかなって。そういう方たちと出会える場をたくさん作っていければいいなと思います。

上田 東京のグループが私たち以上に大勢のお客さんを福岡で集めてたりすると、悔しくなるんですよね。九州の魅力を日本全国の方に知ってもらうため、ばっしょーが福岡でさらに大きな存在になるための東京進出なのかなと考えています。

春乃 うん。東京の力を借りて大きくなれたらいいですね。

──TikTokや有線を通してばってん少女隊のことを知って、普段曲は聴くけどライブは観たことがない、という人もかなり多そうです。そういう人たちを隊員にすべく、今まで福岡から蒔いていた種を回収しにいくターンなのかもしれませんね。

上田 ありがたいことに、今も福岡でライブをするとお客さんの半分、もしくはそれ以上が関東の方だったりするんですよ。きっとこの輪はもっと広げられるんだろうなと思います。なので、たくさんの方を“回収”して福岡に連れて行きたいです。

──オーディションについても気になるところですが、どんなメンバーが入ってくるかまだ詳細がわからない段階だと思います。新メンバーを迎えるのは2021年に蒼井りるあさんと柳美舞さんが加入して以来、2回目。2人は今回インタビューに参加していませんが、加入からの約3年間でかなり成長したんじゃないですか?

上田 2人ともグループに馴染むのがすごく早かったですね。昔の私たちと比べると最初から堂々としていたし、今はもう個性が爆発しています。すごくのびのびと活動してくれていますし、「メンバーのバランスがいいね」という声を聞くことも多いです。2人が入ってきてくれて理想の形になったのかなと思います。

蒼井りるあ

蒼井りるあ

春乃 りるあちゃんは自分の世界観を持っていて、いい意味で最初はあんな子だと思ってなかった(笑)。使う言葉や好きなものがすごくしっかり確立されていてブレないというか。美舞ちゃんもあのビジュアルからは想像できないひょうきんさを持っていて、そういうギャップもありつつ、歌声も唯一無二ですし、それぞれキャラが立っています。2人とも異なる魅力を持っているのが面白いです。あと、りるみゆが自撮りの文化をばっしょーに持ち込んでくれたんですよ。

──2人の加入前は、自撮りの写真を撮ることはあまりなかったんですか? アイドルと言えば自撮り写真をよくSNSに上げているイメージですが。

上田 恥ずかしくて、1人で自撮りをしたことがなかったんです(笑)。

希山 絶対に2人で撮ったり、メンバー全員で撮ったりしていました。

瀬田 りるみゆアイドルらしい部分をばっしょーに加えてくれました。

柳美舞

柳美舞

上田 例えばアンコールでステージに出るときも、絶対に前髪を直したり、リップを塗ったりしていて。私たちは「このままでいいか!」と思ってそのままお客さんの前に出ちゃうんですけど(笑)。

瀬田 TikTokとかも2人が先陣を切ってやってくれるので、いろいろ教えてもらっています。

──本当に絶妙なバランスの6人ですが、現体制のライブを観られるのも残りわずか。11月29日にはカルッツかわさき、12月7日には福岡のUNITEDLABで瀬田さんの卒業ライブが開催されます。

瀬田 今年最後の大きなワンマンになると思うので、この間のツアーからさらにパワーアップしたものをお見せしたいです。しっかりと6人の素敵な姿を見せれるように、そしてばっしょーのこれからにつなげていけるようなライブを作りたいなと思っています。

アルバム「九伝」クリエイター コメント

PARKGOLF
「My神楽」「あんたがたどこさ~甘口しょうゆ仕立て~」「BAIKA」作曲

PARKGOLF

今回のアルバム「九伝」ではすでにリリースされている「あんたがたどこさ~甘口しょうゆ仕立て~」「BAIKA」のほかに新曲の「My神楽」も作曲させていただきました。
3曲ともそれぞれ雰囲気が違い、別軸に突き抜けていてとても好き曲たちです。
新曲の「My神楽」には本当にさまざまな願いがこもってはいるのですが、とにかくその名の通り全員で歌って踊ってほしいです!

ASOBOiSM
「My神楽」作詞

ASOBOiSM

「My神楽」はより一層お客さんと一体になって楽しめる作品として、掛け声などたくさん盛り込みました。音源が完成形ではなく、ライブでお客さんたちの声が入ることで1つの作品になるのかなと思っています。
タイトル、テーマである「神楽」も人々が歌い、踊ってきたことで長きに渡りその文化や歴史、人々の想いが継がれてきました。ばっしょーちゃんの歌や踊りがこれからも受け継がれ、皆の心の中で生き続けてくれたらうれしいです。

渡邊忍(ASPARAGUS)
「it's 舞 calling」作詞作曲

渡邊忍(ASPARAGUS)

今回課されたお題はアルバムのテーマでもある日本神話であったり「新たな未来に向かって進む」という素敵なものでした。
今までだって彼女たちはファンのみんなと明るい未来を迎えるためにずっと進んできたし、これからもその想いは変わらない。
だからこそボクが今回ひっそりと一番伝えたかったことは「無駄じゃないよこれまでのヒストリー」でした。
それはこれからどの道に進んでも変わらないから。
てかこの曲、めっちゃよくない?

Daoko
「でんでらりゅーば!」「でんでらりゅーば!feat. Daoko」作詞作曲

Daoko

今回はばってん少女隊の皆様を巫女とし、
天空からの第三者目線でverseを蹴らせていただきました。
GuruConnectさんのサウンドがとにかく素晴らしい!
オリジナルバージョンより、声が近いような感覚があるので是非体感してみてください。

GuruConnect
「でんでらりゅーば!」「でんでらりゅーば!feat. Daoko」作曲

GuruConnect

M5、M10、「でんでらりゅーば!」2連発でアルバム参加してます。
M10「でんでらりゅーば!feat. Daoko」はトラックを全部作り変えた新作です。
「でんでらりゅうば」という童謡の持つどこか物悲しげなメロディを生かした大人なトラックとなってます。そこにDaokoの歌が追加されてさらに妖艶に化学反応が起きてます!
さらにミックスまですべてわたしが担当して鳴らしたい感じが表現できました。ご期待ください!!

ばってん少女隊 公演情報

ばってん少女隊 瀬田さくら卒業公演

  • 2024年11月29日(金)神奈川県 カルッツかわさき
    OPEN 17:30 / START 18:30
  • 2024年12月7日(土)福岡県 UNITEDLAB
    [第1部]OPEN 13:00 / START 14:00
    [第2部]OPEN 17:00 / START 18:00

プロフィール

ばってん少女隊(バッテンショウジョタイ)

スターダストプロモーション内スターダストプラネット所属のアイドルユニット。福岡営業所のレッスングループ、通称F-girlsとして活動を始め、2015年6月にばってん少女隊としての活動を開始した。2016年4月にシングル「おっしょい!」でメジャーデビュー。「BATTEN×DANCE×MUSIC(BDM)」という音楽活動の指針のもと名だたるアーティストを作家陣に起用し、2017年6月に1stアルバム「ますとばい」、2019年6月に2ndアルバム「BGM」を発表した。2020年に自主レーベル・BATTEN Recordsを立ち上げ、同年10月にアルバム「ふぁん」をリリース。中毒性の高いメロディや曲調が特徴のリード曲「OiSa」がロングヒットを記録した。2021年4月に蒼井りるあ、柳美舞が新メンバーとして加入。最新のテクノロジーとのコラボを積極的に展開し、2022年6月にリリースした新曲「虹ノ湊」ではソニーの立体音響技術を使った新しい音楽体験「360 Reality Audio」バージョンの音源も配信した。2022年10月に4thアルバム「九祭」、2024年11月に5thアルバム「九伝」をリリース。12月7日の公演をもってオリジナルメンバーの瀬田さくらが卒業することが決まっている。これに伴い、新メンバーのオーディションを開催。今後はさらに九州の魅力を日本全国に届けるため、東京も拠点に加えて九州と日本全国を“つなぐ”活動をしていく。