上田理子・希山愛・瀬田さくら インタビュー
同世代のクリエイターと作り上げる楽しさ
──「虹ノ湊」はラップボーカルと爽快なメロディが印象的な楽曲ですが、歌でこだわったところを聞かせてください。
上田理子 福岡に住んでるRin音さんだからこそ書ける歌詞で、福岡に住んでる私たちだからこそ歌える曲だなと思いました。夏が始まるワクワク感と、ぎこちない恋愛、都会への憧れ、もどかしさや切なさなどいろんな要素が含まれてるんです。ラップのレコーディングは何度も噛んじゃって難しかったですね(笑)。Rin音さんの歌詞や歌い方ってちょっと冷静な感じがあるので、歌に感情を出しすぎずに切なさみたいなものを表現できたらいいなと思ってがんばりました。
希山愛 最初は、「これ歌えるのかな?」と思いました(笑)。レコーディングのときは、余裕な感じを出しつつ、歌詞1つひとつにしっかり気持ちを乗せて、強弱を付けて表現することを意識しながら歌いました。楽しくてみんなで盛り上がれる曲になったと思います。
瀬田さくら 私は地元愛がとても感じられる歌詞だなと思いました。私たちと同じ世代の子って、大学に入って福岡から離れていく人たちが多いんです。でも、私は地元で過ごしていきたいって思ってるんですよ。複雑な気持ちもありつつ、「地元めちゃいいからいつでも帰っておいでよ」という思いで歌いました。
──ダンスは、18歳の振付師・cocoroyenさんが手がけられたそうで。
瀬田 今までは、曲も振付も年上の方に作ってもらうのが当たり前だと思ってたんですけど、今回、同世代のクリエイターさんに携わっていただいて。大人の方から教えていただくのとは違う感じで、一緒に作っている感じが強くてすごく楽しかったです。
上田 cocoroyenさんには基本的な振りを教えていただいたんですが、「自分たちが持ってるものをそのまま出してください」って、私たちにお任せしてくれたんです。今までそういう経験があまりなく、決まった振付をそろって踊るのが当たり前だったので、自分で考えて踊るのに最初は必死でした(笑)。でもcocoroyenさんは私たちがどんな感じで踊っても「いいですね」って褒めてくださって、演者に託す余裕がすごいなと感じました。想像力を働かせて考えるのが楽しかったです。
希山 「虹ノ湊」のダンスは、おばけをイメージした振りや自転車を漕いでる動きなど、かわいらしいところも見どころです。cocoroyenさんとたくさんお話をさせていただいたんですけど、「私は好きなダンスを好きなように踊ってるから、みんなも好きなように踊ってほしい」と言ってくださったんです。その言葉を聞いて、私も楽しんで踊りたいなと感じましたし、たくさんの方にその雰囲気を届けられたらいいなと思いました。
音楽ってこんな楽しみ方もあるんだ
──「虹ノ湊」を360 Reality Audioで聴いたときはどのような感想を抱きましたか?
希山 私とさくらは実際にソニーさんのスタジオに伺って、ほかのアーティストさんの曲で360 Reality Audioを体験させていただいたんです。初めて立体の音に触れて、鳥肌が立つくらい感動しちゃいました。音楽って耳に一直線に聞こえてくるものという印象があったんですけど、音楽が周りを回っていて「すごい!」と思いました。音だけなのに、映画を観てるようなドキドキ感がありましたね。「虹ノ湊」の360 Reality Audioバージョンはおうちでヘッドホンを使って聴いたんですけど、音が動いてるのがわかるんですよ。下から音がズシズシ体に響く感じもあるし、笑い声が右から左に飛んでいくのが伝わってくるし、すごく楽しいです。
瀬田 ソニーさんのスタジオでたくさんのスピーカーに囲まれて音を聴いたとき、上も下も横も全方向音に包まれて球体の中にいるような感じがしました。最初は、わかりやすく音が上から下に降りてきたりするのを感じたんですけど、そのあと音が遠くから近くに来たり、映画館みたいな臨場感のある音も聞こえたりして、本当にすごいなと感動しました。「虹ノ湊」をヘッドホンで聴いたときもすごかったです。それまで私は、音の立体感というものをあまり意識してなかったんですよ。でも、上から音が降り注いだり、低音が下から湧いてきたりするのを感じて、音楽ってこんな楽しみ方もあるんだと驚きました。本当に新感覚でした。しかも「虹ノ湊」は、歌以外のメンバーの声や波の音など、たくさんの音が聞こえてくるじゃないですか。いろんな音楽を聴いてる方でもこういう体験をする機会は少ないと思うので、ぜひ多くの人に聴いていただきたいです。
上田 私はスタジオ体験に行けなかったので、360 Reality Audioがどんな感じか想像するのが難しかったんです。でも、実際にヘッドホンでMVを視聴したときに、メンバーの動きと音がリンクしてることに驚きました。360 Reality Audioは、普通の音とも、ライブの音とも違って、自分だけが楽曲の世界に入り込んでいる感じがして思わず目をつぶって聴いちゃいました。もともと私は、ステレオで右と左から違う人の声が聞こえてくるのが好きなんですけど、360 Reality Audioはそれをさらに超えていて。声が近付いてくるのも、後ろに回り込んでくるのもわかるし、「こんなすごいものがあるんだ!」って新しい発見ができました。
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MVにはたくさんの“青”が映ってる