ばってん少女隊|福岡から宇宙へ!スケール感増シ増シの2ndアルバム+瀬田さくら全曲レビュー

ばってん少女隊が6月19日に2ndアルバム「BGM」をリリースした。

「BGM」は「BDMを確立させる踊れる宇宙組曲!!」をテーマにかかげた12曲入りのアルバム。ばってん少女隊の音楽活動の指針「BATTEN×DANCE×MUSIC(BDM)」を象徴する、小野武彦(KEYTALK)提供の「BDM」をはじめ、ユウキ(CHAI)が歌詞を担当した「Killer Killer Smile」、TAKUYA提供の「崇シ増シ×××物語」などが収録された、今のばってん少女隊が詰まった1枚となっている。

本作のリリースを記念して音楽ナタリーではメンバーへのインタビューを実施。6人の思いが反映された「Killer Killer Smile」をはじめ、アルバム収録の新曲についてはもちろん、見んしゃい盤付属のBlu-rayにも収録される、グループの転機になったという神奈川・カルッツかわさき公演「12.28川崎大会~Beginning Destruction Moratorium~」で得た実感についても語ってもらった。スケジュールの都合で欠席となった瀬田さくらによるアルバム全曲の紹介テキストも掲載する。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 曽我美芽

プロローグから始まるように……

ばってん少女隊

──ばってん少女隊は昨年10月に音楽活動の指針として「BATTEN×DANCE×MUSIC(BDM)」を掲げました。BDMを象徴する楽曲「BDM」を含む本作「BGM」の資料には「BDMを確立させる踊れる宇宙組曲!!」というキャッチコピーが踊りますが、このアルバムはずばりどんなアルバムになったのでしょうか?

希山愛 プロローグから始まるようにアルバム1枚で映画のような仕上がりで、どこか遠くの宇宙から来るメッセージのように楽曲が届くイメージになっています。

星野蒼良 どんな“映画”になるのかは聴く方の想像で変わってくる作品になっています。自分なりの物語を作ってもらえたらうれしいです。

──なるほど。さっそくカンペを読み上げていましたが……(笑)。

春乃きいな ごめんなさーい(笑)。

CHAIユウキがくれた等身大の歌詞

──収録曲の話も聞かせてください。3曲目に収録される新曲「Killer Killer Smile」はCHAIのユウキさん作詞の楽曲です。

星野蒼良

星野 私、CHAIさんが大好きなんです。だから今回歌詞を書いてもらえてすごくうれしくて。

西垣有彩 私もCHAIさんが大好きで、自分がもともと大好きなアーティストさんに歌詞を書いてもらえると聞いて「本当に!?」って驚きました。蒼良とフェスでCHAIさんのライブを観て一気にハマったんです。ライブでのユウキさん、すごく面白くてかわいかった!

星野 私たち、本当に女性としてユウキさんに憧れているんですよ。

──お二人が好きということもあり、今回の歌詞提供に至ったんでしょうか?

星野 ディレクターさんがお願いしてくれていたみたいで、たまたまです。だからよりうれしかったです。今回歌詞を書くにあたってユウキさんが私たちにアンケートを取ってくれたんです。

──そのアンケートはどんな内容だったんでしょう?

上田理子

上田理子 自分の好きなところとか、今の悩みとかハマってることとかいろいろな項目があって、それに答えました。

星野 その結果をもとに歌詞を書いていただいたので、今の自分たちに当てはまる歌詞になっているんです。最初に歌詞を読んだときに自分たちが言いたいことや思っていることが詰まっていて、「アンケートをやった理由はこういうことだったのか!」と感動しました。

──今のばっしょーにとって等身大の歌詞かつリアルな内容になったんですね。

希山 普段思っていても言えないようなことがこの歌詞には詰め込まれているなと思いました。歌っていてスカッとします。

西垣 「驚かせよう」とか「嫉妬させよう」とか、ちょっと強気な感じが入っていて今の私たちのことだと思いました。「この気持ち 強がり 困難ばかり ここから逃げてたまるもんか!」というところなんかは、いろいろあるけど、そんなことはポイッとして、前に進んでやるという気持ちが私たちらしいなって。

春乃 「ハートは枯れてないさ まとめてぜんぶ愛してやるー!」という歌詞がお気に入りです。めげない気持ちを「ハートは枯れていない」と表現して、いろいろイヤなこともあったけど「それを乗り越えてやってやるぜ」という思いを「まとめてぜんぶ愛してやるー!」と表現しているのがすごくカッコよくて気に入っています。

上田 私は「あこがれ 目指すつもりも 立ち止まる つもりはないの」というところが好きです。「あこがれ」は目指すものだと思っていたんですけど、それを自分たちで作り上げるんだという強い思いが込められているんだと気付いて。歌詞全体に今の私たちが本当に考えていることが反映されているので、同じ年代の人たちはきっと共感できるはずだし、大人には10代の気持ちを思い出して聴いてもらえるはずです。

感情を意識したレコーディング

春乃きいな

春乃 レコーディングで(瀬田)さくらが「ほら いつも愛をもらうのに でも 自分に期待できないの」と歌っていて、「いつもさくらはこういうこと言ってるな」と思って、ハッと気付いたんですけど、歌唱パートがアンケートの内容が反映されている部分に割り当てられてるんです。

──それはすごい発見ですね。皆さんもそうなんですか?

西垣 最初のほうの悩みのことは自分のことかなと思いました。

希山 自分のことかなと思うところはたくさんあるよね。

──今までの曲よりもエモーショナルな歌声に感じました。ユウキさんのフィルターを通してですが、皆さんの思いが詰まった楽曲だからこそ、感情のこもっているのかもしれませんね。

春乃 そうかもしれません。ボーカルのディレクションも、ミュージカルまでは行かないけど登場人物になりきって歌ってみてと言われたので、メロディに乗せることだけを意識するんじゃなくて、感情も意識して歌いました。

星野 サビは言葉の頭にアクセントを持ってきて歌ったので、力強い感じになったと思います。3人ずつで歌っているところもあるんですけど、そこはより力強さが出ていると思います。

希山 しゃくりを多めに入れたんですけど、今まであまりない歌い方だったので難しかったです。

西垣 難しかったけれど、抑揚を付けると気持ちが届く歌になると思ったから歌っていて楽しかったです。

春乃 ハモリも何回も自分の声に重ねていったりして、どんどん自分の声が自分の声じゃなくなっていく感じが新鮮でレコーディングは楽しかったです。