ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN
4人の言葉&AR座談会で読み解く「RAY」の物語
オープニングムービーでライブが始まる前のワクワクが増幅される
──今回のアルバム「RAY」のアートワークのアイデアが生まれた源泉の部分をまずは聞いていきたいんですけれども。この世界観は「GOOD GLIDER TOUR」のオープニングムービーからつながっているわけですよね。あの制作はどういうふうに始まったんでしょうか。
藤原 あれは完全にうちのプロデューサーの監督に対する無茶ぶりから始まったんですね。お忙しい時期だったのに。
山崎 ほんと、無茶ぶりでしたね(笑)。メビウスというフランス人のマンガ家がいるんですけど、「その人の世界観がBUMP OF CHICKENに合ってると思うんです」という話をして。そこから「いいね!」ということになり、メンバーもその人の絵を知っていたので「万が一絵を描いてくれたら、やりましょうか」みたいな感じで始まったんです。
藤原 最初は絶対ないと思いましたけどね。
山崎 巨匠中の巨匠ですからね。そしたら何を思ったかメビウスさんがうっかり描いてくれて(笑)。それで作ることになったんです。
──昨年のツアー「WILLPOLIS」でも山崎監督がオープニングムービーを制作されたわけですが、映像を導入したことによってライブの始まり方はどう変わったと感じてますか?
藤原 毎回あのムービーが始まると、やっぱり「これからステージだ」という気持ちが、自分たちの中でもすごく高まりますね。
升 カッコいいよね。何回も観てもそのたびにワクワクするし。それって、ライブが始まる前のみんなの気持ちでもあるんですよね。それが増幅されるような感じもありますね。
監督は誰よりも楽しんで作ってた
──そして今回のアルバムのブックレットでは山崎監督とAR三兄弟とのコラボが実現したわけですけれども。この制作はどんなアイデアから始まったんでしょうか?
藤原 まず、ARの技術を使って何か面白いことをやろうというところが始まりだったんです。そこから、ツアーのときに山崎監督に作っていただいたオープニングムービーの世界でストーリーを作れたらいいねということになって。
山崎 そこから一緒に「あれができる」「これができる」というアイデアを重ねていった。ワクワクしましたね。でも、思い返すと大変な日々でした(笑)。
直井 監督にオファーしたのが大作中の大作を撮っていた最中で、作っているときは次の映画の準備の真っ最中でしたからね。
──それは大変ですね。
藤原 最初は「CGでできる限りのことをやってみる」くらいの感じでしたもんね。
山崎 映像だったらなんとかやりましょう、と。ほかのところに頼まれちゃうのもシャクだしね。でも、次の打ち合わせになると「あれ、なんかやること増えてるんだけど……」みたいな(笑)。
直井 いやあ、本当に申し訳ない(笑)。
──山崎監督は映像だけでなく、ブックレットの中のコミック風のイラストも手がけられたわけですね。
直井 僕ら、監督が描くコンテの絵が大好きで。だからお願いしたんです。でも最初は、本当にお忙しいから、監督は下絵だけでほかのイラストレーターに描いてもらうかもしれないという話になって。
山崎 そのときは映画のロケハン中だったんで無理だと思ったんですけれど、結局ホテルに絵を描く道具一式を持っていって、自分で描きました。無茶ぶりだったんですけど、本当にオファーの内容が魅力的なんですよ。ブックレットが旅の物語を描いた長いマンガの一部みたいで、それがフランスのバンド・デシネというコミックのような感じになっている。めちゃくちゃカッコいいプランなんです。
藤原 ストーリーも何度かやり取りをして作っていきましたね。
山崎 基本的にはメンバーの皆さんがストーリーを考えてくれて、僕はそこにアイデアを提供したりしたんですが、その書いてくれたストーリーがまた素晴らしいわけです。だから、僕はこっちで違う遊び方で遊んでいるのに、向こうで遊んでいる子たちがすごくうらやましくなっちゃう(笑)。
藤原 監督が忙しいのも本当のことですけど、誰よりも楽しんで作っているのも本当のことですよね(笑)。楽しんでいなきゃこのクオリティに絶対ならないだろうというものが上がってくるんです。
直井 僕らが求めている最大を軽く超えるものが来るんですよ。
山崎 企画が魅力的なのがいけないよね(笑)。
- BUMP OF CHICKEN ニューアルバム「RAY」/ 2014年3月12日発売 / TOY'S FACTORY
- 初回限定盤[CD+DVD] 3900円 / TFCC-86456
- 初回限定盤[CD+DVD] 3900円 / TFCC-86456
- 通常盤[CD] 3059円 / TFCC-86457
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収録曲
- WILL
- 虹を待つ人
- ray
- サザンクロス
- ラストワン
- morning glow
- ゼロ
- トーチ
- Smile
- firefly
- white note
- 友達の唄
- (please) forgive
- グッドラック
初回限定盤DVD 収録内容
Music Video
- 虹を待つ人
- ゼロ
- Smile
- firefly
- 友達の唄
- グッドラック
2013.8.9 Live at QVC Marine Field
- Stage of the ground
- firefly
- 虹を待つ人
- プラネタリウム
- 花の名
- ダイヤモンド
- メーデー
- K
- 天体観測
BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)
藤原基央(Vo, G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって1994年に結成。地元・千葉や下北沢を中心に精力的なライブ活動を展開し、1999年に1stアルバム「FLAME VEIN」、2000年に2ndアルバム「THE LIVING DEAD」をリリースする。これが大きな話題を呼び、同年9月にシングル「ダイヤモンド」でメジャーデビュー。2001年にはシングル「天体観測」が大ヒットを記録し、ロックファンを中心に熱狂的な支持を集める。その後も人気を拡大させ、2008年には22万人を動員する大規模なツアーを成功に収めた。2010年に6thアルバム「COSMONAUT」をリリースし、2011年2月には「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ天使たち~」の主題歌に「友達の唄」を提供。同年12月から2012年7月にかけて約3年半ぶりのライブハウス&アリーナツアーを開催した。2013年3月に初のライブ映像作品「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012」、7月に初のベストアルバム「BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]」「BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]」をリリース。2014年3月12日には7枚目のオリジナルアルバム「RAY」をリリースする。藤原の書く情景描写に優れた文学的な歌詞、緻密に練られたバンドアンサンブルが大きな魅力。