ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN
4人の言葉&AR座談会で読み解く「RAY」の物語
メンバー×山崎貴×川田十夢(AR三兄弟)座談会
BUMP OF CHICKENのニューアルバム「RAY」にて、音楽と映像とAR(拡張現実)が一体になって物語を描き出すという試みが実現した。
BUMP OF CHICKEN、「ALWAYS 三丁目の夕日」や「永遠の0」を手がけた映画監督の山崎貴、そしてAR三兄弟という三者のコラボレーションにより、CDのブックレット内にて実現したこの企画。山崎監督が実際に描いたコミック風のイラストにスマートフォンやタブレットをかざすと、アプリ内にてAR(拡張現実)でイラストが動き出すという仕組みだ。
メンバー自身のアイデア、そして最先端の技術とクリエイティビティを駆使して実現したコラボレーション。その背景にあった思いを全員に語り合ってもらった。
いい作品を作る人は愉快な人
──まずは皆さんの出会いから振り返っていただければと思います。BUMP OF CHICKENと山崎貴監督が一緒にお仕事をしたのは「涙のふるさと」のときが最初ですよね。山崎監督が感じたメンバーの第一印象はどうでしたか?
山崎 気のいい若者たちだと思いました(笑)。
一同 ははははは!(笑)
直井 ありがとうございます。そう言ってもらえると(笑)。
山崎 すごく気さくに接してくれて、僕の緊張も解けて最初からいい感じでした。
──その後「ALWAYS 三丁目の夕日」の主題歌やツアーのオープニングムービーなど、コラボは多岐にわたっています。それを通してバンドのいろいろな面が見えていったのではないかと思うんですが、どうでしょう?
山崎 モノを作っている人ならではの妥協のない姿勢、「ここは譲らないんだな」という感じの頑固さはありますね。だから、普段の仕事とはまた違った刺激があります。いい感じにキャッチボールができて面白いんです。でも、本当に忙しいときに限って面白そうな仕事をくれるんですよ。これが大変で(笑)。
直井 申し訳ないです、はい(笑)。
──メンバーの皆さんはどうでしょう? 山崎監督の印象は?
藤原 僕らの曲をすごく大事にしてくれているというのが最初の印象で。まずそれがうれしかったんです。「涙のふるさと」という曲をCMに使っていただいたとき、その使いどころにもすごく愛情を感じて。「ALWAYS 三丁目の夕日」にもいつも感動をもらっていて。だからまず作品のファンですね。あと、最近はそれだけじゃなく人が面白いということがわかってきた。「この人愉快な人だな」って(笑)。
直井 あと、イケメンだなって(笑)。背が高くて声もよくてね。一緒にいて楽しい方です。
藤原 やっぱりいい作品を作る人は愉快な人なんだなっていう印象が最近はありますね(笑)。
最初からメンバーの中にARを使ってやりたいことがたくさんあった
──AR三兄弟の川田十夢さんとBUMP OF CHICKENの出会いは、去年のベストアルバムのリリースの際に「BOC-AR」というアプリを共同プロデュースしたのがきっかけですよね。メンバーの皆さんがAR(拡張現実)に興味を持ったきっかけは?
藤原 最初は、プロモーションの一環としてこういう技術を使って何かやってみたらどうだろうかというスタッフ側からの提案があって。面白そうだと思ってAR三兄弟さんと初めてお会いさせてもらったんです。それまでARというものは、正直よくわからなかったんですけど。
直井 なんとなくは知ってはいたんだけどね。
藤原 そのときに初めて目の前で「あんなこともできる、こんなこともできる」って見せてもらったんです。いたずらみたいな発想で、いろんなことを面白おかしく見せてくれて。ちなみに、この人は最初から愉快な人でした。見たまんまです。
一同 ははははは!(笑)
──川田さんはどういうふうにしてメンバーにARを紹介したんですか。
川田 まず、AR上でビームを出して、それが当たったお菓子がパンッと破裂するっていうのを見せたんですよ。そしたらみんな「面白い!」って喜んでくれて。それこそチャマは「すげえ! でもくだらねー!」って言ってて(笑)。でも藤くんだけは黙って見ていたんです。
藤原 「もっと見せて、もっと見せて」っていうワクワクドキドキする感じでしたね。現実にはないものが画面の中に現れるというのがカルチャーショックでした。
川田 そのときから「こういうことできない?」「ああいうことできない?」っていろいろ言ってきてくれて。そもそも最初からメンバーの皆さんの中にARを使ってやりたいことがたくさんあった。そのほんの一部が、ベスト盤のときに「BOC-AR」でやったことだったんです。
藤原 「こういう技術があったらこういうこともできるのかな?」とか、昔から「こうなったらいいのにな」って考えていたこともあって。ほかにもいろいろ「こういうこともできるんですか?」っていうことを話したりしました。「ちょっと考えさせて」ってときもあるんですけど(笑)。
川田 難易度が高いときはね(笑)。
藤原 でも絶対に「ノー」とは言わないんです。だから、まだ内緒なんですけれど、まだまだARで表現したいこともいっぱいあるんですよね。
- BUMP OF CHICKEN ニューアルバム「RAY」/ 2014年3月12日発売 / TOY'S FACTORY
- 初回限定盤[CD+DVD] 3900円 / TFCC-86456
- 初回限定盤[CD+DVD] 3900円 / TFCC-86456
- 通常盤[CD] 3059円 / TFCC-86457
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収録曲
- WILL
- 虹を待つ人
- ray
- サザンクロス
- ラストワン
- morning glow
- ゼロ
- トーチ
- Smile
- firefly
- white note
- 友達の唄
- (please) forgive
- グッドラック
初回限定盤DVD 収録内容
Music Video
- 虹を待つ人
- ゼロ
- Smile
- firefly
- 友達の唄
- グッドラック
2013.8.9 Live at QVC Marine Field
- Stage of the ground
- firefly
- 虹を待つ人
- プラネタリウム
- 花の名
- ダイヤモンド
- メーデー
- K
- 天体観測
BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)
藤原基央(Vo, G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって1994年に結成。地元・千葉や下北沢を中心に精力的なライブ活動を展開し、1999年に1stアルバム「FLAME VEIN」、2000年に2ndアルバム「THE LIVING DEAD」をリリースする。これが大きな話題を呼び、同年9月にシングル「ダイヤモンド」でメジャーデビュー。2001年にはシングル「天体観測」が大ヒットを記録し、ロックファンを中心に熱狂的な支持を集める。その後も人気を拡大させ、2008年には22万人を動員する大規模なツアーを成功に収めた。2010年に6thアルバム「COSMONAUT」をリリースし、2011年2月には「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ天使たち~」の主題歌に「友達の唄」を提供。同年12月から2012年7月にかけて約3年半ぶりのライブハウス&アリーナツアーを開催した。2013年3月に初のライブ映像作品「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012」、7月に初のベストアルバム「BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]」「BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]」をリリース。2014年3月12日には7枚目のオリジナルアルバム「RAY」をリリースする。藤原の書く情景描写に優れた文学的な歌詞、緻密に練られたバンドアンサンブルが大きな魅力。