ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN

のび太とリルルの友情から生まれた やさしく力強い「友達の唄」

昨年12月にリリースした、3年ぶりの6thアルバム「COSMONAUT」からわずか2カ月。BUMP OF CHICKENがニューシングル「友達の唄」を完成させた。寡作のバンドとして知られてきた彼らにとって、アルバムのリリース後にこれほど短いスパンで新曲をリリースするのは極めて異例。どうやら「COSMONAUT」に向かう過程で一気に高まった制作熱を現在も維持しているようだ。

「友達の唄」は長編アニメ「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~」のために書き下ろされたバラード曲。幼いころから「ドラえもん」をこよなく愛してきた彼らにとって、今回のコラボレーションは格別のものとなったという。今回のメンバー全員インタビューでは、「友達の唄」が完成するまでをじっくり語ってもらうだけでなく、多くのファンが気になっているライブや今後の制作についても話を訊いた。

取材・文/三宅正一

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アルバムと並行してできた「友達の唄」

──「COSMONAUT」からわずか2カ月でニューシングル「友達の唄」が完成しました。この曲がまた本当に素晴らしい。どこまでも音楽的なBUMPならではのバラード曲で。

一同 ありがとうございます!

──「COSMONAUT」の取材時にも「アルバムに入らなかった曲もあるし、引き続き新曲が生まれている」とみんなは言っていて。

藤原基央(Vo, G) そうでしたね。

──ただこの曲は「COSMONAUT」の流れとは独立した存在感を感じさせるんですよね。歌詞的にもサウンド的にも。

藤原 ああ、そうかもしれないですね。

──いつごろできた曲なんですか?

藤原 いつくらいだっけ?

升秀夫(Dr) アルバムの作業と並行してたよね。

直井由文(B) アルバムを録り終わったくらいにこの曲を録り始めていたんですよ。だから、言ってもらったようにアルバムのテンションとはまた違う部分があるんですけど、連続している感じもありますね。

藤原 「COSMONAUT」の収録曲で最後に書いたのが「三ツ星カルテット」だったんですけど、そのあとに書いたことになるのかな。

 そう、俺らがアルバムの作業をしているときに、藤くんはスタジオの会議室で曲を書いてたから。

増川弘明(G) ああ、そうだったね。

完全にのび太のことを考えて作った曲

──どういう心境で書いたんですか?

藤原 完全にのび太のことを考えていましたね。まず、きっかけとしては「鉄人兵団」の主題歌のオファーをいただいて。僕らとしても「ドラえもん」が大好きで、なかでも映画として公開される大長編に対する思い入れがすごくあるんです。大長編には甲乙つけがたい魅力的な作品がたくさんありますけど、そのなかでもオリジナルの「鉄人兵団」は僕らのなかで3本指に入るくらい好きな作品だったんですね。4人でも一緒に観たし。

直井 ちなみにこれは子供のころの話じゃなくて、今の話で。

──誰かの家で?

藤原 僕の家で観ましたね。DVDを買ってきて。

──主題歌のオファーをもらってから4人で集まって観たんですか?

直井 いや、話をいただく前ですね。

増川 そこは偶然で。

──ホントに!? 時期的には「COSMONAUT」のレコーディング中とか?

藤原 いや、もう少し前だと思います。でも、そんなに時期は離れていないですね。レコーディングが始まってなかったことは確かで。「のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)」も観たよね。

 うん。「鉄人兵団」とどっちを先に観たかは忘れたけど。

藤原 確か……誰かの誕生日とかクリスマスとか忘年会で集まったときにみんなで観たと思うんだよな。

──なんで「鉄人兵団」や「リトル・スター・ウォーズ」を観ようってなったんですか?

藤原 みんなで集まったときは、だいたいいつもの流れとして映画か好きなアーティストのライブDVDやドキュメンタリー作品を観ることが多いんです。音楽だとTHE BEATLESのときもあるし、映画だとSFモノが多いよね?

直井 うん、SFが多いね。

藤原 そのなかで「ドラえもん」も自然と候補に挙がるんです。その流れのなかで「鉄人兵団」と「リトル・スター・ウォーズ」を観て、感動して。そんなことがあったあとに「鉄人兵団」のオファーをいただいたんです。時期は2010年の頭くらいになるのかな。

直井 そこからなんとなくみんなの意識のなかに「鉄人兵団」の存在が根づいていって。

増川 あと、オリジナルの「鉄人兵団」が公開されたのが、僕らが小学校1年のときで。みんなすごく覚えているんですよ。そういう作品のリメイクの主題歌を担えるというのはやっぱりすごく大きなことで。

ニューシングル「友達の唄」 / 2011年2月23日発売 / 1050円(税込) / TOY'S FACTORY / TFCC-89333

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CD収録曲
  1. 友達の唄
  2. 歩く幽霊
BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)

藤原基央(Vo, G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって、1994年に結成。高校入学後に本格的な活動をスタートする。地元・千葉や下北沢を中心にライブを続け、1999年にインディーズからアルバム「FLAME VEIN」を発表。これが大きな話題を呼び、2000年9月にはシングル「ダイヤモンド」で待望のメジャーデビューを果たす。

その後も「jupiter」「ユグドラシル」といったアルバムがロックファンを中心に熱狂的な支持を集め、2007年には映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」主題歌に起用されたシングル「花の名」を含むメジャー3rdフルアルバム「orbital period」をリリース。2008年には全国33カ所41公演、22万人動員の大規模なツアーを成功させた。

2009年11月に両A面シングル「R.I.P. / Merry Christmas」を発表したあとは、精力的なペースで楽曲をリリース。2010年4月にシングル「HAPPY」「魔法の料理 ~君から君へ~」を、10月にシングル「宇宙飛行士への手紙 / モーターサイクル」を発売。12月には宇宙飛行士を意味する単語をタイトルに冠したアルバム「COSMONAUT」をリリースした。繊細かつ大胆なバンドサウンドと情感豊かな歌詞が多くのリスナーを引きつけ、絶大な人気を集めている。