超特急「Lesson II」インタビュー|“あるがまま”に醸す色香 9人で過ごした四季の先に (3/3)

思い出を1つひとつ積み重ねることができているという実感

──8月8日の“8号車の日”には、アルバム「B9」を引っさげての全国ツアー「B9 Unlimited」が終幕しました。9人体制としては初のツアーでしたが、終わってみての実感はいかがでしょう。

リョウガ 明確に、9人の絆を深めることができたツアーになったなという実感がありますね。ライブ全体としてもね、「B9」を引っさげて新しいことに挑戦する演出はもちろん、僕たち超特急らしい、いろんな表情を見せる起承転結を作れたと思います。お客さんの声出しができる状況にもなって、8号車とお互いに刺激を与え合いながら各地を回って、新体制1周年、そして8号車の日である8月8日に8号車に感謝を伝えながら締めくくることができたのでよかったなあと。それと同時に、途中体調不良があってフルメンバーで回れなかった場所もあったので、そこはちゃんと後日リベンジというか。改めて9人で行きたいなと思っています。

超特急

超特急

──ツアーを通しての皆さんの目標だったり、狙いみたいなものはあったのでしょうか?

ユーキ 今回のツアーは、超特急のカッコよさというところに一番重きを置いていたんです。初めて僕らのライブに来てくれた人にも、ずっと応援してくれている8号車にも「あ、超特急ってカッコいいんだな」と素直に感じてもらえる内容を目指して、“カッコよさ7割、くだけた感じ3割”みたいなバランスで構成を組んでいきました。

──そうだったんですね。

ユーキ デビュー当時、僕らは“カッコいい”をコンセプトに活動を始めたので、原点回帰の意味合いもあるんですよね。初心忘るべからずの思いと、ほかのアーティストと比べても見劣りしないカッコよさがあるんだぞという気持ちを大事にステージに立っていました。

──ツアー前と終わったあとで、メンバー間で何か変化や進化を感じるようなことはありましたか?

タクヤ これはツアーを通してというよりも新体制スタートから1年経っての変化かもしれないんですけど、1桁号車と2桁号車の間の距離はなくなってきているのかなと思います。より仲よくできてる。みんな何も気にせず和気あいあいとしてますし。違う言い方をするなら、2桁が生意気なんですけど(笑)。

一同 あはははは!

タカシ 怖っ。

リョウガ 表と裏! 怖~!(笑)

タクヤ まあでも、そんな感じですね(笑)。

──(笑)。シューヤさんはいかがですか?

シューヤ これは2桁のみんなともけっこう話していたことなんですけど、去年の年末のアリーナツアーや「宇宙ドライブ」(2022年10月リリース)のリリースイベントのときは、自分にファンがいることに実感を持てなかったというか。何をもって自分のファンになってくれたのか?というのがわからなかったんです。僕は過去にグループ活動をしていて、そのときにファンのみんなと一緒に関係性を作り上げていく過程を大事にしていたから、余計に……突然僕を応援してくれる人が増えたとき、「何を見てファンになってくれたんだろう?」って、頭の中にすっごいハテナが浮かんでしまったんですよ。

マサヒロ (頷く)

シューヤ それに、僕らは1桁の5人と比べて8号車との思い出が少ないわけじゃないですか。歌っているときにも、メッセージ性の高い楽曲なんかは特に……タカシくんの歌と自分の歌の違いというか、「誰に向けて歌っているのか?」というところを考えちゃって、すんごい悩んでいたんです。もちろん8号車に向けて思いを届けるために歌っているんですけど、歴が浅いから、どうしてもその“差”を埋められないと思ってしまっていた。そんな中で「B9 Unlimited」を迎えて……長いツアー期間の中でたくさんのライブがあり、8号車と会う機会があり。客席に降りて歌っているときにみんなと目が合う、その1つひとつのコンタクトでも、僕は思い出を1つひとつ積み重ねることができているなという実感があったんです。ツアー中にはいろんな困難もあったけど、みんなが言葉で支えてくれて、それを乗り越えたり。そうやって過ごす期間は、僕の中ですごくデカかったなと思います。だから、初日とファイナルとではちょっと違うものを届けられたと思いますし、これからもっと、みんなと思い出を作っていきたいですね。

左からカイ、シューヤ、リョウガ。

左からカイ、シューヤ、リョウガ。

左からカイ、シューヤ、リョウガ。

左からカイ、シューヤ、リョウガ。

9人が出会えたことの奇跡を、この曲で表現したい

──ツアーファイナルとなった8号車の日公演にフォーカスすると、この日は9人体制1周年という特別な日でもあり、ライブ内容もそれまでの公演とは少し異なっていました。さまざま印象深いシーンがある中でも、「a kind of love」が9人バージョンで初披露された場面が特に心に残っているのですが、なぜこの曲をこの日に届けることにしたのですか?(参照:超特急の新たなスタートから1年、始まりの地に響いた「本当に最高の仲間だ!」進化の確信胸に未来へ

ユーキ 「a kind of love」はある意味僕たちの“決意”の曲というか。最初に体制が変わったタイミングで出た曲なので思い入れもありますし、ずっと大事にしてきた曲なんです。あのときは別れが重なってしまったけど……なんかこう、9人になって1年、今この仲間といられる時間が、僕の中ではかけがえのない青春で。そういう気持ちに合う曲を考えたとき、僕の中では「a kind of love」がすごくしっくりきたんですよ。今この瞬間、9人が出会えたことの奇跡を、この曲で表現したいと思ったんです。

──そうだったんですね。

ユーキ それと、もしかしたらこの曲のことをまだ知らない、新しいファンの方もいるんじゃないかと思って。そういった方がこの曲をどう捉えてくれるのか?っていう面白さもあるし……もしかしたら、すでに知っている8号車が曲にまつわるいろんなことを教えてあげたりするかもしれないし。とにかく、「知らないけど印象的だったな」でもなんでも、僕らの思いを受け取って、みんなそれぞれに持って帰ってほしかった。それが僕ら超特急の絆や愛になっていくと思うんです。あと、僕は9人だったらなんでも表現できると確信しているので、新体制になってからは披露していない曲も、あまり気にせずにやっていきたいなと思っていて。大事な部分はちゃんと守りながらも、曲の進化した姿を伝えていけたらいいなと思うので、あえて「a kind of love」をセットリストに入れてみました。

左からマサヒロ、ユーキ、アロハ。

左からマサヒロ、ユーキ、アロハ。

左からマサヒロ、ユーキ、アロハ。

左からマサヒロ、ユーキ、アロハ。

──実際、5人で披露していたときのものと、この日の9人での「a kind of love」では受け取る印象が少し変わって感じ入るものがありましたし、8号車の皆さんもいろんな思いを持ち帰ったのではないかなと思います。タカシさんはシューヤさんと2人でこの曲を歌って、どんなことを感じましたか?

タカシ やっと本来の「a kind of love」が披露できたなって。今までのものが正解じゃないという意味ではなく、“あるべき形”に落とし込めたんじゃないかなと思いました。これはホントに個人的な思いなんですけど、「a kind of love」はいい曲だし明るい曲なのに、なんか悲壮感ある……みたいな感じが正直否めなかったんですよ。だけど、この日披露したことによって、その思いが一気に浄化されたというか。なんというか、力がふっと……いい意味で抜けた感覚がありました。まるで初披露のような気持ちで、今までとはまったく違うようなアプローチで皆さんに届けることができたのが、僕個人としてもすごくうれしかったです。

──ダブルアンコールでは、1年前に新体制の“始まりの曲”となった「gr8est journey」も披露されました。ハルさんの感極まった表情もすごく印象深く心に残っています。

ハル あの日、ホントは泣かないって決めてたんです。だけど、曲に入るときに目が合ったカイくんが抱擁をしてくれて。あのときの僕はちょっと切羽詰まっていたから、自分の中に溜め込んでいたものがそこで一気にあふれて……リミッターが外れてしまったというか。涙腺が崩壊してしまったんですよね。

カイ 僕的にはあの行動に理由はないというか、感情の動くまま反射的にしたことだとは思うんですけど……4人(2桁号車)が必死に走って5人(1桁号車)に追いつこうと、ついてこようとしてくれているのを近くで見ていたからね。彼らのがんばりももちろん理解していますし、1年経っての思いみたいなものがあったのかな。理性的にどうこうというものではないけれど、改めて振り返るとそういうことだったのかなと思います。

尊敬の気持ちは永久に抱き続ける

──9人で1年を過ごしてきて、今の超特急の雰囲気はいかがですか?

リョウガ なんでしょうね。いい意味で「今はこんな感じです」と経過を伝えることができないくらい、何気ない時間をキャッキャと過ごしたり、くだらんことでゲラゲラ笑い合ったりみたいなことばかりの日々で(笑)。昔から僕ら、よくスタッフさんとかに「ホントに仲いいよね」と言われていたんですけど、そこは9人になっても変わらないんだなと感じます。これは超特急のいいところの1つでもあるし、この仲のよさをライブでも出していけたらいいなと思いますし。だからね、答えとしては……本当に「良好です!」という感じですね。

──アロハさんは、かつて憧れだった超特急というグループに入って1年、メンバーになったことでわかったことや感情の変化はありましたか?

アロハ ここまで1年間超特急のメンバーとして活動してきましたけど、1桁のみんなへの尊敬は消えないですね。常に最高のお手本がそばにいるのでうれしいです。自分にとって一番成長できる場所というか……もしほかのグループに入っていたとしたら、たぶん今のようには成長できないと思う。それは、ここに1桁のみんなの存在があるからなんです。みんなの人柄に触れて「自分もこうなりたい」と思う。たとえこの先何年経ったとしても、この尊敬の気持ちは永久に抱き続けるだろうなと思います。

──きっといろんな場面で感じているのだとは思いますが、1つ具体的に挙げるとしたら、どんなところに尊敬を抱くのでしょう?

アロハ 人との関わり方ですね。相手を大事にすること。自分も昔から挨拶の大切さは厳しく言われてきたんですが、超特急の1桁号車は挨拶や礼儀がすごい。周囲の人に愛されるのがよく理解できるし、そういった面ですごくしっかりしているので、そこはやっぱり尊敬します。

ハル 僕もこの1年の活動を通して、超特急に入ることができてよかったなと純粋に思っています。アロハくんがもしもの話をしていたけど、自分ももし超特急に入っていなかったら……もしかしたら、ほかのグループのメンバーになっていたかもしれないなとか。そういう1つひとつの選択で自分の未来が決まっていくことを超特急に入ってから実感することができたので、1つひとつの行動を前よりも慎重に。何も考えず行動するんじゃなくて、一度立ち止まって、考えてから行動するようになりました。

左からハル、タカシ、タクヤ。

左からハル、タカシ、タクヤ。

左からハル、タカシ、タクヤ。

左からハル、タカシ、タクヤ。

理想の形になったときに飛躍がある

──では、1桁号車の皆さんは“9人の超特急”の今をどのように捉えていますか?

ユーキ 最近は個々の活躍の場も増えているので、それぞれの個性をもっと伸ばしていけたらと思いつつ……やっぱり9人がそろったときの強みであるパフォーマンス力、ライブ力はさらに押し進めていきたいですね。だんだんと理想の形になり始めていると思うし、1年でこの状態なので、この先さらに加速できるんじゃないかなって。しっかりと理想の形になったときに飛躍があると……爆発的に加速できると僕は確信しているので。8号車のみんなを巻き込みながら、大きな旋風を巻き起こしていけたらと思ってます。ここからの1年ですね。1年後がまた大きな境目になってくると思うので、今はそこへ向けて、それぞれが役割を全うしながら超特急としての力を底上げしていきたいです。僕自身も、自分の力を上げていけるようにがんばります。

タクヤ ここまでの歩みの中ではいろんなことがあって、中には失敗もたくさんあったと思うんです。だけど、「超特急」というグループの可能性を自分たち自身が信じて、「これが自分たちの正義だ」と思いながら進んできて。そうやって身に付けてきたパワーが、去年の8月以降は人数が増えたことによってさらに強くなったし、さらに一体感を増して加速している実感がすごくあります。僕らは日頃、8号車の皆さんにいろんなものを与えてもらっているので、今後もライブはもちろん、いろんな形でちゃんとお返しができるようなグループであり続けたいなと思いますね。

超特急

超特急

ライブ情報

お試し超特急(フリーイベント)

  • 2023年10月8日(日)大阪府 ららぽーと堺
  • 2023年10月21日(土)愛知県 ららぽーと名古屋みなとアクルス
  • 2023年10月29日(日)東京都 ダイバーシティ東京プラザ フェスティバル広場

BULLET TRAIN ARENA TOUR 2023 T.I.M.E -Truth Identity Making Era-

  • 2023年12月9日(土)神奈川県 ぴあアリーナMM
  • 2023年12月10日(日)神奈川県 ぴあアリーナMM
  • 2023年12月23日(土)大阪府 大阪城ホール
  • 2023年12月24日(日)大阪府 大阪城ホール

プロフィール

超特急(チョウトッキュウ)

9人組の“メインダンサー&バックボーカルグループ”。カイ(2号車 / メインダンサー)、リョウガ(3号車 / メインダンサー)、タクヤ(4号車 / メインダンサー)、ユーキ(5号車 / メインダンサー)、タカシ(7号車 / バックボーカル)、シューヤ(11号車 / バックボーカル)、マサヒロ(12号車 / メインダンサー)、アロハ(13号車 / メインダンサー)、ハル(14号車 / メインダンサー)で構成されている。2012年6月に1stシングル「TRAIN」でCDデビュー。2015年6月にはデビュー3周年記念の9thシングル「スターダスト LOVE TRAIN / バッタマン」をリリースし、インドネシア・ジャカルタでのライブイベントに出演して海外“開通”を果たした。2017年4月にはデビュー5周年を記念したシングル「超ネバギバDANCE」を発売し、同作でグループ初のオリコン週間シングルランキング1位を獲得。2018年12月には初の埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演を含むアリーナツアー「BULLET TRAIN Arena Tour 2018 GOLDEN EPOCH」を成功させる。2019年8月に沖縄県内で行われた全国ツアー最終公演をもって“全国開通”を達成した。2022年4月にメンバーオーディションの開催を発表し、8月にシューヤ、マサヒロ、アロハ、ハルの4人が加入して9人体制に。10月に新体制初のシングル「宇宙ドライブ」を発表。2023年に入ってからは3月に5thアルバム「B9」、5月にカンテレ・フジテレビ系ドラマ「ホスト相続しちゃいました」の主題歌「Call My Name」、9月に「Lesson II」をリリースした。