超特急「B9」ロングインタビュー|運命に導かれた9人が、“ベストナイン”になるまでの物語 (3/4)

僕たちには彼らの人生を変えた責任がある

──10曲目の「NEW WORLD」は昨年末に行われたアリーナワンマン「新世界 -NEW WORLD-」のテーマソングでもあるので、ここで少し「新世界」のお話も聞かせてもらえたら(参照:超特急、9人で進む新世界の幕開け!“奇跡の出会い”に涙と希望あふれた新体制初ワンマン)。

ユーキ 「新世界」は9人体制になって初の大きなワンマンでしたが、ライブに臨むうえで超特急が今まで大事にしてきた統一感……気持ちの面でも動きの面でもひとつになる、というのはやっぱり絶対譲れないものだと自分は考えていました。それに、「9人になってパフォーマンス力が落ちたよね」とは絶対に思われたくなかったので。そこは当時の新メンバー……今の2桁号車の4人には気持ちを飛ばして、激励しながらがんばりました。みんな思いをしっかり受け取めてくれて、めちゃくちゃ練習していたし……僕ら1桁号車も、いろんな変更点がある中で一緒に食らい付いていった感覚でしたね。とにかく「いいライブにしたい」という思いで9人がひとつになり、団結できたんじゃないかなと思います。

リョウガ 新体制のライブを大きなステージで、ちゃんとした1つのパッケージとしてお見せするとなったとき……僕らの果たすべき使命の第1段階が「この9人なら大丈夫だ」と安心させること、第2段階が「この先が楽しみだ」と期待してもらうことだとしたら、“第2段階以上”のものを感じさせなきゃいけないなという思いが自分たちの中にはありました。短い準備期間の中で期待以上のものを、という状況だったので、本番が近付くにつれ、みんな集中力を研ぎ澄ましてがんばっていましたね。

リョウガ

リョウガ

ハル 僕的には、本番前のゲネプロでの経験も大きかったです。ここまで一生懸命やってきたことを、全部通しで一通りやり遂げられたことで「ここまでこれたんだな」って、自分の中で一度がんばりを認めてあげられた感覚があったんです。それは、本番に臨むうえで気持ちがまたひとつ上がった瞬間でした。

──本番中の出来事で、気持ちの動きの面で印象に残っている瞬間はありますか?

アロハ 僕はアンコールの「gr8est journey」です。サビの直前のカウントアップするところで、タクヤくんが「行こうか!」って叫んだんです。そこでまた9人がひとつになったというか、気持ちがもう1段階、グッと入って。めちゃくちゃアドレナリンが出て、いいパフォーマンスができたと思います。

──タクヤさん、ライブ終盤は感情があふれていましたね。あのときは、どんな思いが胸の中にありましたか?

タクヤ オーディションを経て4人が超特急に入ってくれたわけですけど……ずっと、僕たち5人には彼らの人生を変えた責任があると思っていて。だからこそ、中途半端なことをさせるわけにはいかないし、中途半端なものを皆さんに見せるべきではないし。8号車に「これが今の僕たちの姿なんだよ」と、自信を持って見せてあげたいなという一心でパフォーマンスしていたんですよね。そうやってステージに立っている中で「これが正解だな」と思えたこともあって……うん。あんまり覚えてないけど楽しかったです(笑)。

リョウガ あはは。ふわっと着地したな。

それは自分が超えるべきもの

──インタビューの短い時間ではさかのぼりきれないですが、目を見張るシーンがたくさんありましたよね。ハルさんがセンターに立った「バッタマン」もビックリしたし……。

リョウガ 騒がしすぎて、ですか?(笑)

──いや、なんて言うんですかね。曲自体が特段封印されていたわけではないとは知りつつ、ものすごい生命力を持って新たによみがえった感がめちゃくちゃあって。

ハル あはははは!

──心が震えました。

タクヤ 「バッタマン」ってそういう感動曲じゃないのにね(笑)。新しい色が付きましたよね。直後の曲がストリングス入りの「Billion Beats」で、もう曲自体のテンションの起伏がわけわかんなかったけど(笑)、なんか気持ちの面では意外とつながりがあったのかなっていう。

ユーキ この曲のセンターはハルしかいないと思って、彼に任せました。過去と照らし合わせて何かを考えることは一切なく、ハルはこれからの超特急を引っ張っていく存在、大きな鍵になる存在だと僕は思っているから。ここは最年少に先頭に立ってもらおうと。

ハル 僕自身、叫びすぎてライブ中のことは記憶が曖昧なんですけど……(笑)、なんでしょうね。僕的にはもともとのパフォーマンスと比べられる覚悟はありましたし、それはしょうがないことだよなって。でもそれは自分が超えるべきものでもあると思うし、自分がセンターをやることで新しいものを見せる感覚、気持ちでがんばってみました。

ハル

ハル

──「バッタマン」でもう1つ印象的だったのが、そのハルさんの暴れっぷりを後ろで見ている皆さんの表情がすごくうれしそうだったことで。「行った行った!」みたいな感じで、ニコニコしながら見守っているのが……。

一同 あはははは!

ユーキ 確かに、後ろから見てるんですよ。「今日のハルのコンディションはどんな感じだろう?」って。「おおー、いってるねえ!」みたいな感じで(笑)。

──実際どうでした? ハルさんの背中を見て。

ユーキ いやあ、なんかいいですよね。僕らとは違う、ハルにしか出せないパワーが炸裂してる気がして。すごく楽しいですし、僕ら自身もパワーをもらうし……逆に煽るときもあるんですけど(笑)。

──あ、そうなんですね。

ユーキ 踊りながら「ヘイ、そんなもんかい!」って声かけたり(笑)。その感じがまた僕ららしいなと思って、なんだか好きな瞬間ですね。

ユーキ

ユーキ

わかりやすく明確に、青春が戻ってきた

──ではアルバムの話に戻りまして。「Introduction -THE EXPRESS to B9-」から「君と、奏で」まで、「B9」には全12曲が並んでいますが……収録曲の曲順は、今作のポイントになっていたりしますか?

シューヤ 曲順に関してはチームのスタッフさんが決めてくれたんですけど、めちゃくちゃ考えたとは聞いています。かなり考えて、何度も並べ直して決めたって。

シューヤ

シューヤ

──1曲目から順に聴いていくと、全体を通してメッセージ性を感じる曲順になっているなとも思えて。

タクヤ それ詳しく聞きたいな。

──さまざまな解釈がある中の1つとして聞いてもらえたらと思うのですが、“求愛”の「MORA MORA」で始まり、絆の深い結びつきを歌う「君と、奏で」で終わるまでの11曲の流れが、超特急の9人の出会いから今現在までの歩みと照らし合わせたものにも感じられるなと思ったんです。

タクヤ なるほど、それぞれの曲の位置がね。

ユーキ お察しがよろしくて!

──6曲目に収録されている現体制初の楽曲「宇宙ドライブ」を区切りにダンサーの声が入った明るいテイストの曲が増え、10曲目の「NEW WORLD」へ向かっていく感じとか。

ユーキ “集結した感”がありますよね。

──アルバムコンセプトの1つに「ベストナイン(Best 9)=選出された9人が運命的に出会い、新体制初の9人で創り上げたアルバム」というキーワードがありますが、9人の運命が結ばれて“ベストナイン”になるまでの歩みがアルバムそのものに刻まれているとするなら、ラストナンバーの「君と、奏で」が表すように、“現在地”の9人の間には温かな絆が息づいている、と受け取ることもできます。率直に、今現在の超特急はどんなムードに包まれているのでしょう?

リョウガ そうですね。僕らは7人の時代から始まり、6人、5人と体制の変化を経験してきたわけですけど……6人になってから9人になる直前までの時間って、なんでしょうね。もちろん夢を追い続けてはいるんだけど、どこかお互いに補い合っている感じというか。きっと8号車によっては、僕らが「超特急」という炎を消さないように、なんとかつなぎ止めているような雰囲気を若干感じる人もいたのではないかと思うんです。

ユーキ そうだね。

リョウガ そんな中で4人が仲間になってくれて、9人体制になって。個人的な感覚としては、再び……わかりやすく明確に、青春が戻ってきたような感じがありますね。

──2桁号車の4人は加入から半年と少しが経ちましたが、超特急として活動する日々はいかがですか?

マサヒロ (即答で)充実してます!

タクヤ 本当に? なんか心配になっちゃうんだけど(笑)。

マサヒロ ダンサー時代、全然仕事がなくて毎日バイトしていた時期もありましたけど、もう今じゃ逆に「休みほしいな」って思っちゃうくらい、毎日いろんなお仕事をさせていただいて。ホントに充実してます。

マサヒロ

マサヒロ

アロハ 俺は、「超特急、ただ人数増えただけだね」と思われたくないというか。2桁号車の4人はみんな持っている気持ちだと思うんですけど、超特急が進化するための存在でありたいとずっと思っているんです。そんな中で今思うのは、それこそマー(マサヒロ)はダンスに特化しているし、シューヤはめちゃくちゃ歌うまいし、ハルはフレッシュ感あって新しい挑戦もどんどんしていきたいって言ってるし……1人ひとりがこう、しっかりと役目を果たしてるんじゃないかなって。俺にはそういうふうに見えてて、日に日に進歩できてるんじゃないかなと思ってます。