僕以上にタカシくんの相方として歌う覚悟がある人はいない
──「超特急募」のドキュメンタリーを観ると、審査中、指導者の方からはかなり厳しい言葉も飛んでいましたよね。4人はそういった指摘をどう自分なりに消化して、殻を破れたんでしょう。最終審査に臨むうえで、どんなことを考えていましたか?
シューヤ 僕は正直……3次審査くらいのときから、ほかのボーカルの候補生の会話や歌を聞いたりしている中で、「僕以上にタカシくんの相方として歌う覚悟、超特急に入りたい気持ちがある人はいないな」と思っていたんです。だから最終審査は、自分が持っているこの思いをただぶつけるだけだという気持ちで臨みました。
マサヒロ 僕はもともとダンスを仕事にしていたし、自分の長所は絶対にダンスだと思っていたんですけど、審査が進む中で「ダンスだけ全力でやっていても、たぶんこの調子だと落ちるだろうな」と、壁にぶつかったんです。そんなときに、メンバーの皆さんから「自分のキャラを全力で出してほしい」と言われたので、家に帰ってもずっと自分と向き合っていました。最終審査では「こういうことを求められているんだろうな」という手応えが自分の中でつかめたんですけど、長所のダンスも絶対に殺したくない気持ちがあって。僕が超特急に何を与えられるかといったら、ダンスでパフォーマンスの幅を広げることだと思っていたので、「超特急に入りたい」という気持ちと「超特急のダンスパフォーマンスを向上させたい」という2つの気持ちを強く持って、審査に挑みました。
──アロハさんはいかがですか?
アロハ 僕、1年ほど前にあるオーディションを受けてファイナルで落ちてしまったんですけど、見極めの理由が「自分を出しすぎないこと」だったという話を聞いたんです。実際、そのときは自分を出しすぎちゃったなという感覚があって……で、超特急の強みの1つは一糸乱れぬパフォーマンスだと思うので、「超特急募」でも、それこそ自分を出しちゃダメだって、ずっと思い込んでいたんです。絶対に受かりたいし、1つひとつの段階を大切にしていかなきゃって、すごく慎重になってしまって。だけど、そんなときにメンバーの皆さんから「自分を出して」という言葉をもらって、「え、本当にいいの?」と。初めて言われたんですよ、オーディションで「自分を出して」って。その言葉が僕の殻を破るきっかけだったと思います。
ハル 僕自身、研究生時代も変顔が好きだったし、自分で言うのもあれですけど、やるときはやる、ふざけるときはふざけられるから、自分がいつもライブでしていたパフォーマンスを発揮できたら受かる自信があったんです。だけど、練習に打ち込む時間をなかなか作れなかったのと緊張が理由で、自分らしさを最終審査までに出せなくて。でも、最終審査は合宿からの流れで行われたので、合宿中に集中して自分の中で振りを固めたり、パフォーマンスの構成を作ることができました。最終審査では、自分が思うような最高のパフォーマンスができて、ホントによかったなと思います。
超特急になかった色を持っている
──そんな姿を見たオリジナルメンバーの皆さんは4人のどんなところに惹かれ、新メンバーとして迎え入れることに決めたんでしょう?
タカシ シューヤはね、誰よりも練習してた。僕も審査中は候補生の練習をサポートしていたんですけど、みんなに気付かれないようにレッスン室を覗きに行くと、シューヤだけは絶対いて! それくらい、最終審査に向けて照準を合わせてくれてたんだなっていうのがわかったし。あと実は彼、最終審査前、このまま練習し続けると危ないっていうコンディションになってしまったんですよ。
シューヤ (うなずく)
タカシ 喉を使わずともシミュレーションできる練習で合宿後半は調整していたんですけど、最終審査で歌を聴いたら、独自のアレンジとか、ほかの候補生にはなかった個性を出していて。あの場面で歌に色を出すのって相当に勇気がいることだと思うんですけど、それによって僕にはシューくんの個性が伝わりましたし……あとは、一緒に歌ったとき、心底楽しかった。それに代えられるものはないかなって思います。
ユーキ 僕らがボーカルの練習を見に行ったときも、シューヤはずっとほかの候補生に教えてるんですよ。仲間思いだなと感じつつ「大丈夫か?」とも思ってたんですけど(笑)、変なところが不器用なんですよね。練習の仕方もそう。バカ真面目で、人よりも時間をかけるやり方をしていて。なんかそこがタカシと似てるなあとも思うんですけどね。あと、シューヤは周りのことを本当に見てる。実際こうして超特急に入ってみても、誰よりもグループのことを考えて、何かを動かそうとするエナジーを感じるんです。歌だけじゃなく、グループをよりよく見せるための方法もすごく考えてくれているなと感じるので、いいなあと思います。
──アロハさんについてはいかがでしょう。
ユーキ アロハは僕らが今までに持っていなかった明るさ。ムードメーカー的なところがあるので、日常の空気を明るくしてくれる存在だなって。バカなんだけど憎めないというか、いいヤツだなあ!となるバカで、僕的にはちょっとシンパシーも感じるといいますか……。
カイ バカシンパシーね(笑)。
ユーキ あとは運動神経がすごい。パフォーマンス面でも個性がめちゃくちゃ強いから、すごく光ると思います。超特急になかった色を持っているんで、新しい化学反応を起こしてくれると思う。
タクヤ アロハはね、最終審査のフリーのダンスがすごいよかった。
アロハ どんなふうに踊ったか記憶にない……(笑)。
タクヤ 曲の歌詞を拾ってね、「限界を超えていく」っていう表現をしてたのよ。それを見たときに「ああ、アロハは決まりだ」と俺は思ったかな。
タカシ ステージで生きてる人だなっていう強さを感じたよね。
ユーキ アロハならではの、表現を創造する力がね。すげえなって思いました。
社会の窓から伝わった思い
──マサヒロさんについてはいかがですか?
ユーキ マーくんは、たぶん一番大変だったと思う。ダンスはもちろん踊れるんですけど、“ダンサー癖”みたいなものがあったから、指導担当のU★Gさんやえんどぅさんにけっこう指摘を受けていて。「殻を破る」っていうことに対しても、彼なりにベストを尽くしているつもりだけど、それを「違う」と否定されたから、めちゃくちゃ悩んだと思うんです。でも審査が進む中で超特急らしい表現を見せようと必死に食らい付いてきてくれたし、自分の好きなものを表現するときにはピカイチで光るものがあったし。あとはね、周りの人たちからの評判も。大事だったりするじゃないですか。そういう、人間性的なところもすごく素敵だったので。あとは、天然な感じ……?(笑)
カイ 2人目のバカシンパシー感じたってことでしょ?
アロハ ハッハッハ!
ユーキ 違うから!(笑)
タクヤ ダンス以外の部分でのかわいらしさと面白さは唯一無二なので。今後が楽しみですよ、マーくんは。
カイ どんどんしゃべらせたいよね。
──あ、そういう感じなんですね。
ユーキ タカシとはまた違った空気感があるんですよ。
マサヒロ (にこやかに聞いている)
カイ いやいや、「なんのこっちゃ」みたいな顔してるけど、あなたのことだからね?(笑)
マサヒロ 自分は普通だと思ってるんですけど……。
タカシ (真顔で)わかるよ。
カイ そこの2人もシンパシーがあるんだ(笑)。
タクヤ 1ついいですか? マーくんが最終審査で「Don't Stop 恋」を踊ってるときに、俺、彼のズボンのチャックが開いてるのに気付いたんですよ。
マサヒロ えっ!
タクヤ だけどね、それは恥ずかしいとか笑っちゃうとかじゃなく。俺ら、ライブ前に必ず「チャック開いてない?」ってチェックするの。リョウガが呼びかけてくれて。
リョウガ 必ず。必ずやるんです。
カイ チャックチェーック!
タカシ 通称「CC」な。
タクヤ なんかそこでね。俺らだったらライブ、マーくんだったらオーディションに懸けてる思いを。同じ思いの強さを感じちゃって……。
カイ そうだよね、そこを意識し忘れるくらい集中してるってことだから。実際あるんですよ、ライブに向けて集中しすぎて、チャックチェックのときに開いちゃってること。
タクヤ そう。だからそれを見たときに、もっとマーくんのことが好きになって……。
一同 あはははは!
タカシ もう、どこで好きになっとるんや……!
カイ それまでは「マーくん♡」だったのが、それを見たときにはどう思ったの?
タクヤ もう、(審査用紙に)二重丸しちゃった!
一同 あはははは!
タカシ 決め手が社会の窓って……。
タクヤ そう、社会の窓から伝わってきたの。
ハル 新たな風が吹いたんですね!
マサヒロ (顔を赤らめて)熱い……(笑)。
タクヤ これ、ナタリー初出しですから。
──見出し決定ですね。
リョウガ するなするな!(笑)
自分の気持ちを未来の方向に持っていってくれた最初の人
──では最後、ハルさんについても教えてください。
ユーキ 僕的に、ハルはアロハとマーくんとは違って、自分のスタイルがまだ固まってないように見えたんです。だから、めっちゃ伸びるなって。超特急にすぐ染まれるなって、まずそこが強くて。ダンスのセンスもあるし、今後もしかしたらテッペンを取れるくらい……能力を見ていると、そうなってもおかしくないなと思ったんで。これから出会う人と経験するもの次第で、ハルはどんどん大きくなると思います。参加者の中では最年少だったのに色気を感じるときもあったし、きっとアロハとマーくんも「自分にないものを持ってるな」と感じていると思います。あとは、表現したものに対して「違うよ」と言われたときに、誰よりも早く正解に達していたのがハルだった。それはすごく印象的でしたね。
カイ 僕はオーディション中、ダンサーにもシューヤにも、発破をかけるつもりでけっこう厳しい言葉をかけ続けていたんです。「今日この中で一緒に踊りたいと思う人はいませんでした」と伝えたり……それは、そのときの素直な気持ちでもあったし、どこかではね除けて、ひっくり返してくれる人が現れてくれることへの期待の表れでもあったんですけどね。そんな中で、最初に期待を持たせてくれたのがハルだったなという印象があります。僕の言葉を受け止めて「気合いが入った」と言ってくれたり。嫌味に聞こえるようなことも言ったけど、それにしっかり向き合ってくれたことがうれしかったから「これで最終審査にいいパフォーマンスを見せてくれたら、この先一緒に歩んでいけるな」という考えに、自分の中でなりましたね。
──そうだったんですね。
カイ オーディションを開催したのはグループのためだけど、オリジナルメンバーだって自分の人生があるし、自分の気持ちがあるわけですから。その自分の気持ちをしっかりと受け止めて、未来の方向に持っていってくれた最初の人がハルだったんですよね。もちろん、ここにいる4人はみんなそうだったんですけど。それが、ハルに対しての僕の強い印象ですね。
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みんなから憧れられるような存在になって超特急に行きたい