超特急が10月12日にニューシングル「宇宙ドライブ」をリリースする。
8月8日の“8号車(超特急ファンの呼称)の日”に新メンバー4名を迎え、9人の新体制となった超特急。彼らの新たなスタートを飾る「宇宙ドライブ」は、クールなトラックに“意味のない歌詞”が乗る、遊び心にあふれたナンバー。メンバーのユーキが振りを付けたコレオは、オリジナルメンバーはもちろん新メンバーの個性が光るシーンが随所に盛り込まれた構成で、新たな力を得てパワーアップした超特急の勢いを感じられるパフォーマンスに仕上がっている。
リリースを記念し、音楽ナタリーではメンバー9人へのロングインタビューを行った。新メンバーオーディション「超特急募」での9人の出会いから、「宇宙ドライブ」に至るまで。新生超特急の濃密な日々をにぎやかに語り尽くしたボリューム満点のテキストを楽しんでほしい。
取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 須田卓馬
超特急のスタイルに憧れて
──新メンバーの皆さんは音楽ナタリーの特集初登場ですし、「超特急募」(オーディション)のことからしっかり振り返れたらと思います。まず、なぜこのオーディションに参加しようと思ったのですか?
シューヤ 僕は友人から教えてもらったのがきっかけでした。「『MUSIC BLOOD』っていう番組で超特急さんがオーディションについて話しているところがあって、めちゃくちゃ感動するから1回観たら?」と言われて。実際観てみたら……自分も過去にダンスボーカルグループとして活動をしていたんですけど、タカシくんの境遇と自分の境遇に似ているところがあって、そこで思いっきり心が入っちゃって、勝手に涙が流れてきたんです。その瞬間に「この人と一緒に歌いたいし、支えたいな」と思って、応募しました。
タカシ この話を聞いたとき、ボーカルオーディションを延長してよかったとホントに思いました(番組オンエアは延長前の締切日。参照:「正直、歌える人がほしい」超特急の新メンバー募集、タカシの思い受けボーカル限定で締切延長)。それと「MUSIC BLOOD」で話したような自分の赤裸々な気持ちは、あんまり外へ向けて話すことじゃないだろうと思っていたけど、ああいう場所で話したことに意味があったんだと……自分たちがやってきたことは間違いじゃなかったんだなって、シューくんに出会えたことで思いましたね。
マサヒロ 僕はもともとダンサーをやっていて、超特急のバックダンサーも経験したことがあったんですけど、「アーティストになりたい」という気持ちがずっと頭の隅にあったんです。そんなときにInstagramで「オーディションをします」というお知らせを見て、その場ですぐに「挑戦したい!」と応募しました。
──バックダンサーとして関わったときの超特急の印象って覚えていますか?
マサヒロ 振り入れのお手伝いをしたときの印象なんですけど、超特急としての信念とこだわりを常に持っている方たちだなと思いました。ただ振りを入れて終わりじゃなくて、例えばカイくんが「ここもっと固めていこうよ」と声をかけていたり、ユーキくんを中心に話し合っている姿を見ていたんです。その印象は、当時も今も変わらないですね。
アロハ 僕は3年前にスターダストプロモーションのオーディションを受けたんですけど、エントリーシートの志望理由に「超特急のスタイルに憧れて」と書いたくらい、超特急が好きだったんです。合格して同じ事務所に入れたけど、その3年後にこんな、夢のようなオーディションが開かれるとなって……。
──まさか自分がメンバーになれるチャンスが巡ってくるとは、という感じですよね。
アロハ 本当にそう思いました。なので迷わず。「絶対やってやる!」と思って応募しました。
ハル 僕もこれまでEBiDANの研究生として活動してきたので、超特急になるチャンスがあるなんてことは考えたこともなかったです。オーディションの開催発表があったときも、オリジナルメンバーとは歳の差もありますし、同年代の子たちは誰一人応募していなかったので、どうしようか悩みました。でも、超特急に入って、その中で皆さんといろんなことをともにしたほうが、自分の夢に近付けるといいますか……自分がやりたいことができるんじゃないかなと思って、オーディションを受けることにしたんです。
──その、ハルさんの夢というのは……?
ハル もっともっと大きなステージに立って、世界中の人を笑顔にしたいという気持ちがあります。それが僕の夢です!
それもう、愛してるやん……
──オリジナルメンバーの皆さんは、4人に出会ったときの第一印象って覚えていますか?
タクヤ ダンサーとボーカルの審査が分かれていたのでシューヤは見た目の印象になっちゃうんですけど、「リック・オウエンスが好きなんだな」と思いましたね。
タカシ あはは、洋服のブランドな。
タクヤ で、マーくん(マサヒロ)は唯一、最終審査前の合宿中にしゃべった候補生だったんですよ。バーベキューをしたときに「休みの日は何してるんですか」とか話しかけてくれて。だからなんか、気持ちが入っちゃいましたね。もちろんみんな平等ではあるんですけど、「マーくん♡」って……。
カイ 「マーくん♡」じゃないんだよ。
リョウガ 明らかに平等じゃないだろ(笑)。
アロハ・ハル あはははは!
タカシ それもう、愛してるやん……。
カイ 審査は平等だけど、「がんばれ!」と思ってたってことだよね(笑)。それはわかるよ。
シューヤ (ボソっと)話しかければよかったな……。
マサヒロ あはは、どこ後悔してんの(笑)。
タクヤ アロハはとにかく元気でね、声が誰よりも出てた。挨拶も、絶対一番に声出してたもんね。
ユーキ そう、気合い入ってたねー!
カイ 僕はもともと、アロハにはすごい努力家のイメージがあったかな。オーディションの前の話になっちゃうんですけど、2年前に「FAKE MOTION」(EBiDANメンバーによるメディアミックスプロジェクト)の朗読劇をやったとき、直前で(田中)洸希(SUPER★DRAGON)が欠席になっちゃって、急遽アロハが出ることになって。あれ、決まったの2日前とかだよね?
アロハ 2日前でした。
カイ その短期間でセリフを叩き込んでる姿を見て、ああ、すごく集中して努力できる人なんだなという印象を持っていたんですよね。
ユーキ 俺はね、ハルを見たとき「ああ、この子は化けるぞ」と思ったんですよ。
タクヤ ユーキ、ハルのことすごく買ってたよね。
ユーキ 実際めっちゃ推しました。
ハル (キメ顔で人差し指を突き上げる)
ユーキ まあ、実際はあんな感じだったんですけど……(笑)。
ハル あはははは!
ユーキ 一番若かったけどダンスも歌もできるし、すごく面白くなりそうだなって。今後彼が受けるであろういろんな刺激を全部吸収していける可能性を感じたし、そういう部分にすっごい、惹かれたんですよね。
──リョウガさんは何かありますか?
リョウガ アロハはそれこそね、「FAKE MOTION」のドラマ撮影のときにもいた子なんですけど、撮影の合間、ずーっと1人で踊ってるんですよ。1人だけの空間で。それを見て「なんやコイツ、怖ーっ!」と思って。「King of DOBON」(FAKE MOTIONのゲームアプリ)あるじゃないですか。あれもなんか、すげえレベル高いし……。
アロハ いやいや、リョウガくんのほうが高いじゃないですか!(笑)
リョウガ 怖いな、怖いなあと思ってたヤツがオーディションに来まして。僕ね、オーディションの告知動画で「陽キャも陰キャも大歓迎!」と言ったんですけど、本当に陽キャが来ちゃったよっていう。なので「ちょっと、俺はこの子苦手ですー」って……。
一同 あはははは!
リョウガ 言ってたんですけどね、受かっちゃいました(笑)。
アロハ すいません!(笑)
カイ あの、もちろん冗談ですからね!(笑)
入って来た子たちを全力で応援してもらえるように
タクヤ 4人には言ったことないと思うけど、オーディション期間中ってホントに普段の仕事の合間とかにも楽屋でずっと話し合いしててさ。みんなのプロフィールを並べて、「この子はどうしようか、こうしようか……」っていうのをやってたの。
シューヤ・マサヒロ・アロハ・ハル へえー。
タクヤ で、誰か外部の方が扉開けようとしたら、バーッと一瞬でその紙隠して(笑)。
マサヒロ すごい。
──「超特急募」は、候補生を一切公表せずに審査が進んだじゃないですか。それには明確な意図があったんですか?
カイ 新しいグループを作りたいのであれば、過程を公表してその段階から応援してもらえたほうがいいと思うんです。だけど、俺たちにはこれまでにいくつかのメンバー変遷があって、新メンバーは人数が減ったところに加入するわけですから、いろんな面で“比較”されてしまう懸念が出てくる。もちろん8号車には「新メンバー、いいね」となってほしいけど、100%そうなるとは言い切れない、リスクになってしまうかもしれない可能性を作るのは、候補生のみんなにとってよくないよねと。
──なるほど。
カイ それに、過程を見せていたらほかの候補生への応援も付くでしょうから、とにかく新メンバーへの風当たりが最小限になるように、審査完了後の発表だけにして。しっかりとこの4人を、入って来た子たちを全力で応援してもらえるようにと思って、この形にしました。(新メンバーのほうを向いて)と、いうことです! みんなにもあんまり話してなかったけどね。
──改めて、審査の過程はいかがでしたか?
カイ 3次くらいまで審査を重ねたあとに合宿に入って、合宿の最終日にそのまま最終審査……という流れだったんですが、最終審査までのタイミングでは、4人以外の候補生も横一線だったんです。その中で僕らがこの4人を迎えた決め手が、最終審査で自分の殻を破ってくれたこと。合宿で見せていた以上のものを示してくれたことで、やっぱり僕らの心も動きました。「ここぞ!」というところで力を発揮できるのは、アーティストとしてすごく必要な能力ですし、練習を重ねてきたからこそ、本番で練習を超えるものを見せてくれたんだと思いますし。そういう、素晴らしいパフォーマンスを最後に見せてくれたのが、この4人だったんですよね。
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僕以上にタカシくんの相方として歌う覚悟がある人はいない