超特急|変化の1年を駆け抜け、夜明けの光に未来を託して

「今この曲をやるべき」って思ったんです

──夢8(ファンクラブ)盤に付属するBlu-rayには、8月8日の“8号車の日”に行われた無観客ライブの映像が収録されます。当日の生中継を観ていたのですが、思ったのは「ライブが一番伝わるな」ということでした(参照:「一緒にはいないけど、心はつながってる」超特急、5人で立つ横浜アリーナから届けた思い)。

タクヤ そうですよね。口に出さなくても伝わる感じ。それがいいですよね。

──自分は皆さんの曲やパフォーマンスについて、言葉を使って表現し伝える立場ではあるんですけど、そう思ってしまって(笑)。選曲や曲順、パフォーマンスから何よりも強いメッセージを受け取ったので、やっぱり超特急はライブアーティストなんだなということも再確認しました。

タクヤ 本当にそうだと思う。ステージに立っている僕らも、いろんな感情が湧き上がって頭の中がグルグルしていました。

左からカイ、タクヤ。

カイ だって1曲目が「The End For Beginning」だもんね。

──2年半ぶりの披露ですし、ファンにとってもすごく思い入れの強い曲だと思うので、「この曲をやるんだ!?」と正直驚きました。

タクヤ 「どうしてもやりたい」って、僕が。

ユーキ この日のライブは、5人それぞれのやりたい曲がセットリストに入っているんですけどね。

カイ タクヤはこの曲をずっとやりたいって言っていたんだよね。

──それはどうしてなんですか?

タクヤ なんだろうなあ。僕らは過去を記憶から消しているわけではないし、8号車が抱いている思いや感情から目をそらしているわけでもないから、かな。いろいろなことがあったから今があると思っていますし。直接バチンとね、言葉で伝えたい思いもあったけど。でもきっと、あの音が鳴った瞬間、みんなとんでもなく「どひゃー!」となったと思いますし……。

カイ 「The End For Beginning」に関しては、無観客でよかったのかなと思う(笑)。

タクヤ でも本当にあのとき……なんでしょうね。「今この曲をやるべき」って思ったんですよね。だから、ちゃんと汲み取ってもらえてよかったです。位置付けもニクいですよねえ、1曲目っていう(笑)。

──場所も「The End For Beginning」ツアーの公演があった横浜アリーナですしね。そのときもこの曲が1曲目でした。

カイ ある種、ユーキにとってのリベンジの意味も込もっているかもね(参照:ユーキの思いが会場を1つに!超特急、横浜アリーナで見せた7人の強く温かい絆)。

──演出も担当するユーキさんはこのライブを構成するにあたって、どんなことを考えていましたか?

左からユーキ、タクヤ。

ユーキ コロナ禍でみんなの気分も落ち込んでいるから、「ここからまた一発かましてやるぞ」と。タクヤの選曲に関しても「やってやるぞ」という思いを汲み取りました。「The End For Beginning」は「過去にとらわれない」という曲でもあるし。そういう意味ですごく前向きな、ワクワクするような思いを感じ取ったので、1曲目にぶち込んだんです。めちゃくちゃメッセージ性が強い曲なので、やっていても気持ちよかったですね。ただ、誰もいない横浜アリーナは殺風景だったよね。

カイ アリーナの座席もなかったからね。なんて言うんだろう……「寂しい」という言葉が一番合っているんだとは思うんですけど。横浜アリーナでライブができるというのは無観客でもめちゃくちゃ幸せなことだし、あの会場から8時間の放送を届けてライブもして……というありがたい状況で満たされているはずなんですけど、やっぱりお客さんがいないことで、何か1つ足りていない感覚がありました。幸せで楽しいライブではありましたけど、満たされているのは9割9分で、どこか埋まりきっていない気分ではありましたね。

僕という人間は超特急があるからこそ存在している

──最後に、2020年は超特急の皆さんにとってどんな年でしたか?

カイ 不思議な年だったなと思います。僕にとってもエンタメ業界的にも。あんまりネガティブな言葉は使いたくないから「不思議」と形容しておきますけど。ただ、一方では新しいあり方を模索できた年だったなとも思っていて。ニュースタンダードじゃないけど、今までと違った景色が見えたし、挑戦もできたのかなと思います。僕ら超特急もステイホーム期間中に朝からインスタライブをしたり、いろいろとやったじゃないですか。

──そうですね。

カイ 今までになかったことが起き始めているのはこんな時代だからこそだと思うし。それと、もしこんな状況にならず、以前までと変わらない感じで活動していたら、コロナ禍の中でできていたようなコミュニケーションは取れなかったのかなと考えると……ある意味、8号車や世間の皆さんとの距離を遠ざけず、むしろ近付くことができたのかなって。なので、これを踏まえて来年ライブができればベストだと思います。今は土を耕している状態だから、ここから種をまいて、ライブでちゃんと花を咲かせられたら。だから、2020年は土台作りをする年だったのかなと思いました。

左からタクヤ、リョウガ。

リョウガ 僕はいろいろありますね……毎年「今年1年どうだった?」という話をするときは、たいてい超特急としての話をするんですけど、今年に関してはコロナの自粛期間や、自分自身も活動から少し離れていた期間もあって、いち人間としてすごくいろんなことを考え、思う1年だったなと思います。考えるきっかけがたくさん起きた1年だったということかな。

──そうなんですね。

リョウガ こういう話になると真面目な雰囲気になっちゃうんですけどね(笑)。いろいろと思うことがあったおかげで、僕という人間はほぼ100%、超特急があるからこそ存在しているんだということも再確認できたので。その超特急にもね、いろんな壁が立ちはだかりますけど。くじけずに、8号車と一緒に笑顔をつかむためには「Asayake」のように前向きに、ずっと前を見続けて走っていくということが必要だって、また考えたりもしたので。「僕たちは僕たちであり続ける」という思いを再び強く持ったような。そんな感じの1年でしたね。

──リョウガさんがこうして個人的な葛藤を伝えてくれることって、あまりないですよね。

タクヤ ですよね? 珍しい。

リョウガ とかなんとか言ってますけどね、正直中身はすっからかんなんで。

タクヤ 嘘でしょ(笑)。

リョウガ でもホントにね、そうやって個人的に考える時期はありましたし。ホントに固定概念が覆されたじゃないですけど……当たり前だと思っていたことはホントは当たり前ではないんだよと。それを今まで生きてきた中で、一番強く感じましたね。

太い芯の通った本物に

タクヤ リョウガも言っていたけど、自分にとっても、今まで当たり前に過ごしていた日々は本当は当たり前じゃないということを痛感した年でしたね。何事もすべて。これまでにない焦燥感だったり、ありがたみを感じた1年でした。それと、年齢を重ねているのもあって1年が過ぎるのがとても速く感じますし……ステイホーム期間中もできる活動をしていたので、意外と目まぐるしい1年だったのかなと思います。

ユーキ 僕は、まさに「The End For Beginning」じゃないですけど……いつ何が終わって何が始まるのかわからないということをかなり感じた1年でした。始まりがあれば絶対に終わりがある。永遠はないんだなということも、最近ものすごく感じることです。2020年はコロナの年になってしまったけど、グループとしては、コロナ禍以前にバタバタとしていたことを自粛期間中に落ち着いて考えることができたと思いますし、これからまた忙しい日々が戻ってきて……そこから僕らがどう変化するか。どうやって自分たちの気持ちを表明していくか。そのやり方次第でこの先の未来は変わっていくんだろうなと思うので。今までの時間を大切に、先につなげる思いで未来を作っていけたらいいなという思いが一番にありますね。

左からタクヤ、タカシ。

タカシ 2020年は本当にいろいろと考えさせられる1年だったなと思います。自分の伸びしろを探して、成長するにはどうしたらいいんだろうとゆっくり考える時間もたくさんあって、そんなときに改めて、超特急という支えがあって本当によかったなと僕は思いました。だから、今、こんな状況ではあるけど……「Asayake」という曲で、みんなには2020年をせめて一瞬だけでも「楽しかったな」と思ってもらえたらなと思っています。年末には配信ライブもまだありますし。そこで「結果オーライ」と今年を締めくくれたらと思いますね。

──この先の超特急について、皆さんはどんなビジョンを持っていますか? リョウガさんの言葉にもありましたが、「僕たちが僕たちであり続ける」ために、どんなことを考えているのかを聞かせてもらえたら。

ユーキ 僕は何より……“熱い柱”を1本立てないといけないなと思っています。その柱っていうのは音楽性。僕らがやりたい音楽というものを発信していくのが大事だなと感じていて。僕らにはいろんなジャンルの楽曲を表現してきた経験があって、引き出しはたくさんありますから、そこにそろそろ1本芯を通したいというか。今年は特に強く思ったけど、僕ら超特急の活動のコンセプトは「君の笑顔が終着駅」という、8号車を、聴く人を笑顔にすることなので。みんなを笑顔にさせる方法を僕らなりに考えて話し合い、メンバーそれぞれの思いを汲み取りながら、もっともっと自分たち主体でものづくりをしていきたいです。太い芯の通った本物になっていきたいんで。これまで以上に自分たちの手で、クオリティの高いエンタテインメントを発信していきたいなという気持ちです。ほかのアーティストの方々に負けないくらいね。

ライブ情報

超特急「BULLET TRAIN ONLINE SPECIAL LIVE 2020『Superstar』」
  • 1日目 2020年12月25日(金)19:00~
  • 2日目 2020年12月26日(土)18:00~
  • 3日目 2020年12月27日(日)17:00~
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