THE BOHEMIANS|俺たちは永遠にロックンロール

THE BOHEMIANSが9月25日にニューアルバム「the popman's review」をリリースした。

ベストアルバムのリリースを経て発表された本作は、1960~70年代のオーセンティックなロックンロールにメンバーの青春時代である1990年代、2000年代のJ-POPのテイストが加わったエッジィかつポップな仕上がり。音楽ナタリーではメンバー5人にインタビューを行い、大きな手応えを感じているという本作の制作エピソードを軸にしながらバンドの活動スタンス、ロックンロールに対する思いを語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 新元気

山中さわおの指令

──ベストアルバム「That Is Rock And Roll ~Best Of THE BOHEMIANS~」のリリースを経て、今回のアルバム制作にはどんなスタンスで臨んだのでしょうか?

ビートりょう(G) ベストが入り口になってTHE BOHEMIANSを知った人も多いと思うので、自然と気合いは入ってましたね。オリジナルアルバムをリリースするのは2年ぶりだし、プロデューサーの山中さわお氏(the pillows)にも「次はいいヤツを頼むよ」と言われていて。

星川ドントレットミーダウン(B) けっこう紆余曲折があったんですよね、実は。楽曲は基本的にりょうくんが全部作ってるんですけど、最初は「自分たちが好きなロックンロールをやろう」と言っていて、メンバーの中では「The Rolling Stonesの『Let It Bleed』みたいなアルバムにしたい」という話もしていたんです。でも、さわおさんに何曲か聴いてもらって相談したら「もうちょっと間口を広げるために、キャッチーな曲がほしい」と言われて。結果すごくいいアルバムになったと思います。個人的にはこれまでの作品の中でもかなり上位に入ってますね。

本間ドミノ(Key) 基本的にやってることは一緒だと思うんですよ。今までのアルバムも好きなことをやっていたし。違いがあるとすれば、制作にしっかり時間をかけられたことかなと。りょうくんも時間をかけて曲作りできたと思うし、スタジオでアレンジを練る時間もあったので。そこはよかったですね。

千葉オライリー(と無法の世界)(Dr) 手応えはありますね。「the popman's review」というタイトル通り、キャッチーな曲も入っていて。リード曲の「ツイスターズのテーマ」もそうなんですけど、メロディがキレイとか、明るくて聴きやすいというだけではなくて、ロックンロールが好きな人にも開かれているというか。

平田ぱんだ(Vo) とってもいいアルバムだと思います。

星川 あとウチらが思春期だった頃の音楽の影響も出ているんじゃないかなと。1960年代、70年代のクラシックロックに90年代、00年代の音楽の雰囲気も入っているというか。それもTHE BOHEMIANSらしさだと思うんですよね。

──思春期だった頃の音楽というと?

星川 それこそミスチルとか(笑)。

千葉 笑っちゃダメでしょ(笑)。

星川 いや、大好きだからちょっと恥ずかしいんだよ。10代の頃はもちろんGLAYやLUNA SEA、L'Arc-en-Cielも聴いてたし。

りょう 我々の世代の音楽ですよね。

平田 どの曲が90年代っぽいんだよ。1曲目の「It's Alright, It's Alright」は?

本間 1曲目は00年代のロックンロールリバイバルの感じだよね。僕らにとってはいつも通りというか、ずっとやってきたタイプの曲じゃない?

平田 じゃあ、2曲目の「La-La-La Lies」は……LUNA SEA?

りょう 5曲目の「I Don't Care That Pretty Girl」のイントロのリフは、ちょっとLUNA SEAの雰囲気があるかも。

ロックンロールにしか興味がない

──タイトル曲「the popman's review」もかなりポップに振り切ってますね。

平田 アルバムのタイトルを先に決めたんですよ。「the popman's review」は「もう1曲、ポップな曲が欲しい」というプロデューサーの指令を受けて、りょうが急遽作った曲で。曲名もそのまま「the popman's review」にしちゃいました。

りょう タイトルを決めたのは平田ぱんだなんですよ。これ、ただの思い付きでしょ?

平田 ちょっと前に思い付いた“popman's”という言葉が俺の中ですごく流行ってて。それだけだとバカっぽいから“review”を付けたらGLAYっぽいかなと。

──“popman's”という言葉が平田さんの中でヒットした理由は?

平田 親しみやすさを無理にでも出そうと思って(笑)。

星川 いいね、その発想。語感もいいし。

平田ぱんだ(Vo)

平田 うん。ロック、ロックって言いすぎてるから売れねえのかなとも思ったし、rockmanじゃなくてpopmanだろうと。でも、最近改めて甲本ヒロト氏(ザ・クロマニヨンズ)のインタビューを読んで、「ロックって言わないほうがいい」なんて思ってた自分が恥ずかしくなって。永遠に“ロックンロール”って言い続けようと決めました。

──甲本さんは常々、“ロックンロールをやること以外に興味がない”と話してますからね。

平田 めっちゃ同じです。最近気付いたんですけど、僕、音楽には興味がないんですよ。

本間 そうだよね(笑)。

平田 ロックンロールにしか興味がないし、僕が歌えばロックンロールなんです。なので、このアルバムに収録されている曲はすべてロックンロールです。なぜならば、僕が歌っているから。

──ぱんださんは確かにロックンロールシンガーですが、表現の幅も広いですよね? 今回のアルバムもいろいろなタイプの曲を自然と自分のモノにしていて。

平田 本当は超絶うまいんだけど、わざとヘタに歌ってるんですよ。ジョニー・ロットンみたいに……いや、違う、僕はグスタフ・ノリアンだ。Mando Diaoの。

──Mando Diao好きなんですか?

平田 僕にとっては最大の青春バンドですね。瞬間最大風速で言えばTHE HIGH-LOWSとかThe Libertinesなんですけど、一番はMando Diao。なので僕はグスタフ・ノリアンです。

本間 (笑)。でも、幅広い曲を歌えるボーカリストだなとは思いますね。アルバム「THIS IS POP!!!」(2012年4月発売)の頃からいろんなタイプの曲をやるようになって。自分が作曲したものに関しては「こういう歌い方して」って言うこともありますし。

平田 天才なんで。歌い方に関しては、あんまり言ってほしくないんですけどね。これからは誰の言うことも聞きません。