ナタリー PowerPush - THE BOHEMIANS

ビッグマウスな新世代「ロックンロールアイドル」デビュー

なんでこんな奴らと対バンしなくちゃいけないんだってイライラしてた

──入り口はかなりバラバラですねえ。

星川 それが混ざり合ってるから、こんなアルバムになってるんだと思います。

──なるほど。では、「ロックンロールアイドル」って掲げているのは、どうして?

平田 どうしてって、そういうもんですから。だって、人が見えないとロックンロールって呼ばないでしょ? 誰が歌ってるかわからないバンドなんて、ロックンロールじゃない。だからアイドルソングなんですよ、ロックンロールは。それは昔から思ってました。今の洋楽がつまらないのも、そういうことじゃないですか? 誰が歌っても同じっていうか。

──「アイドルであるべき」というのは、バンドの共通認識なの?

平田 ロックンロールアイドルって名づけられちゃったから、考えざるを得なかったんですよ。アイドルとロックンロールを関連づけなくちゃいけなくなって、共通認識になっていったというか。まあ、俺はずっと考えてましたけど。

インタビュー風景

本間 キャラが立ってないとしょうがない、っていうのはありましたね。

平田 「どいつがベースだ?」なんて思われるバンドはつまんないですよ、やっぱり。だって、音とか関係ないじゃないですか、好きなバンドって。例えばNEW YORK DOLLSも、音はぶっちゃけフツーでしょ。でも、そんなの関係ないくらいカッコいい。元々そうあるべきなんですよ、ロックンロールバンドは。「ロックンロールアイドル」なんて、いちいち言うことじゃないんです、当たり前のことだから。そんなこともわかってないバンドがロックンロールとか言うからダメなんですけどね。メディアも悪い。メディア批判をしますよ、俺は。

──そんな「当たり前のこと」が忘れられちゃったのは、なんでだと思います?

平田 王道を否定することで上に行く、っていうやり方があったと思うんですよね。でも、それがメインになっちゃったから、元々何が王道だったかわかんなくなったんじゃないですか。簡単になったんですよね、つまり。スターじゃなくてもステージに立てるっていう……だって、ライブハウスがこんなにたくさんあるのって、おかしいじゃないですか。誰でもステージに立てる状況があるから、(チケット)ノルマとか変な問題も出てきて。

──本来、ステージに立っちゃいけない人間がバンドをやりすぎてる、と。

平田 それ、すげえイライラしてました。なんでこんな奴らと対バンしなくちゃいけないんだって。それはね、俺が間違ってたんですよ。ライブハウスとか出るんだったら、いい曲を作って、ひたすら練習したほうがいい。で、ネットで仲間を集めてイベントをやって、それをどんどん大きくしていくほうが絶対にいいと思う。自分で金払ってライブなんて、良くないんですよ。俺、ライブハウスを仕切ってるおじさんたち、全員嫌いですから。あ、今のはウソ。波風立てるようなことは言わない。

りょう もうガンガン言ってるけどね(笑)。

──平田君と同じようなことを言ってた人を思い出しました。毛皮のマリーズの志磨君っていうんですけど。

全員 ハハハハハ!

──「なんでこんな奴らといっしょにライブやらなくちゃいけないんだ」って思ってたらしいですよ、彼も。

平田 ロックンロールに幻想を抱きすぎてたんですよ、あの人も俺も。俺らみたいなカッコいいバンドがライブハウスに出れば、すぐにどっかのレコード会社のお偉いさんが来て、「いいな、おまえら」っていう……。そんなこと、ないですからね。やり方は変えたほうがいいですよ、バンドで夢見てる人たちは。

──少しずつ変わってきてると思いますけどね。毛皮のマリーズもそうだし、KING BROTHERSも勢いがありますし。

平田 KINGはカッコいいですね。海外に比べたら、日本のロックシーンのほうが面白いと思う。

俺に貯金が1億円くらいないとおかしい

──「憧れられたい」でTHE BOHEMIANSの存在を知る人も多いだろうし。さっき平田君は「売れるかどうかわかんない」なんて言ってたけど、ほかのメンバーのみなさんの手ごたえはどうですか?

インタビュー風景

りょう もちろんいいアルバムなんだけど、このアルバムがいいとか悪いとかってことより、この調子でどんどん良いものができそうな気がしてて。

──メジャーレーベルに移籍して、環境が変わったことも関係してる?

りょう そうですね。時間だったり、お金だったり。単純にバイトしなくていい、とか。

平田 かなり気分は良くなりましたね。もちろん、まだイライラしてるんだけど。だって、貯金が1億円くらいないとおかしいですからね。俺の価値観的な計算によると。

星川 (笑)。ほかのバンドのアルバムに比べても、「全曲推し」だと思います。もちろんこれは序章だし、もっともっと良くなると思いますけど。これからですよね。

本間 インディーズのときが及第点だとしたら、今回は10点上がってる。で、次はさらに10点くらい上がると思っていて。

チバ うん、もっと良くなると思いますね。もっと遊んで、もっと楽しくやれれば、さらに狙ったものに近づけるんじゃないかって。

メジャーデビューアルバム「憧れられたい」 / 2011年8月31日発売 / 2500円(税込) / フォーライフミュージックエンタテイメント / FLCF-4397

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CD収録曲
  1. メイビリーン
  2. 夢と理想のフェスティバルに行きたい
  3. パーフェクトライフ
  4. ガール女モーターサイクル
  5. THE ROBELETS
  6. Goodmusictime!!
  7. 太陽ロールバンド
  8. 私のシンフォニー
  9. 王国の謎
  10. 憧れられたい
  11. FaFaFa (素敵じゃないか)
  12. 五人の若者劇場『タイムマシーン秘話』

THE BOHEMIANS

THE BOHEMIANS(ぼへみあんず)

妖艶でグラマラスなルックスと、UKロックの系譜に連なるポップな楽曲、荒々しくも骨太なバンドサウンドで人気を拡大中の「ロックンロールアイドル」。同じ大学で同じ学科だった平田ぱんだ(Vo)とビートりょう(G)によって2004年に結成される。その後、本間ドミノ先生(Key)を迎えて山形と仙台のライブハウスを中心に活動を開始。大学卒業後に東京へと拠点を移し、星川ドントレットミーダウン(B)とチバ・オライリー(と無法の世界)a.k.a ジャン(Dr)が参加して現在のメンバーとなる。2011年にフォーライフよりメジャーデビューアルバム「憧れられたい」をリリースする。