ナタリー PowerPush - THE BOHEMIANS
ビッグマウスな新世代「ロックンロールアイドル」デビュー
毛皮のマリーズの志磨遼平もフェイバリットに挙げているというTHE BOHEMIANSがアルバム「憧れられたい」でメジャーデビュー。60~70年代を中心とした王道のロックンロールが基本のバンドサウンド、「こんなにわかりやすくていいのか!?」と驚いてしまうほどのポップネス、そして、「ロックンロールはアイドルソング。売れなきゃ意味ない」と言い切るフロントマン・平田ぱんだのキャラクターも含め、今年後半、もっとも注目すべきニューカマーと言っていいと思う。単なるビッグマウスか、新しいロックンロールアイドルの誕生か。それはあなた自身の耳と身体で確かめてみてほしい。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 中西求
BEADY EYE、あんなつまらないもの久しぶりに観ました
──ニューアルバム「憧れられたい」ですが、王道のロックンロールでありつつ、カラフルなポップ感もたっぷりあって。これはかなり手ごたえがあるんじゃないですか?
平田ぱんだ(Vo) そうですね。まあ、次はもっと名盤になりますけどね。もう曲の原型が揃ってきてるんですけど、「これは売れるな」って思ってる。今回のアルバムもいいけど、売れるかどうかはわかんない。
──どうして?
平田 なんですかね? 一瞬聴いただけで「おお、いいじゃん」っていう曲ばっかりだったら、きっと売れると思うんですよ。今回は「俺は好きなんだけど」っていう感じなのかな。中学生の俺にとってはどうだろう?とか。高校のときの俺だったら、大丈夫だと思うんだけど。
──普通は高校くらいですよね、ロックに目覚めるのって。
平田 そうですね。俺も中学のときは、THE BLUE HEARTSをポップスとして聴いてましたから。THE HIGH-LOWSからですね、ロックンロールを知ったのは。
──ガツンと来た?
平田 というか、「ガツン」の正体がロックンロールだってわかった。THE HIGH-LOWSに説明してもらった感じ。
──なるほど。ほかのメンバーはどうですか? それぞれ、ロックンロールの洗礼を受けた瞬間があると思うんですが。
ビートりょう(G) THE BEATLESは中学くらいから好きだったんですけど、ロックンロールってことになると、やっぱり高校生になってからですね。THE ROLLING STONESとか……。
平田 「(りょうに向かって)SEX PISTOLSを知って、ストーンズの聴き方がわかった」って言ってたじゃん。あの話は良かったな。
りょう (笑)。ホントにそうなんですよね。THE ROLLING STONESのCDは持ってたんだけど、あんまり聴いてなかったんです。でも、ピストルズを聴き始めてから、ストーンズの良さみたいなものもわかってきて。
平田 ピストルズの映像、めちゃくちゃカッコいいからね。
りょう うん。格好とか、やり方とか。
平田 パンクを期待して聞くと「あれ?」ってなっちゃうんだけど、映像を見たら「すげえ!」って。ジョニー・ロットンはベスト5に入るね。
本間ドミノ先生(Key) なんのベスト5?
平田 最高のボーカリストの。頭悪そうに見せようとしてんのに、頭いいのを隠せてないところとか、ものすごく好き。イギー・ポップもそうだけど。
──星川さんは?
星川ドントレットミーダウン(B) 中学、高校くらいまではけっこうなんでも聴いてたんですけど、THE BEATLESとかに興味を持つきっかけはやっぱりOASISですね。そこから60~70年代の音楽を聞くようになって……。
平田 ちょっとBEADY EYEの話していい?
──(笑)。なんですか?
平田 サマソニ(SUMMER SONIC 2011)で見たんですけど、クソっすね。あんなつまんないもの、久しぶりに見ました。やっぱりノエルの曲じゃないとダメ。
星川 ノエルの曲をリアムが歌うっていうのがいいんだよね。BEADY EYEも曲はいいと思うけど、あんまり覚えてないというか。
平田 BEADY EYEがつまんなかったから、THE STROKESを観るのもやめっちゃったんですよ。どうせつまんねえだろうと思って。サマソニ、ほんとつまんなくて……でも、アヴリル・ラヴィーンはすげえ良かった。めちゃくちゃハシャギましたよ。やっぱり、あれくらいわかりやすくないと売れないんですよね。
──アルバムもカッコいいしね、アヴリル。では、本間さん。
本間 ロックにのめり込んだのは大学に入ってからですね。この人(平田)はTHE HIGH-LOWSが好きで、この人(りょう)は昔のロックが好きで。あとは「snoozer」とかを読んでたから、USインディとか……。
平田 インディ聴いてりゃカッコいい、って感じだったから。くせえって思ってたけど。
本間 (笑)。まあ、とりあえず、この2人の影響は大きいです。
チバ・オライリー(と無法の世界) a.k.a ジャン(Dr) 僕はTHE YELLOW MONKEYですね。ライブビデオをよく見てたんですけど、オフショットというか、釣りして遊んだりしてる映像も入ってて。ロックバンドって、こんな遊んでばっかなんだ。それであんなに人気があるなんて、いいなって思ってました(笑)。
CD収録曲
- メイビリーン
- 夢と理想のフェスティバルに行きたい
- パーフェクトライフ
- ガール女モーターサイクル
- THE ROBELETS
- Goodmusictime!!
- 太陽ロールバンド
- 私のシンフォニー
- 王国の謎
- 憧れられたい
- FaFaFa (素敵じゃないか)
- 五人の若者劇場『タイムマシーン秘話』
THE BOHEMIANS(ぼへみあんず)
妖艶でグラマラスなルックスと、UKロックの系譜に連なるポップな楽曲、荒々しくも骨太なバンドサウンドで人気を拡大中の「ロックンロールアイドル」。同じ大学で同じ学科だった平田ぱんだ(Vo)とビートりょう(G)によって2004年に結成される。その後、本間ドミノ先生(Key)を迎えて山形と仙台のライブハウスを中心に活動を開始。大学卒業後に東京へと拠点を移し、星川ドントレットミーダウン(B)とチバ・オライリー(と無法の世界)a.k.a ジャン(Dr)が参加して現在のメンバーとなる。2011年にフォーライフよりメジャーデビューアルバム「憧れられたい」をリリースする。