Blue Vintage × Def Tech対談|なぜブルビンは“憧れの先輩”と今このタイミングでコラボできたのか

Blue VintageがDef Techをフィーチャリングゲストに迎えたニューシングル「Mother Land feat. Def Tech」をリリースした。

サーフカルチャーに影響を受け、ハワイアンやヒップホップ、チルアウトミュージックなどを内包したサウンドが特徴のBlue Vintageにとって、Def Techは憧れの大先輩。実は両者は以前より交流があり、今回満を持してコラボするに至ったという。これまで鈴木愛理やSALU、関口シンゴ(Ovall)、CHICO CARLITOといったアーティストをフィーチャーしてきたBlue Vintageはなぜ今このタイミングでDef Techに声をかけたのか。千葉・館山でミュージックビデオの撮影をしている現場とつないでもらい、Blue VintageのJ.Speaks(Vo)とTaiga(G)、そしてDef TechのMicroとShenの4人にリモートで話を聞いた。

取材・文 / 中山洋平

大失恋のTaigaを癒やすために傷心旅行へ

──まずBlue VintageとDef Techが出会ったきっかけを教えてください。

Taiga(G / Blue Vintage) 僕が18、19歳の頃にサーフィン仲間の先輩を通じてMicroくんと出会いました。そこから急速に仲よくなって今に至ります。

Micro(Def Tech) 何年前だっけね? 懐かしいなあ。

Taiga 13年くらい前ですね。僕が中学生の頃にDef Techの「My Way」がリリースされて以降大ファンで、ずっと聴いていたのでその当時は「やっと会えた!」という心境でした(笑)。いつかDef Techと一緒にやりたいとずっと思っていたので、今回ようやく願いが叶ってうれしいです。

Blue VintageとDef Tech。

Blue VintageとDef Tech。

──出会った当時はファン心理が働いたというか、ミーハーな部分があったということですね。

Taiga そうですね。ありました。

Micro 僕は彼のそんな気持ちを感じたことはまったくないですけどね(笑)。

Taiga いやいやいや。

Micro 僕がよく覚えているのは仲よくなり始めた頃にTaigaくんが大失恋したことかな。どうしようもないくらいに傷付いていたので「一緒に旅に出よう!」と誘いました。それで香港、グアムを巡ったよね。

Taiga あと、中国のハイナン島にも行きました。ハワイのような素敵な景色が広がっているところ。

Micro 行ったね。サーフトリップを目的としている中でグアムの夜には珍スポットにも行った(笑)。Taigaくんのブロークンハートを癒す中で、2人で一緒に音楽を奏でたりもしました。僕ら機材を現地に持って行ったんだよね。

──ということはずいぶん前から水面下で共演はしていたんですね。

Taiga なんとなくですけど曲を作ったりはしていました。ただ、オフィシャルで楽曲を発表するのは今回が初めてです。

Micro Jくんともフェスなんかでよく会っていたよね。出演する時間帯が近かったことも何度かあったからバックヤードで話したりして。それと僕が主演を務めた「すけ坊」というショートムービーでBlue Vintageの「Good Morning Tokyo」「Empty Room」をテーマソングに選ばせてもらったことがありました。

──J.SpeaksさんにDef Techの姿はどう映っていましたか?

J.Speaks(Vo / Blue Vintage) もちろん自分もDef Techのことは知っていて、初めて会ったのが確かDef Techがゲスト出演したジェイク・シマブクロさんのライブだったと思います。10年近く前にBunkamuraオーチャードホールであったライブで、そこでご挨拶させていただきました。Def Techは僕らがサーフミュージックを表現するうえで絶対に避けては通れない大先輩だという認識でして、そのときMicroくんから「『Good Morning Tokyo』と『Empty Room』を気に入ってるんだ」というお言葉をいただいて、めちゃくちゃうれしかったんですよね。それ以降ずっと「Def Techとコラボができたら最高だな」という思いが漠然と頭の中にありました。ただ、僕らとしてはBlue Vintageをちゃんと大きくしてお客さんを呼べるようになってから、正式にコラボをお願いしたいと思っていたんです。仲良しだからこそ甘えちゃいけないというか。そんな中で、去年6月に1つの目標だったLIQUIDROOMでのワンマンライブを経験して、自然な流れでDef Techとのコラボの話が生まれました。

Blue Vintage。左からJ.Speaks(Vo)、Taiga(G)。

Blue Vintage。左からJ.Speaks(Vo)、Taiga(G)。

──Blue Vintageがアーティストとしてさらに1歩前に進むために、Def Techにコラボを依頼したというか。

J.Speaks 胸を借りるじゃないですけど、そんな感じです。まず前提として僕らはDef Techに対してめちゃくちゃリスペクトがあるんですよ。だからこそ「仲がいいから曲を作ろうよ」という馴れ合いは絶対にしたくなかった。僕らも2023年に結成10周年を迎え、LIQUIDROOMワンマンという区切りのステージを踏み、今ならコラボできるというか、自信を持てたことが大きかったと思います。

──ShenさんはBlue Vintageをどのように見ていましたか?

Shen(Def Tech) Microが一緒に遊び始めた頃からちょくちょく名前は耳にしていたんだけど、曲を聴かせてもらったとき、ギターと歌い手がものすごくマッチしてきれいなグルーヴを作っていて「何なんだこのコンビは」と思った記憶があります。曲に共鳴するものを感じたし、今回のコラボの話も「やりたい」と素直に思いました。そういう部分のMicroのセンサーは信頼しているし、Blue Vintageの2人となら一緒にフィールできるなって。でも初めて会った瞬間から「はじめまして」という気はしなかったな。

──TaigaさんとMicroさんが偶然出会い、そこから2人がある種男らしい旅をともにして以降、ずっと地続きで関係性が発展しているんですね。

Taiga そうですね。その節は癒してもらいました(笑)。

満を持してコラボのオファー

──満を持して「Mother Land」が制作されたわけですが、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

Taiga まず正式に「コラボをお願いしに行こう」とJくんと決めて、Microくんに連絡してごはんを食べに行きました。すると快く「OK。Shenにも伝えておくから」と即答してくれて。

Micro 最初にBlue Vintageが用意してくれたデモテープがめちゃくちゃよくて、それを形にしたものが「Mother Land」です。実はもう1曲のデモも存在していて、それはいつか形にできればいいなと思っています。

Blue VintageとDef Tech。

Blue VintageとDef Tech。

──Def Techの魅力はどんなところだと感じていますか?

J.Speaks まず前提として、僕たちがやっている音楽はDef Techから大きな影響を受けています。Microくんのフロウだったりバイブスやアーシーさは自分の表現にも通じる部分があると思っているし、僕もShenくんと同じようにハワイに住んでいたことがあったので、そういったアイランドバイブスにもシンパシーを感じていました。常にシーンの最前を走っている大先輩がDef Techという感覚ですね。

──Blue Vintageはこれまで鈴木愛理さんやSALUさん、関口シンゴ(Ovall)さん、CHICO CARLITOさんなどさまざまなアーティストを迎えて曲作りを行っていますが、今回のコラボはその中でもひと際親和性が高いと感じます。

J.Speaks さっきの話の繰り返しになっちゃうんですけど、僕らが初めてDef Techと出会ったときから、いずれ同じステージで歌うことをずっと頭の中で描いていました。そんな中でDef Techとコラボするならやっぱりアーシーさだったり、みんなが口ずさめるようなアンセム感を意識した楽曲をやりたいと。それで形になったのが「Mother Land」です。「OCEAN PEOPLES」というフェスで初めてDef Techと一緒にステージに立って歌わせていただいたんですけど、僕らはステージに立つ前に2人で「やべえ、うちら『My Way』のあとに呼ばれるんだ」ってすごく感動していたんですよ。

Blue Vintage。左からJ.Speaks(Vo)、Taiga(G)。

Blue Vintage。左からJ.Speaks(Vo)、Taiga(G)。

──舞台袖で「My Way」を聴いていたときはどんなことを考えていたんでしょうか?

J.Speaks 「夢が叶う瞬間ってこんな感じなんだ」と思ったというか、不思議な感覚でしたね。

Taiga 「My Way」が演奏されたあとにBlue Vintageコールをもらったので「本当に現実なのかな?」ってね。

J.Speaks Def Techのライブをお客さんとして観ていた時代もあったので「My Way」が流れたあとに僕らが登場するのはなかなか味わえない感覚というか。過去と現在がつながったドラマを見ているようでした。