田邊駿一(BLUE ENCOUNT)×北村匠海(DISH//)|サウナを愛するボーカリストたちの“トトノウ”サウナ談義

初夢みたいだ(笑)。一富士二鷹どころじゃない

──近場もいいけど、非日常な場所で味わうサウナもいいですよね。北村さんは17歳のときからサウナに通い始めて。しかも最初に行ったのがサウナ愛好家の中でも名高い、天空のアジト マルシンスパ(東京都渋谷区)だったそうですね。

北村匠海(DISH//)

北村 そうなんです。俳優の仲野太賀くんとドラマの現場でご一緒したとき、サウナにすごくハマっていた彼が「匠海も絶対あの感覚は知っといたほうがいい」と言ってマルシンスパに連れていってくれたんですよ。そこで「どうだ、これが“ととのう”だ」って言われて。その姿に「自分も『ととのう』って言いてえー」と思ったのが始まりです(笑)。

田邊 そういえば匠海くん、「ととのったときの感覚が旅立ったような感じ」なんだと以前言ってましたよね?

北村 そうですね。いろんなパターンがあるんですけど、それこそFuttu villaに行ったときは、僕、カモメの群れと一体化したんです。空を飛べた感覚になったというか。

田邊 そこにシンクロできるぐらいなんだ。でも本当にいい景色だとそうなりますよね。俺、上野のサウナ&カプセルホテル北欧でちょっと空が見えて、電車の音とか都会の喧騒が聞こえただけでもととのうから。それだけでもすごく心地いいのに、カモメと一体化できたときは、それはすげえだろうなって。

北村 カモメが上にいて、パッと横を見たら、富士山に夕日が落ちていって。涙出ますよ。

田邊 ヤバい、初夢みたいだ(笑)。一富士二鷹どころじゃない。

北村 その時は貸切だったんですが、サ室(サウナ室)の中でのルールもないから、サウナの中で冷凍みかんを食べたんですよ。

田邊 わ、めっちゃいいね。

北村 めちゃくちゃおいしいですよ。冷凍みかん、ハンパじゃないです。口に運ぶたびに高速でととのう、そしてサウナの熱を感じるっていう反復運動(笑)。ヤバいっす。

田邊 そっか、客室サウナがあるところはマイルールが適用できるんだ。友達同士で行ったらいろんな楽しみ方ができるよね。

北村 そう。冷凍みかん、食べるとここ(喉)を冷たいものが伝うんだけど周りは温かいから、喉だけ“水風呂”なんですよね。

田邊 ヤバいわ、俺、プロサウナーと会話してる!

田邊駿一(BLUE ENCOUNT)

──楽しみ方がけっこう先を行ってますよね(笑)。田邊さんのサウナ初体験はどんな感じだったんですか?

田邊 僕はサウナに初めて入ったのが、泉谷しげるさんがやられている「阿蘇ロックフェスティバル」っていうフェスに2018年に出させていただいたときだったんです。アーティストが泊まるホテルにサウナ付きの温泉があって。「そういえばサウナって体にいいと聞くな」と思って、無知識で入ったんですよ。今思うともうむちゃくちゃなんですけど、サ室に3分、水風呂に3分っていうのをバカみたいに繰り返して(笑)。それで次の日もれなく風邪引きました。だから僕の中ではマイナススタートだったんです。ちょっと間違うと体調悪くなったりすることない?

北村 長野で映画の撮影をしていたときに、KANDYTOWNのメンバーでもある上杉柊平くん……一番仲いい友達なんですけど、柊平くんにサウナを教えたら、彼がどっぷりハマって。あるとき、早朝から2人でととのっちゃったことがありましたね。長野なんで水質もめちゃくちゃいいんですよね。

──田邊さんは逆に仕事前に行くらしいですね。

田邊 はい。僕は歌番組収録の前は絶対に。朝起きたら顔パンパンになってるんで、絶対に入ります。根底にある集中力……「ここは譲っちゃいけない」みたいな気持ちを残しながら入るので大丈夫なんですけど、ライブの日に入ったらダメでしたね。ワンマンの日に1回入ったんですけど、もう1、2曲目の歌詞をガッツリ忘れてるみたいな(笑)。そういうミスが増えるかな、みたいなことはあります。だから、ライブの日はパフォーマンスが終わったあとに入ります。

左から田邊駿一(BLUE ENCOUNT)、北村匠海(DISH//)。

サ室での思考

──ちなみに、サ室では普段、何を考えてます?

北村匠海(DISH//)
田邊駿一(BLUE ENCOUNT)

田邊 何考えてるかなあ。

北村 何考えてるかな……って、たぶん今みたいなボンヤリとした感じなんですよね。

田邊 記憶があんまりないですからね。でも、これも何かの番組で観たんですけど、北村くん、数を数えて瞑想に入るって言ってましたよね。カウントアップして、途切れたら1に戻るって。俺、今日ここに来る前にサウナに行って、それをやってみたんです。そうしたら途切れまくるんですよ。ただ僕の場合、途切れてても「数を数えなきゃいけない」という使命感が頭の中に残っているから、なんとなく数を覚えてるんです。その“途切れる感覚”って、どういう感じなのかなって。

北村 僕は座禅もやったことがあって、そこで「数字を数えなさい」と言われたんです。「無にならなきゃ」と思うこと自体が無じゃないから、サウナでも座禅と同じように数を数え始めたんですけど、途切れるときは……「あ、途切れた」という感じじゃなくて、「48? いや、7……?」みたいな。「50まで行ったけど、あれ、手前の46……だったかな……」みたいな感じなんですよね。

田邊 そういう感じになるんだ。だったら俺はまだ全然理性が働いてましたね。煩悩があったというか。瞑想に成功した人って「パッと目を閉じて開けたら、もう数分経ってた」みたいなことをよく言いますけど、俺、1回もそういうふうになったことがなくて。だからさっきの「何を考えてるか」という質問の答えを返すと、めちゃくちゃいろいろ考えてると思います。「今日北村くんに会えるから何言おうかな」ということから、「そういえば明後日までに何をしなきゃいけない」とか。頭の中にあるタスクというか、仕事を全部冷静に思い出して整理してっていう作業をけっこうやるかもしれないですね。

──人によって、どちらのタイプもあるんですね。

北村 そうですね、もう人それぞれだと思います。「ととのう」って感覚も、けっこういろいろな場面にあると思うんですよ。ごはん食べててもあるし、お酒飲んだりとか……僕はカレーとラーメンを食べているときにもけっこう感じたりします。

湯に言ってあげてください。「愛してるぞ」と

──北村さんはサウナの前にはカレーを食べるそうですね。

北村 そうなんですよ、ルーティンとして。例えば池袋のかるまるの近くには、カレーは飲み物。というお店があったり……ほかにもいろいろなカレー屋さんあるんですけど、サウナの近くのお店に行って、ちょっと体の温度を上げておくというか。そうすると、1回目のととのい方が全然違うんですよ。

田邊 それを番組で観たときに、俺は「本当にこの人と話したいな」と思ったんです。俺も体の中の温度を上げるために、必ず白湯を飲んでからサウナに行くんですよ。胃袋から温めるっていう。体の中が冷えていると、温度を感じづらいので。もう「1発目からこの温度ごと食い散らかしてやろう」ぐらいの準備というか(笑)。

北村 そうですね。辛さと熱さで体内温度を上げて。で、僕はサウナに行ったら絶対に、まずは湯を楽しむんです。サウナだけ行くのは失礼なんで。

田邊 「それだけの関係なんだ」って言われるのは嫌だしね、施設に。「やることやって帰るんだ」みたいな感じで思われるのもね(笑)。

田邊駿一(BLUE ENCOUNT)
北村匠海(DISH//)

北村 「真剣交際ですよ」って。「こっちは籍入れるつもりで来てますよ」という話を、ちゃんと湯にしてあげるっていう(笑)。

田邊 でも僕は……これだけ言っておいてアレなんですけど、いきなりサ室に行くタイプです(笑)。いやでもね、時間がないときはどうしてもやっぱりそうなるんです。そういうときは、サ室に直行はないですけど、体を洗ってしっかりお湯をかける。ちゃんと“ご挨拶”はさせていただきます。彼女の家に行って、いきなり部屋に上がらない。ちゃんとリビングにいるお父さんお母さんに挨拶するという。

北村 玄関で脱いだ靴もちゃんとそろえて(笑)。

田邊 そう、そこの節操はちゃんとしてますよと(笑)。帰る前には「夜ごはん食べていく?」って言ってもらえるぐらいのトークはしますよ……って、これ何の話ですかね(笑)。でも本当にね、ちょっとあるよね。特にサウナしきじ(静岡県静岡市)みたいな、水質を大事にしてるところはやっぱり湯を体感してから行きますよ。

──それがマナーであると。

北村 ですね。

田邊 ちょっとこれからはしっかり湯に浸かるようにします。

北村 湯に言ってあげてください。「愛してるぞ」と。