BLACK DIAMOND「SHINING DIAMONDS」インタビュー|初のアルバムに込めた音楽への“本気” (2/2)

ダンスの先生と一緒に号泣

MARY 当日を迎えるまではいろんな重圧と戦っていて、4人で声を出しながら泣いたこともありました。

ANRI あったねえ。大パニック状態の中、歌割りやダンスのポジションを急ピッチで差し替えていって、お客様の前で完璧なものをお見せしなくてはいけない。追い詰められた私は、とうとう泣き言を口にしてしまったんですよ。先生に対して「もう無理です」って……。ライブまでは残り2日くらいしかないから間違えちゃいけないんだけど、どうしても間違えちゃう。そんな自分が本当に悔しかった。感情と涙があふれてきて、それでパッと周りを見たら、なぜか先生もMARYもANRIもL.Vも泣いていて。

L.V 泣くよ、あれは! 要するにANRIは完璧にしたいわけですよ。でも、限られた時間の中ではどうしたって完璧にはできない。だから全部がグタグタになるよりは、ポイントを絞って、そこの精度を高めるほうが現実的じゃないかという考え方になって……。

──なるほど。一理あります。

L.V 先生としても「やっぱり5人じゃないとダメだね」とメンバーが批判されることは絶対に避けたかったそうで。一種の親心だと思いますが、4人でも5人と同じレベル……むしろ5人を超えるものを見せなくてはいけないと考えて、あえて無茶なオーダーを私たちにしていたんです。

MARY ANRIを見ていて苦しかったです。ANRIも先生も、ベストを目指したいという気持ちは同じなわけで。

L.V ANRIは「ごめんなさい。私がもっと上手にできればいいんですけど、やっぱりもうちょっと引き算しないと現実的には……」と涙。先生も先生で「いや、私こそ申し訳ない。正直、無茶なことをお願いしているという自覚はありました……」と泣いていて。そしてなぜか私も「こんなの誰も悪くないから! 次、“ごめんなさい”って言ったらビンタしますよ!」と号泣するという(笑)。

──昭和の学園ドラマみたいですね。

L.V この話は、まだ続きがあるんですよ。泣くだけ泣いたあともリハを続けるしかなかったから、ポイントを絞って引き算した状態で粛々と進めていったんですね。それで変更点の確認が一段落したくらいのタイミングで、ANRIが「さっきのもう1回やらせてください」って言い出したんです。「今はちょっと心に余裕ができたから、あれくらいだったらいけるかもしれない」と。

ANRI できるんだったら、もちろん先生が提案してくれたものをやったほうがいいですからね。

MIIRO それで結局、先生が最初に出してきたオーダーを全部やり切ったんです。

MIIRO

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──そんな嵐のような状態で当日を迎えたわけですね。

MIIRO 無我夢中でした。当日もジャケット撮影などがあって、本当に慌ただしかったですし。確かライブが18時からだったんですけど、気付いたら本番直前になっていました。でも……いざ始まったら、超楽しかった!

──楽しかったですか!

MIIRO 最高でした! 安っぽく聞こえるかもしれないけど、努力は裏切らないんだなと人生で初めて思いました。本当にメンバー全員、肉体的にも精神的にも限界はとっくに超えていたんですよ。でも、そこで「休もう」なんて誰も言わなかった。限界突破した先に新たな境地が開けたような手応えがあった。みんなの目指しているものが完全に一致して、魂がひとつになったように感じましたね。

──MIIROさん、キャッチーな言葉がポンポン飛び出しますね。

MIIRO あの日のことは、これから先もずっと忘れないだろうなあ。4人がひとつになったことに加えて、ファンの方ともひとつになった感覚があったんですよ。去年のショーケースは目の前のことをやるだけで必死だったけど、2月のライブは客席を見ながら楽しむ余裕があったので。

ANRI 直前にドタバタが続いたものだから、パフォーマンスに課題が残ったのも事実です。ただ、手応えもすごく感じました。周りの方からは、「生でこれだけしっかり歌えるのはすごい」とお褒めの言葉もけっこういただきましたし。BLACK DIAMONDを結成したばかりの頃は「リップシンクでいくか」という話も出たんですよ。だけど、それはちょっと抵抗あったんですね。せっかく歌が上手なメンバーがそろっているわけだし、ましてや世界を目指すのであれば実力派でいかないとダメだろうと思っていて。

ひと言では言えない多様性を感じられる1stアルバム

──前回のインタビューでは「ライブのセットリストが組めるようにオリジナル曲を急ピッチで制作している」という話がありました(参照:BLACK DIAMOND インタビュー|初ワンマンに5週連続リリース、世界進出に向けてギアを上げるとき)。5月15日に待望の1stアルバム「SHINING DIAMONDS」がリリースされましたが、ここからはライブの本数も増えていくのでしょうか?

L.V もちろんメンバーはそのつもりです。実は今、海外でのライブも調整しているんですよ。もう少ししたら発表できると思いますが、ここからいよいよ本格的に世界を目指していくつもりなので、海外の方も楽しみにしていてください。

──アルバムはショートインスト2曲を含む12曲が収録されていますが、既発曲はボーカルをレコーディングし直したと伺っています。

ANRI メンバー脱退がありましたからね。レコーディングするにあたって、前に録った自分のボーカルを聴いたら、下手すぎて唖然としました。最初の配信曲「Super Duper」の頃なんてボイトレもほとんど通っていなかったですし。でも下手クソだったことに気付けるというのは、自分が進化しているからじゃないですか。それを考えると、「恥ずかしい」というより「うれしい」という気持ちのほうが大きかったですね。

──改めてBLACK DIAMONDの音楽性を説明するとしたら?

L.V アルバムを通して聴くと、本当にいろんなタイプの曲があるんですよ。バラエティ豊かだし、「これだ!」とひと言では言えない多様性が特徴かもしれません。そもそも私たちは結成当初から“ダイバーシティ”をテーマに活動してきましたから。いろんな人たちがいて、いろんな価値観があって、いろんな見せ方があっていいでしょ?という考え方ですね。それが音楽面にも反映されているんです。

MARY 楽曲を提供していただいた方はバラバラなんですけど、レコーディング作業を担当してくれたのはほぼ同じ方でして。だから曲はダイバーシティ感がありつつも、ガチャガチャした印象はないはずです。一定のトーンで統一されています。

MIIRO アルバム「SHINING DIAMONDS」は、文字通りダイヤモンドの多面体のようなイメージ。私たちのいろんな面が見られる1枚になっていると思います。「こういう声も出せるんだ」とか「こんな表現も身に付けているんだ」と、新たな発見があるのではないかと思います。いろんな角度から楽しんでいただきたいです。

名義を変えてアーティスト活動している理由

──日本のセクシー女優は海外でも非常に有名で、BLACK DIAMONDは“SNS総フォロワー数950万人以上”というのが大きな特徴です。ただ、皆さんはBLACK DIAMONDでは別名義で活動をしていて、フォロワー数のメリットが活動にあまり結び付いていない印象もあるのですが。

L.V 確かにそこは難しいところなんですよね。そもそもアダルトのファンと音楽ファンの層があまり被らないという現実もありますし。

L.V

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──例えば恵比寿マスカッツの場合、アダルトのほうでメンバーを知ってライブに行くファンも大勢いたわけじゃないですか。

MARY 名前を変えたのは、アーティストとしてちゃんと認めてほしいという思いがあったからなんです。セクシー女優・橘メアリーの名前に頼るのは、何か違う気がして……。

ANRI 私としては、音楽ファンにアピールしたいという気持ちがすごく大きいんですよ。それから女性の方にアピールしたいという気持ちも同じくらいあります。だから、アダルトで使っていた沖田杏梨という名前をあえて封印したんですね。中途半端に腰掛けで歌っているわけじゃないので。音楽リスナーの方にも「そこまでちゃんとお尻を洗ってきているなら、ちょっとは認めようかな」とBLACK DIAMONDのファンになってもらいたい。

──名前を変えたことについては、メリットとデメリットの両方がある?

MARY そうですね。どう冷静に考えても、橘メアリーの名前にはアダルトのイメージしかないので。でも、それは私が努力してきた証でもあるから、その名義のSNSもありがたく告知に使わせていただいてます。

L.V SNSも難しいところがあるんですよ。例えばX(Twitter)ではBLACK DIAMONDのメンバーとしてのアカウントをそれぞれ作っているんですね。私だったら、佐山愛ではなくL.V名義のアカウントを。それはなぜかと言うと、アダルトのアカウントって規制が異常に厳しくて、やたらめったらBANされちゃうからなんです。

MIIRO これはけっこう切実な問題です。

L.V セクシー女優というだけで、すぐ“センシティブな内容”扱いされちゃうんです。エッチな写真とかを一切アップしていなくてもダメ。一般の方が裸の写真を上げるのは許されるのに、私たちは普通の洋服を着ていても危険視されてしまう。それはXだけじゃなくて、YouTubeやInstagram、TikTokでも同じですね。

──そういった事情があったんですね。

L.V フォロワー数が大勢いても、センシティブ扱いされて視聴制限をかけられると、拡散力は事実上なくなってしまう。だから名前を変えることも含め、イメージを一新させているんですよ。遠回りになるかもしれないけど、きちんと音楽のファンを増やしていきたいなと思っています。

──4人がいろんなことと戦っているのが非常によくわかりました。最後に、BLACK DIAMONDのファンに向けてメッセージをお願いします。

MARY 今回、アルバムを出せたことで、やっとアーティストとしての第一歩を踏み出せたなという充実感があります。これからアルバムを引っさげて、リリースイベントなどもどんどんやっていきます。皆さんの前に立つ機会が増えるはずなので、ぜひ会いに来ていただけたらうれしいです。楽曲の出来には自信があるので、少しでも興味を持ったら、まずはミュージックビデオを観てください!

MIIRO グループが結成されて1年半。「楽しいだけじゃないんだな」という思いと、「歌が楽しいからがんばろう」という気持ちの両方がありました。多くの人が関わってくれているし、本気で応援してくれている方もいるし、見返したい人だっている。もうBLACK DIAMONDは「歌が好きだから」という自分の気持ちを超えたところで走っている気がするんです。後戻りはできないなと覚悟を決めているので、そんな私たちから目を離さないでください!

ANRI ここからは海外へ向けての動きも本格化するはずです。新しい道を自分たちの力で切り拓いていきたいです。ただ口をパクパクさせてエサをもらう小鳥のような状態ではなく、自分からガンガン攻めていって獲物を捕獲するくらいの勢いで進んでいきます。世界中の人たちに“エンパワーメント”を与えていきますので、応援よろしくお願いします!

L.V 私たちは音楽の世界ではまだド新人なので、おごらず、威張らず、けれども自信を持って活動していきたいです。「どうせセクシー女優のお遊びでしょ?」と考えている人を、いい意味でギョッとさせたいんですよね。「こんなにクオリティが高いことを本気でやっているんだ!」って。損はさせないので、しっかりついてきてください!

プロフィール

BLACK DIAMOND(ブラックダイヤモンド)

ANRI、MARY、L.V、MIIROの4人からなるダンス&ボーカルユニット。メンバーは現役のセクシー女優もしくは元セクシー女優であり、全員のSNSの総フォロワー数は950万人を超える。「女性のエンパワーメント」というテーマのもとグローバルな活動を視野に入れて始動し、2023年3月にデビューシングル「Super Duper」「hungry spider」を同時配信した。2024年1月より5週連続で配信シングルをリリース。2月に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で初のワンマンライブを開催し、5月に1stアルバム「SHINING DIAMONDS」をリリースした。