BLACK DIAMOND インタビュー|初ワンマンに5週連続リリース、世界進出に向けてギアを上げるとき

現役のセクシー女優と元セクシー女優からなる5人組のダンス&ボーカルユニットBLACK DIAMOND。「女性のエンパワーメント」というテーマのもとグローバルな活動を視野に入れ、2023年に始動した彼女たちは、今年2月26日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で待望の初ワンマンライブを開催する。これに合わせ、1月24日配信の「Gain」を皮切りに5週連続の新曲リリース企画がスタート。世界進出へ向け、いよいよBLACK DIAMONDの活動が本格化していく。

音楽ナタリーではデビュー直後に行った昨年の取材に続き、メンバー5人にインタビュー(参照:BLACK DIAMOND インタビュー|世界で活躍するユニットへ、本気のパフォーマンスで示す偏見への“宣戦布告”)。ここまでの活動で感じた手応えや各メンバーの強みをアピールしてもらいつつ、新曲について話を聞いた。

取材・文 / 小野田衛

生きている実感がある

──BLACK DIAMONDの音楽ナタリーでのインタビューは2回目になります。前回はグループが始動したばかりのタイミングでしたが、その後実際に活動を始めてみて感じたことはありますか?

MIIRO 私は前からずっと音楽をやりたかったので、そういう意味では「夢が叶った」という気持ちが一番大きいです。本当にBLACK DIAMONDの活動が始まってから生活が充実しているんですよ。楽曲ができあがって、レコーディングをして、ダンスの練習をして……そういう日々を送る中でライブも決まって。毎日が音楽漬けだし、なんというか、生きているという実感があるんですよね。

──大袈裟かもしれませんが、「お母さん、産んでくれてありがとう」みたいな感慨?

MIIRO あはは! でも冗談抜きに、親もこの活動をすごく喜んでくれているんですよ。ショーケースライブにも来てくれたし。少しは親孝行ができたかなと思っています。

MIIRO

MIIRO

──ARISさんは、いかがですか?

ARIS いやー、大変っすね。

L.V それで終わり? コメントが軽すぎるよ(笑)。

ARIS (笑)。私、なんだかんだで10年もセクシー女優を続けているんです。その中でアイドルグループ(マシュマロ3d+)での活動も5年くらいしてきました。だけど今BLACK DIAMONDでやっているのは、これまでとはまったく違うこと。新しいことを始めるのって、単純に大変ですよ。人間、環境が変わると疲れますから。

ANRI 確かに、それはあるよね。

ARIS ここまで売れている時期も売れていない時期も経験したけど、私の姿を観て「自分もがんばってみようかな」と考えてくれるファンの方も実際にいるんです。知り合いのカメラマンさんは、私がBLACK DIAMONDで別の道を歩き始めたのを知って、新たに監督のお仕事も始めたらしくて……。そうやって少しでも人に影響を与えることができるとやっぱりうれしいです。これからもがんばっていこうと思いますね。

L.V 素晴らしい! 私に関して言うと、セクシー女優としてはずっと専属でやっていましたけど、それ以外のタレント活動……例えばバラエティとかグラビアからはしばらく距離を取ってきたんですね。ぶっちゃけた話、女優の活動だけでも生活することはできますし、年齢的にいつまでも出しゃばるのはどうかと思いまして……。そんな中、歌って踊ったこの1年はすごく濃密に感じました。中途半端なものは見せられないというプレッシャーもあったし、きちんと結果を出さなきゃいけないという気持ちも強かったです。

──全力で駆け抜けた約1年だったと。

L.V はい。私の場合、オーディションの最後に横から滑り込むような形で加入したので、やることに説得力がなかったらメンバーからも信頼されなくなるかなと思ったんです。世界を目指すという目標を掲げて始まったBLACK DIAMONDですが、そのためにはまず一番近い存在のメンバーに認めてもらわないと……。

L.V

L.V

MIIRO いや何を言ってるんですか、めちゃくちゃ頼りにしていますよ! L.Vちゃんは、ものすごく優しいんです。私がふさぎ込んでいたときは、バナナを30本くらい家に送ってくれましたからね。バナナを食べると幸せホルモンが出るらしくて(笑)。レッスンのあとに食事に連れて行ってもらったりもしますし、家に遊びに来てくれることもあります。

ANRI 私がこのグループにL.Vを誘ったのは、そういったホスピタリティに期待したところが大きいんです。なかなかいないですよ、ここまで人間としての器が大きいタイプは。

Zeppでのショーケースライブで感じた“欲”

──BLACK DIAMONDはチームバランスが取れたグループのようですね。ANRIさんにとっては、この1年弱はどうでしたか?

ANRI 「私はアーティストです」と胸を張って宣言できるようになりました。これはすごく私にとって大きなことなんです。というのも、ほかのメンバー4人は現役のセクシー女優ですけど、私はもう8年も前に引退しているんですよ。だから肩書的には宙ぶらりんというか、これまでは元セクシー女優という扱いに甘んじるしかなくて。セクシー女優の現場から離れてだいぶ経っているのに、いまだに現役の方から「同業ですね」と言われたりして違和感があったんです。

──別にANRIさんはセクシー女優という職業を下に見ているわけではないですよね。

ANRI もちろん。むしろ逆です。これは私に限った話ではなく、セクシー女優という職業は、引退してから第2の人生を歩むのがすごく大変で。みんな苦しみながらも、なんとか自分で新しい道を模索するわけですけど、そこで「セクシー女優出身の」と紹介されちゃうと前に進めないんですよ。そういう意味で言うと、私たちがBLACK DIAMONDでアーティスト活動をちゃんとやっていることは、後輩たちにとって一種の指針になるんじゃないかと思っています。

L.V うん、それは間違いないと思うよ。

ANRI 実際、知らない若いセクシー女優の子からSNSでフォローされるようになったし、スタッフさんや業界の人たちもBLACK DIAMONDの動きに注目しているみたいです。時代が変わってきたとはいえ、いまだにアダルト業界に対する偏見というのは根強いですからね。後輩たちが新しいことをやろうとしても、「しょせんAV風情が」などと叩かれる現実がある。そういう中で「ああいった未来もあるのか」とBLACK DIAMONDに希望を感じてくれたら、とてもうれしいです。

MARY ここまで活動を振り返ってみると、やっぱり去年の5月にやったZepp Hanedaでのショーケースライブが大きかったと思います。スタッフの方が大々的にプロモーションをしてくださって、友達やファンの皆さんもすごく応援してくれて……当日はお客さんが振りを覚えて真似してくれたことが印象に残っていますね。経験が浅い中、大きなステージでのデビューだったのでプレッシャーもすごかったですけど。

MIIRO あの日は本当に緊張しました……。

MARY 勉強になることも多かったです。ステージを終えて痛感したのは、“完璧に歌って踊れること”と“輝くこと”は違うということ。当日の様子をYouTubeで見返すと、反省点も目につくんですよ。自分の中でどれだけ100点を目指していても、冷静に振り返ると全然輝けていないなあと反省しきりで。もちろんステージ慣れしていないのもありますけど、私は人より手足が長いほうなのに、そこをダンスに生かせていなかったり……。“魅せ方”については、まだまだ課題が残りますね。特にこの数カ月は、その反省点をどれだけ改善できるか考えながらレッスンしてきました。

──ほかのメンバーは、ショーケースライブでどんな手応えを感じましたか?

ARIS キラキラしていて、音響もすごくて、最高に気持ちよかった!

ANRI またコメントが軽い(笑)。Zeppのステージに立てたことが光栄だったし、感謝の気持ちがあふれてきましたね。あのステージに立ちたくても立てないアーティストがたくさんいるわけじゃないですか。ただ、それと同時に“欲”も出ました。この会場が満員になったら、どんなに素敵なんだろうって……。私はLiSAさんが大好きなんですけど、Zepp Hanedaが1階も2階も超満員になっているライブ映像を観たことがあるんです。もちろん現時点ではLiSAさんと自分たちを比べるのはおこがましい話ですけど、チャンスをつかめるチケットを手にしているのは事実ですから。ここで努力しなかったら、本当に生まれてきた意味がないという気持ちでいます。

L.V 会場を埋められなかったのは悔しかったですね。あのときはあくまで関係者向けのショーケースだったから、集客うんぬんを議論しても仕方ないんですけど、単純に目の前で大勢のお客さんがワーッと沸いている光景が見たいじゃないですか。たまにメンバー同士で夢を語ることがあって、「いつか東京ドームでやりたい」とか「コーチェラ(・フェスティバル)に出たい」という話が出るんですけど、そのためにはまず目の前のことをクリアしていく必要がある。自分たちの中で「Zeppを満員にする」という目標が明確になりました。

──当日、一般のファンは入れなかったんですか?

MIIRO ファンクラブ会員の方や、SNS抽選での無料招待を当てた方が来てくれました。

L.V 反省点は残りましたけど、自画自賛すると「初めてにしてはがんばったな」という気持ちもありました。「この先、もっと高みを目指せるんじゃないか」という確信に近い手応えが。

MIIRO 私はZepp Hanedaのステージに立つ前、すごく怖かったんです。これまでCLUB CITTA'に立ったことはあったけど、そのときよりもさらに会場が大きかったですし。でも衣装を着て5人で並ぶと不思議と緊張が和らいできまして……。隣に立つメンバーに対する信頼があったし、これまでいっぱい練習してきたんだという自信もありました。このメンバーで一緒にがんばっているという事実が、すごく心強かったんです。