BiSH|1人ひとりのために心を込めて届ける「LETTERS」

それぞれの表現

──タイアップ以外ではファッション誌の表紙を飾る機会も増えてきています。リンリンさんはBiSHメンバーで唯一Instagramアカウントを持っていますね。

リンリン はい。楽しんでやってます。でもなんでこういう写真を撮ったのかが伝わる写真を載せたいから、その点ではけっこう苦戦してます。清掃員だけじゃなくてどんな人が読んでも面白いと思える文章を考えるのは大変ですね。写真を撮るにしても、載せるにあたって意図を考えてから撮らなきゃいけないと思っているので。あと映画を観たあとに描いた絵を載せることもあります。絵自体は昔から描いていて、今もたまーに描くって感じです。

──モモコさんはエッセイ本の第2弾プロジェクトが立ち上がりました。

モモコ 普通に作ってもいいと思ったんですけど、今回はクラウドファンディングを使って、1つ話ができあがるごとにそれを配信してお客さんに制作過程を見てもらうっていうのを醍醐味にしてもらえたらと思って。支援してくれた1人ひとりの声をどれだけ聞けるかも踏まえつつ、どれだけ自分の文章を読んでもらって伝えられるのかを一番に考えてます。

──日頃メモしているものが作品になっていくという。

モモコ そうですね。渡辺さんから「絶対に2作目を書いたほうがいい」とはけっこう前から言われてたので。ちょっとネタになるようなことはコロナ前からけっこう書き溜めていて、今はそれを肉付けしている段階です。

──アイナさんは新たにチャレンジしたことなどはありますか?

アイナ・ジ・エンド

アイナ 最近だと、さっき話題に挙がった「CDTVライブ!ライブ!」で椎名林檎さんの曲を歌わせていただいたことは、自分にとって大きな出来事でした。それ以前に林檎さんの楽曲を歌わせていただく機会は何度かあったんですけども、テレビの生放送で「罪と罰」を歌うのは初めてだったのでドキドキやったんです。「罪と罰」は自分の内面をえぐり取られるような気持ちになる楽曲で、林檎さんの楽曲の中でも自分が歌うとなると難しいイメージでした。たくさん練習したし、林檎さんのライブ映像を漁っていろんなバージョンの「罪と罰」も観ました。カバーしている方の映像まで観たんですけど、あまりにいろいろ観すぎて「これじゃダメだ!」と思って、何も映像を観ないようにした時期もあって。そのぐらい1曲に向き合ったっていうのは初めての出来事でしたね。

──実際に歌ったときの心境は?

アイナ いざ本番を迎えたら、歌ってるときには林檎さんへの感謝の気持ちしか頭になかったです。「女の子の味方でいてくれてありがとうございます」「こんなブサイクな気持ちで生きてますけど、歌わせていただいてありがとうございます」みたいな。歌ってる最中は本当にこういう気持ちしかなくて、自然と緊張にその気持ちが勝ってました。そういう感覚になったのはホント初めてだったので、いろんな賛否両論あるんですけど、自分のことをもうちょっと信じてがんばろうと思いました。

メンバーの近況

──メンバーそれぞれ最近何をしていたかは聞いてますか?

モモコ だいたい把握してます。こういうインタビューのタイミングに6人で話したときに、ほかの人が何してたか聞いてるので(笑)。

──そうなんですね。アユニさんがギターを買ったというのは知ってるんですけど、ハシヤスメさんは何してたのかなとか。

モモコ あっちゃんは自宅に簡易的なスタジオを作ったって言ってますね。大きい鏡を買って、そこでダンスの練習してるって言ってました。

モモコグミカンパニー

──チッチさんは何してたんだろう?

アイナ 猫!

モモコ あはは(笑)。そうだね。家にかわいい猫が2匹いるからね。

アイナ 猫を飼ったのは自粛のちょっと前ぐらいからなんで、たぶん自粛期間中は猫とずっと一緒にいられたんじゃないかな。でももしかしたらドラムめっちゃ練習してるかも……わかんない(笑)。

モモコ でもやっぱり猫のイメージが強いです(笑)。

私たちは変わらない

──現状テレビ出演や無観客ライブの配信はあっても、お客さんの前でライブができてない状況です。演者として、画面の向こうにいる人に届くように意識していることはありますか?

モモコ 画面越しで観てるとしても、私たちがどういう気持ちで臨んでいるかは生放送だと特にバレてしまうと思っていて。だから「伝えるぞ」という気持ちでいるのはもちろんなので、どれだけ自分たちがここに懸けているのかという“心の姿勢”が大事なのかなって。でも私は普通のライブのときと同じだという点で、気持ちとしてはあんまり変わらないですね。

リンリン 私もそんなに気持ちは変わらないです。でもこの間「CDTVライブ!ライブ!」に出たときに、モモコさんと歌うところで、2人とも歌があんまり得意なほうではないからこそ「2人でちゃんとがんばろう」って支え合えてる感じがして。それが等身大の私たちというか。がんばっている人間の姿だと思えたので。歌のうまい下手とかじゃなくて、がんばっている姿がテレビを通して伝わったらいいなって、あとから自分たちの映像を観て思いました。

世界に一つだけの「LETTERS」

──BiSHとして今後の予定は?

アイナ 現状だとベスト盤と「LETTERS」の2枚が出て……。

モモコ あとは8月1日にあるリベンジライブ(「WACK TOUR 2020 "WACK FUCKiN' REVENGE PARTY"」)もまだ状況を見つつで正式には決まってないですけど、近々で現状お客さんがいる予定のライブはそれですね。

──またBiSHが清掃員の皆さんと一緒にいる景色が見られたらなと思っています。

モモコ そうだ。「LETTERS」はお店に並ぶCDのジャケットにメンバー1人ひとりがメッセージを書いてるんですよ。

リンリン

リンリン 通常盤の初回分に付きます(※BiSH「LETTERS」CD盤の初回仕様に封入される「世界に一つだけのアナザージャケット」)。

アイナ アナザージャケットっていう部類になるんですけど、相当な数を書いてますよ。

モモコ しかもジャケット1枚ごとに違うことを書いてるんですよ。だから、本当に世界に1枚だけのジャケット。清掃員に思いが届くように、力を込めて書きました。

──「LETTERS」というタイトルの意味にもつながって、CD1枚1枚が1人ひとりに向けた手紙になっているという。

モモコ はい。直筆なので。ぜひ手に取ってもらえればと思います。ランダムでメンバー1人の書いたジャケットが入るので、誰のが当たるかも楽しみにしていてください。

左からリンリン、モモコグミカンパニー、アイナ・ジ・エンド。