音楽ナタリー Power Push - BiSH
駆け抜けた“Less than SEX”と迫り来る“NEVERMiND”
6人でのツアー初日はピリピリしてた
──9月からアユニさんがツアーに参加することになって、そこからBiSHは再び6人体制になりましたね。5人体制から雰囲気は変わりました?
ハシヤスメ フレッシュな風が吹き込んできましたね。
チッチ そうそう、あっちゃんのダークサイドな空気を吹き飛ばしたね(笑)。
渡辺 でもアユニが初参加した名古屋公演はピリピリしてたよね。
モモコ そうなんですよ。アユニは名古屋がツアー初参加だったんですけどスポットで曲に参加してたわけじゃなくて、全曲通して出演したんですよ。
──いきなりのフル出演だったんですね。
アイナ それで彼女が大変だったのはわかるんですけど、ほかのメンバーも6人バージョンのフォーメーションや立ち位置を完全に把握できてなくて、リハのときにちょいちょい間違えがあって。さらに歌い忘れとかもあったからこれはヤバいなって。「なんでこんな感じなん?」って重い空気でずっとピリピリしてました。本当は初参加のアユニをサポートしなきゃいけなかったのに、自分たちがそれどころじゃなかったんですよ。
──6人体制でのスタートの日は個々がプレッシャーを感じながらライブをやっていたと。
アイナ そうですね。
ハシヤスメ 終わったあとに動画でチェックして本当にダメだなって思って。そこから時間のない中でさらに練習量を増やしていきました。
チッチ 納得のいく形になるまで時間はかかりましたね。ただアユニがどんどん成長してたし、私たちも少しずつ余裕はできてきたので、ツアーファイナルに向かって目に見えてチーム全体がよくなっていきました。
──9、10月はツアーのラストスパートということで10公演を駆け抜けました。そしてツアーファイナルは念願の日比谷野外大音楽堂にたどり着きました。
アイナ ライブが始まる前に渡辺さんがステージで挨拶をしてたんですけど「いっぱいいるね!」って言葉を聞いて、私、泣いてしまって。BiSH単独で野音をたくさんの人で埋められたことが私はうれしかったんです。私たち「BiSをもう一度始める」というテーマで結成されたこともあって、どうしてもBiSと比較されてきましたけど、BiSH単独で野音を埋められたことが信じられなくて。本番前の緊張もあって泣いちゃいましたね。
──渡辺さんは、あの日のステージに立ってみてどんな感情が込み上げてきましたか?
渡辺 やっぱり野音って僕が憧れていたアーティストが立ってきた特別な場所ですし、そこでライブをやれるっていうのは感慨深いものがありましたね。あとは彼女たちが野音で伝説と呼ばれるようなライブを作れるのか不安はありました。なので最初の挨拶のときに「この場所にいたことが自慢できるようなライブにBiSHがします」って言ったんですけど、一見いいこと言ってると思いきや、これって全部BiSHに責任を振ったってことですからね(笑)。
一同 あはははは(笑)。
渡辺 御膳立ては僕らのほうで用意しましたからね。でもひさしぶりに親父に褒められましたよ。「あのアナウンスはよかった。いつものオマエが目立ちたいだけの雰囲気じゃなかった」って(笑)。
ツアーファイナルはみんなからの愛が満ち溢れていた
──オープニングではステージに設置してあった巨大な卵型のバルーンから皆さんが登場するという演出でしたね。
アイナ 実はバルーンの中で超騒いでました(笑)。
リンリン アトラクションみたいな感じでね。
チッチ バルーンの中はずっと空気が送り込まれていたんですけど、その中にいたから気圧の変化もあって頭が痛くなって。でもバルーンが割れた瞬間、目の前に人がいっぱいいる光景が飛び込んできて、感動しました。
──その演出で一気にお客さんもテンションが上がりましたね。勢いを保ったまま最後まで突き進んだ感じで。そして終盤の「オーケストラ」ではストリングス隊を従えてのライブになりましたが、曲中、いろんな感情が込み上げてきたのか、涙ぐむメンバーも見受けられました。
チッチ 「オーケストラ」をやると毎回込み上げてくるものがあるんですけど、あの日はちょっと特別でアイナのソロパートの瞬間、お客さんが用意したペンライトで会場が光の海みたいになって、それで感動しちゃって。
アイナ 泣いちゃダメだって思ってめっちゃ我慢したんですけど、泣いちゃいましたね。
ハシヤスメ うん、やられたって感じで。
──ペンライトの色もメンバーの人数分あってキレイな演出でした。ツアー終了後、あの日の「オーケストラ」のライブ映像がYouTubeで公開されて感動がよみがえりました。
アイナ 実はソロパートのとき、リンリンには申し訳ないことをしてしまって。私が泣きそうになって力が入ってしまって、彼女を抱き寄せてしまったんですよ。リンリンはそのとき、自分の立ち位置に移動しなきゃいけなかったのに行けなくて、さらに私が彼女の首を絞めそうになってて(笑)。でもあのシチュエーションでまともに歌うのは無理だなって思いました。みんなからの愛が満ちあふれすぎて。
チッチ あの日のアユニは表情とかもめっちゃカッコよかった。終わったあと楽屋に戻ってから泣きじゃくってて。ダブルアンコールのときも泣いてたよね。
アユニ なんで泣いてたのかまったくわかんない(笑)。
気付いたらこの6人のBiSHになっているんだろうな
──皆さんはツアーの最中にアルバム「KiLLER BiSH」のレコーディングを並行してやってたんですよね。
チッチ そうですね。レコーディングは毎回楽しみなのでそれほど苦ではなかったんですけど、今回のレコーディングはアユニにとって初めてのことだから、彼女がどんなふうに歌うのか気になって。
──アドバイスとかしたんですか?
アユニ 緊張をほぐすような言葉はもらいました。「最初は私もね~」とか。
──松隈ケンタさんのレコーディングはどうでした?
アユニ 緊張しすぎて、震えてました。松隈さんからのリクエストのように歌えなくて、ずっと声が震えてたんですけど、3日くらいレコーディングを経験して、ようやく震えずに歌えるようになりました。
渡辺 レコーディングに関しては僕からも1つ。僕と松隈さんがやってきたワークだと、ほとんど素人みたいな子ばかりを対象にすることが多かったので、アユニが入ってきたから何か特別なことを彼女に教えたというのはなくて。ただBiSHのそれまでの曲もレコーディングし直してるんですけど、アユニの声の感じを意識して若干変えていたり、リンリンのパートが増えていたりと、微妙に変化は付けてますけどね。
──アユニさんが加入したからといって大胆な変化にはしなかったと。
渡辺 はい。どうしてもハグ・ミィが抜けたあとの5人で慣れてしまった部分があったので、松隈さんともアユニを加えた6人体制になる変化をどうアルバムに落とし込んでいくかは苦しみましたね。ただアユニが入っても勝手にBiSHになっていくんだろうなっていうのはありました。今は聴き分けられるんですけど、最初の頃はアイナの声しかわからなかったですからね。ほかのメンバーはまったく差がないなって思ってたから、気付いたらこの6人としてのBiSHになってるだろうなって。
──年明けから始まる次のツアー「BiSH NEVERMiND TOUR」も発表されました。全国6都市を巡るツアーということですが、これまで行ってきたツアーよりも会場の規模が大きくなってます。そして、ツアーファイナルは因縁のZepp Tokyoですね。
チッチ 過去、Zepp Tokyoでは「TOKYO BiSH SHiNE」も「TBS2」も埋まらなかったから埋めたいです。
渡辺 「TBS」は無料ライブなのに1300人くらいしか集まらなかった。まあタダより怖いものはないのかな。
──それでも今の彼女たちは野音にあれだけのお客さんを集めましたし、今回はソールドアウトさせる自信があるのでは?
チッチ 「オーケストラ」から好きになったっていう人が多くて、そういう人たちも含めてZepp Tokyoにたくさん来てほしい。
──ツアーを完売させるような、秘策は何かありますか?
渡辺 そういうの、アユニは常に考えてますからね。
アユニ え。
渡辺 言っていいんだよ。
チッチ 困ってる(笑)。
渡辺 なんかアイデアがないと脱ぐことになっちゃうよ。じゃあチッチ、言ってみよう。
チッチ 全国ツアーで24公演をやってきて、その中で個々の成長が見えてきたと私は思ってて。次のツアーは規模が大きいから、見え方も違うと思うので個々のスキルをもっと磨いていきたいです。
渡辺 スキルアップしていくってこと? それって具体的にどういうこと?
チッチ ダンスの精度を上げたり歌の練習量を増やしたりとか。BiSHはもっと美味しい牛丼になれるって松隈さんがおっしゃってくれて。きっとチーズ牛丼になれる。
渡辺 今度のツアーではチーズ入れるんだ(笑)。
- メジャー1stアルバム「KiLLER BiSH」 / 2016年10月5日発売 / avex trax
- LIVE盤 [CD+DVD] 6458円 / AVCD-93453/B
- 通常盤 [CD] 3240円 / AVCD-93454
- Loppi・HMV限定盤 [CD+DVD] 4320円 / AVC1-93485/B
CD収録曲
- DEADMAN
- ファーストキッチンライフ
- オーケストラ
- Stairway to me
- IDOL is SHiT
- 本当本気
- KNAVE
- Am I FRENZY??
- My distinction
- summertime
- Hey gate
- Throw away
- 生きててよかったというのなら
LIVE盤DVD収録内容
2016.3.27 @ Shinagawa Stellarball IDOL SWINDLE TOUR FINAL
- beautifulさ
- ウォント
- MONSTERS
- BUDOKANかもしくはTAMANEGI
- Lonely girl
- NO THANK YOU
- スパーク
- カラダ・イデオロギー
- Is this call??
- Primitive
- SCHOOL GIRLS,BANG BANG
- HUG ME
- DA DANCE!!
- Story Brighter
- OTNK
- Dear...
- デパーチャーズ
- 身勝手あいにーじゅー
- TOUMIN SHOJO
- ぴらぴろ
- サラバかな
- ALL YOU NEED IS LOVE
- DEADMAN
- BiSH-星が瞬く夜に-
- BiSH-星が瞬く夜に-
- BiSH-星が瞬く夜に-
- BiSH-星が瞬く夜に-
- BiSH-星が瞬く夜に-
- BiSH-星が瞬く夜に-
Loppi・HMV限定盤DVD収録内容
- BiSHキャノンボール
- 「オーケストラ」Music Video
ライブ情報
BiSH NEVERMiND TOUR
- 2017年1月8日(日)愛知県 Zepp Nagoya
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2017年1月14日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2017年1月15日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
OPEN 16:00 / START 17:00 - 2017年1月28日(土)大阪府 なんばHatch
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2017年2月18日(土)宮城県 仙台PIT
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2017年2月25日(土)福岡県 DRUM LOGOS
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2017年3月19日(日)東京都 Zepp Tokyo
OPEN 17:00 / START 18:00
オンエア情報
MTV LIVE「BiSH Less than SEX TOUR FiNAL '帝王切開'」
2016年11月21日(月)23:00~24:00
BiSH(ビッシュ)
アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなるアイドルグループ。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。2015年5月27日に1stアルバム「Brand-new idol SHiT」をリリース。同年5月には東京・中野heavy sick ZEROにて初のワンマンライブ「THiS IS FOR BiS」を開催し、以降のライブは各所でソールドアウトを記録する。2016年1月に2ndアルバム「FAKE METAL JACKET」を発表。同年5月にはメジャー1stシングル「DEADMAN」をリリースしavexよりメジャーデビューを果たした。さらに6月から10月にかけて全国ツアー「BiSH Less than SEX TOUR」を開催し、ツアーファイナル「帝王切開」では東京・日比谷野外大音楽堂で単独公演を成功させた。同年10月にメジャー1stアルバム「KiLLER BiSH」を発売。2017年1月から全国6都市を巡る「BiSH NEVERMiND TOUR」を開催する。