音楽ナタリー Power Push - BiSH
6人が生み出した“最エモ”アルバム「FAKE METAL JACKET」
BiSやBiSHはアイドルとしてみてない
──9月の「BiSHフェス」から正式に新メンバーの2人が加入し6人体制がスタートしました。リンリンさんとハシヤスメさんはどうしてBiSHに入りたいと思ったのでしょう?
リンリン 私はBiSのことを解散間近に知ったんです。もともとハロー!プロジェクトのアイドルがずっと好きだったんですけど、ハロプロに入りたいというよりはずっと観ていたいって思っていて。そんなときにBiSに出会って、彼女たちのやってる奇抜なことに惹かれていったんです。それで自分でもやってみたいと思って、BiSHが始まるときに応募してみました。
──BiSやBiSHの活動や音楽性はハロプロと真逆のような気がするのですが。
リンリン ハロプロのアイドルは観ることが好きなんです。自分がやるならもっと奇抜なほうがいいなって思って。BiSやBiSHはダイブとかもしちゃうからあまりアイドルとして見てなくて。
──渡辺さんとしては彼女の印象はどうでしたか?
渡辺 なんか変なやつが来たなって。若かったし顔も可愛かったのでダイブしたいって言ってるけどまあいいかと思って入れてみました。実は彼女はBiSHの1回目のオーディションにも高校生のときに応募してきていて、卒業式を優先してオーディションに来なかったんですよ。結果、そのときは残念でしたという感じで。
──では2回目の挑戦だったんですね。
渡辺 それはハシヤスメも一緒なんですけど。
ハシヤスメ・アツコ 私も初期メンバーオーディションに応募しました。
──そのときはなぜ不合格だったんでしょう?
渡辺 履歴書の写真が箸にも棒にも引っかからなかったというか。1次選考すら通ってなかったんですよ。
ハシヤスメ 連絡ないな、と思いながら待ってたんですけど、気付いたらメンバーが発表されていて。それで落ちたのかと。
──2回目はなぜ落ちたのか自己分析して応募したんですか?
ハシヤスメ 前回はかなりかわいい系でダメだったので、ありのままの自分のほうがいいかなと思い、夜の新宿の銀行の前で写真を撮りました。すごい髪の毛を巻いてギャル風な感じで自撮りしてみて。
チッチ 気持ち悪い。
ハシヤスメ 気持ち悪いとか言わないで! 上半身の写真はキレイめなお姉さんっぽく。全身写真はメガネをかけてラフな感じで撮りました。ちょっと、なんで笑ってるの!
アイナ キレイめなお姉さんの要素がなさすぎて(笑)。
──でも渡辺さんには刺さったと?
渡辺 まあ、2回目の応募は前回ほど多くなかったですし、ちょっと呼んでみようかなと思って。そのときは前に落とした人だとも思ってなかったですし。
──そんな2人が加入して6人体制になりました。BiSHのメンバーになってみてどうですか?
リンリン 本当は人前に立つのはすごく苦手なんですけどね。だから本来はBiSHの活動も苦痛なんじゃないかと思ったんですけど、普段の生活では味わえないような奇抜なことができるのは楽しくて、ステージに立っても緊張しないんです。BiSHになって毎日外に出るようになって、自分の日常が変わりました。
モモコ 頭いいんですよ。言ったことをすぐに理解してくれるし。
チッチ でも機嫌が悪い日は石を投げてきます。たまに闇を感じますね。
──ハシヤスメさんの印象はどうですか?
チッチ 面倒くさい(笑)。あと話が長すぎて途中で聞くの飽きちゃう。
ハシヤスメ 悪いことしかないやん!
アイナ でもキレイだと思う。メンバーの中で一番そそられる体してますね。メンバー全員思ってるよ。
チッチ いや、思ってないって。
モモコ アイナしか思ってないよ。
ハシヤスメ モテモテですね、私!
チッチ こういう空気が読めないところが面白いです(笑)。
BiSのときは死ぬほど盛っていた
──9月には1stシングル「OTNK」がリリースされました。オリコンシングル週間ランキングで10位という結果でしたが、これについてはいかがですか?
アイナ 日本の音楽業界は「OTNK」みたいな曲を受け入れてくれるんだって。みんなで「おちんこ」って言ってるのに。
──懐が深いですね。
渡辺 枚数的には1万枚くらいだったんですけどね。僕はまったく順位とか狙っていなかったのでむしろトップ10に入ってしまったか、と。次もちゃんと考えなきゃいけないからやばい、勘弁してほしいって思いました。
──そして10月には初のワンマンツアーが始まりました。ファイナルのLIQUIDROOM、追加公演のディファ有明も含めてすべてソールドアウトってすごいですね。
渡辺 これはBiSのときでも最後のツアー以外では1回もなかったことです。BiSのときは東京から遠征して地方に来てくれていたんですけど、BiSHは各地方の人がたくさん来てくれて。東京の人は逆に少ないくらい。この状況って今のご時世あまりないんじゃないかなと。すごくうれしいことなんでしょうけど、まだ早すぎる気がして怖いんですよ。
──普通に考えたら渡辺さんが話を盛ってるんじゃないかと勘ぐってしまうくらいできすぎた話ですよね。
渡辺 BiSのときは死ぬほど盛ってましたけど(笑)。
──新メンバーの2人はこのスピード感に付いてこれてますか?
ハシヤスメ やることが多すぎて嫌になって泣きました(笑)。今回のアルバムに収録される曲の中で1曲振り付けを担当することになったんですよ。初めてのことだからまったくどうしていいのかわからなくて。ツアーのことと家に溜まった洗濯でいっぱいいっぱいなのにどうしようって。
リンリン 私はこれくらいの規模感が普通なのかなって思っていたからすごいのかどうかもよくわかってなくて。でもどうやらすごいことになってるみたいで、それなら自分はステージに立つ上で全然足りないことばかりだなって思います。みんなが見てないところで私もけっこう泣いてしまうんです。逃げ出したいって思うことも今までの生活であったんですけど、BiSHはちゃんとやり遂げたいって思ってるので、少しずつ努力していきます。
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収録曲
- スパーク
[作詞:JxSxK / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:松隈ケンタ×田仲圭太]
- BiSH-星が瞬く夜に-
[作詞 BiSH×JxSxK×松隈ケンタ / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:松隈ケンタ]
- MONSTERS
[作詞:ユカコラブデラックス / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:井口イチロウ]
- Primitive
[作詞:ハシヤスメ・アツコ×JxSxK / 作曲:井口イチロウ / 編曲:井口イチロウ]
- beautifulさ
[作詞:リンリン / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:田仲圭太]
- OTNK
[作詞:竜宮寺育 / 作曲:松隈ケンタ]
- 身勝手あいにーじゅー
[作詞:ハグ・ミィ / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:田仲圭太]
- デパーチャーズ
[作詞:モモコグミカンパニー / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:井口イチロウ]
- ウォント
[作詞:モモコグミカンパニー / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:井口イチロウ]
- サラバかな
[作詞:竜宮寺育 / 作曲:慎乃介(蟲ふるう夜に) / 編曲:松隈ケンタ×田仲圭太]
- ALL YOU NEED IS LOVE
[作詞:BiSH×松隈ケンタ×JxSxK / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:松隈ケンタ]
- DEAR…
[作詞:モモコグミカンパニー / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:松隈ケンタ×田仲圭太]
- BUDOKANか もしくはTAMANEGI
[作詞:セントチヒロ・チッチ×松隈ケンタ×JxSxK / 作曲:松隈ケンタ / 編曲 松隈ケンタ×佐藤カズキ]
BiSH(ビッシュ)
アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、ハグ・ミィ、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリンの6人からなるアイドルグループ。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。自らを“新生クソアイドル”と称し、「ファンの総称は“清掃員”」「ライブの写真撮影は可能。なお録画、録音は禁止」「自由。ただしほかのお客さんの迷惑になる行為は禁止」という“クソアイドルの3箇条”を4月30日に東京・TSUTAYA O-nestで行ったライブで発表した。2015年5月27日に1stアルバム「Brand-new idol SHiT」をリリース。同年5月には東京・中野heavy sick ZEROにて初のワンマンライブ「THiS IS FOR BiS」を開催し、以降のライブは各所でソールドアウトを記録する。同年10月より初の全国ツアー「BiSH Eden of Sorrow Tour」を行っており、1月19日にツアーファイナルの東京・LIQUIDROOM、1月30日に追加公演の東京・ディファ有明に挑む。2016年1月に2ndアルバム「FAKE METAL JACKET」を発表する。