新鮮な初レコーディング
──「SURRENDER」はまさにライブで早く聴いてみたいと思わせる勢いがあって。シャウトもありますが皆さん叫んでるんですか?
マナコ はい。シャウトすること自体、日常ではないので初挑戦でした。
イトー 初めてマイクの前に立って「出るかな? 出るかな?」と言いながら、出ちゃったっていう。
──続いて、それぞれ印象に残っている曲について聞かせてください。
チャント 私は「BiS3」をオススメしたいです! レコーディングの前日に「King Gnuさんを聴いて来て」と言われた曲です(笑)。さっきお話させていただいた、子音を強く発声するというところで、母音を言ってないくらいの感じでやれとのことだったので「あの日不思議な」という歌詞の子音だけを書いていって、「あの日」の「日」の上に「H」を書いて「FSG(不思議)」みたいな感じにメモして、それを読むようなイメージでレコーディングをしたのがすごい楽しかったです。
マナコ 私は「LET'S GO どうも」というアルバム最後の曲を。デモ段階だとキーが違って、完成版より高かったんですよ。WANIMAさんみたいなテイストの曲ですけど、デモのキーで1回歌ったあと、松隈さんが「ちょっとキー変えてみよう」って、よりしっくりくるキーを探るみたいな作業をあっという間にやってくれたんです。実際そのキーだと全然違う雰囲気の曲に変わって。あと曲を録ってる中で合いの手を入れたんですけど、この曲の冒頭に「ぎょえー、1、2、GO、ヘイ!」みたいな部分があって、ここは「その場にいる大人全員でやろう」みたいな感じで皆さんがレコーディングブースにぎゅうぎゅう詰めで入り、マイクを囲んで何回も何回も重ね録りしていて、完成した音源では何百人もの歓声が入ってるみたいなコーラスになってました。レコーディングという経験自体が初めてだったんですけど、「CDってこうやってできあがるんだ!」とすごい感動したのを覚えてます。
BiSは清純派だから
──「strawberry girl」はマナコさんの作詞曲で、ストーリー仕立てになっています。
マナコ デモの仮歌を聴いたときに、1行目で「血が流れてる」って空耳で聞こえたんですよ。そこからいろいろ発展していって、主人公の清純派アイドルが処女を喪失してしまって、そこから開き直って、「清純派死ね」と言ってる歌なんです。ストーリー的にはそういう感じなんですけど、清純派に対してそういうことを言っているのがBiSっぽいかなと思って。
渡辺 全然ぽくないよ。
マナコ え、本当ですか?
渡辺 我々は清純派なんで。
マナコ 自分が思い描くBiSっていうのが、フローラルのいい香りがするっていう感じよりも、生理の血生臭い匂いがするとか、汗臭い匂いが伝わってくるみたいなのが、自分が描くBiS像だったりするんですけど。
渡辺 違うよね?(スタッフが頷く)
マナコ あっ、これはヤバい。
渡辺 だから消してほしいなと思ってたんだよ。Twitterで「過激見世物小屋系アイドル」とか書いたでしょ。
マナコ すみません! 消します!
──おおお。ちなみにイトーさんにはけっこうキツい歌詞じゃないですか? 処女とか。
イトー それは大丈夫です。
渡辺 なんで? じゃあまんこは大丈夫ってこと?
イトー ダメ……言えないですね。
渡辺 処女は大丈夫なの?
イトー はい。漢字だからですかね。
渡辺 じゃあセックスは大丈夫なの?
イトー ギリいけるけど……性交って言います。たぶん漢字なら大丈夫。だから陰茎なら言える。
脳みそを空っぽにして歌え
トギー 私は自分の作詞曲の「ナンデスカ?」が印象的でした。レコーディングのときに私が初めに歌録りをしたので、全員が私のモノマネをして歌ってるんです。
イトー え?
ネオ モノマネした記憶はないです。
一同 (笑)。
マナコ デモ音源が彼女の歌だったんですよ。渡辺さんの収録したデモを聴いてくることが多いんですけど、この曲に関してはトギーの仮歌が入ってるのが配られたので、たぶん無意識のうちに寄せてしまってたのかもしれないです。だからけっこうこの曲に関してはみんなクセが強めになってると思います。
──続いて、イトーさんお願いします。
イトー このアルバムで好きな曲は“1000のコオロギ”というタイトルの「thousand crickets」です。これだけ使ったマイクが全然違うんです。機材の名前まではわからないんですけど、特に面白い声の加工がされてます。レコーディングしてるときからメンバーの声が全然違うし、歌い方を「脳みそが空っぽな人になれ」と言われたときにみんなの顔が本当に死んだようになっていて、「こんな歌い方もできるんだ」と思いました。ストレートな内容の歌詞が多い中で、この曲だけ妙に勝手にいろんな想像を膨らませてしまうような内容で。そもそも1000のコオロギって何かの例えなのかな?って。
渡辺 1000のちんこって意味だよ。
イトー えっ。
マナコ そういう意味だったんですか!
イトー あああああ……えっ?
チャント 始まった(笑)。
渡辺 1000のちんこが君の周りで暴れてるんだよ。
イトー だから私だけ「お前はエロい歌い方でいいよ」って言われたんですね。みんなは「脳みそ空っぽにして歌え」って言われたんですけど。
渡辺 コオロギって羽が擦れあうじゃん、あれがちんこ。
イトー ははは……痛そう。レコーディングは楽しかったです。
──インタビューの場でWACKの洗礼を受けてますね(笑)。では最後にネオさんのオススメ曲は?
ネオ 基本的に渡辺さんが歌詞を書いた曲がみんな好きです。物語、ストーリー性がある歌詞を自分で書くのはすごく難しくて。みんなでダンス考えるときとか、意味を1つずつ全部読んで考えてから振りを作っていると、意味が深いなと思って。なんでこういう歌詞を書けるのかなって。
渡辺 どの曲なの?(笑)
ネオ 「STUPiD」とかもそうだし、全部なんです。振りを付けてるとき、歌詞を全部読むと、そのときどきで発見があって。
渡辺 確かにあとから刺さってくる曲が多いと思う。今後、君たちも誰か辞めるだろうし、そういうときに「ああ、こういうことだったんだ」と思うことがきっといろいろあるはず。BiSHだと「サラバかな」「オーケストラ」とかいろいろあるんですけど、実際だんだんあとになって意味がわかるようなことが多い。何回も聴いていくうちに感情移入していくと思うんだけど、そうしやすい歌詞は意識して書いてるかも。あとみんなに言えるのが、どういうふうに聴かせたいかとか、ちゃんと歌詞が聞こえるようにハメてくのが一番わかりやすいんじゃないかなと思うよ。無理やり自分のハメたい言葉を入れたくて、ゴリゴリにやっちゃうことがあるんだけど、基本的にはスラッと聴けるようにするのは気にしてるところかなあ。
ネオ (小声で)すごい。
渡辺 わかると思うけど、まったくうまいこと言おうとしてないので。カッコいい言葉って、普通の人たちは理解できないの。しかもそのカッコいい言葉を100個並べて伝えるより「愛してる」のほうが伝わるんで、考えすぎないほうがいいと思う。
マナコ 勉強になります。
常に当たり前が当たり前じゃないから
──BiSは破天荒なイメージがありますけど、今後メディア露出の機会はメジャーどころを含め、狙っていくんですか?
渡辺 いきなりテレビに出るんですよね。「バズリズム」の歌唱で。でも失敗したら終わるんで、そしたら第4期BiSがんばろうかなって(笑)。
──そんな(笑)。
渡辺 まあでも、彼女たちに思っていてほしいのは「常に当たり前が当たり前じゃない」ということですね。自分たちはもっとできるはずだという気持ちと焦燥感を持ってほしい。もちろん感謝の気持ちも。でもそんなことより、僕と松隈ケンタがいい曲だったり、プロモーションだったりで世間を納得させてきてる部分があるので、彼女たち自身が有無を言わさぬパワーを身に付けないと、早々に潰れるだろうなとは思ってます。
トギー 潰れないように、日々更新していきたいです。これからいろんな壁がどんどん立ちはだかっていくと思うんですけど、その都度、それを越えられるようにはなりたい。急にアイドルになったから一気に生活が変わったし、メンタル面で変化に対応しきれていない状況も最初はありましたけど、だんだん慣れてきていて、活動すればするほどたぶん今以上に忙しくなるのもわかってはいるので、それにちゃんと対応できるようになりたいです。
ライブ情報
- 初ワンマンライブ「THiS is BiS」(ソールドアウト)
-
- 2019年8月18日(日)東京都 中野heavysick ZERO
- BiS「Brand-new idol Society」リリースイベント
-
- 2019年8月10日(土)東京都 キラリナ吉祥寺
- 2019年8月11日(日・祝)東京都 ヴィレッジヴァンガード渋谷店
- 2019年8月12日(月・振休)東京都 新宿マルイ メン
- 2019年8月13日(火)東京都 タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO
- 2019年8月14日(水)東京都 タワーレコード新宿店
- 2019年8月15日(木)東京都 HMV&BOOKS SHIBUYA
- 2019年8月16日(金)愛知県 タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
- 2019年8月17日(土)大阪府 あべのキューズモール
- 2019年8月25日(日)東京都 タワーレコード錦糸町パルコ店
- 2019年8月31日(土)東京都 タワーレコード八王子店