音楽ナタリー Power Push - BiS&渡辺淳之介(BiSマネージャー)
個性派ぞろいの新生BiS大解剖
9月に再始動した新生BiSが1stアルバム「Brand-new idol Society 2」をリリースした。音楽ナタリーではアルバム発売を記念して、旧BiSのオリジナルメンバーであるプー・ルイとメンバーオーディションを勝ち抜いたペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタール、そしてマネージャーの渡辺淳之介に集まってもらいインタビューを実施。新メンバーのキャラクターを掘り下げつつ、オーディション合格の決め手やアルバムの制作秘話などを聞いた。
取材・文・撮影 / 古川朋久
新しいことを始めないとまた狂っていくと思った
──まずは2014年の解散ライブからおよそ2年が経過してBiSの再始動を決意するに至った経緯からお聞きしたいのですが。
プー・ルイ 深夜に渡辺(淳之介)さん、松隈(ケンタ)さん、元BiSのスタッフさんが飲んでいる場に私が呼び出されたんですよ。渡辺さんから電話がかかってきて「今から来いよ!」みたいな感じで。ああ、これ完全に酔っぱらってるなって思いました(笑)。
──完全に面倒くさい感じですね。
プー・ルイ そうそう。でも渡辺さんが「今来ないともう言わない」とか言い出して、何が言いたいんだろうって思いながら「次に会ったときじゃダメなんですか?」って聞いたら「顔を見て話さないといけないことがある」と。そのときなぜか楽しいことが始まる予感がして、これは行ったほうがいいなって。それで行ったら渡辺さんと松隈さんが真面目な雰囲気の中「プー・ルイともう1回BiSをやりたいんだけど、どうかな?」って言われて、爆笑(笑)。
──この人、何言ってるんだと(笑)。
プー・ルイ そうなんですけど、私もその言葉をどこかで待っていたのかもしれなかったんですよね。渡辺さんは新しくBiSHを始めてたし、私はLUI FRONTiC 赤羽JAPANの活動をしてて、お互い多少寂しさをこじらせてたのかなって。そんなときに直球で誘われたので「やりたいです」って、笑ったあとに即答しました。
──LUI FRONTiC 赤羽JAPANではバンドとして活動して、歌に関してはプー・ルイさんのやりたい方向性で活動も専念できていたと思うのですが、心のどこかに物足りなさを感じていたと?
プー・ルイ BiSを解散してからLUI FRONTiC 赤羽JAPANでの活動中は単純にレベルアップできたと思います。ボイスレッスンにも通ってましたし。ただ物足りなさは感じてたかなと。なんかBiSって毎日死にそうだったじゃないですか。私はMなので普通に楽しいだけだとダメみたいなんですよね。いじめられたくなっちゃう。
──そんなときにドSな2人に誘われたら……。
プー・ルイ それはもう、ね。素直にうれしかったですよ。
──渡辺さんとしては、そのタイミングでBiS再始動を切り出したのはなぜでしょう?
渡辺淳之介 まあ酒の勢いはたぶんにあるんですけど(笑)。当時けっこう悩んでたんですよね。BiSHの盛り上がってる状況とか見てて、なんかやっぱり彼女たちを甘やかしてしまったなって。
──ここでBiSHの話になるのですね。
渡辺 そうなんです。なんというか僕の方程式ではないところで人気がどんどん上がっていて、これはおかしいなって。僕、いつも考えごとをするのはシャワーで髪を洗ってるときなんですけど、そのときに「なんかまた新しいことを始めないと、俺はまた狂っていくかも」って思って。それで「そうだ。BiSを復活させればいいんだ」って(笑)。
──そもそもBiSHは「BiSをもう一度始める」と言って始めたのに、最終的に本家をまた始めるという決断に至ったと。
渡辺 なんかBiSHって制約ばかりになっちゃって、変なことをやらないじゃないですか。「BiSをもう一度始める」って言ったわりには、なんだよって。
──確かにBiSを意識して作ったはずなのに、BiSHの現場には元研究員(BiSファンの総称)はほとんどいませんし。
渡辺 だからBiSと同じラインでやろうとしても、むしろ怒られるっていうジレンマもあって。
──当初の目論見から外れたところでブレイクが起こって、渡辺さんとしては逆に不安が募っていったと。
渡辺 BiSって靴の中に小石が入っててもとりあえず歩かなきゃって感じでやってきたんですよ。でもBiSHって立ち止まってでもその小石を取り除いてから歩き出さないといけないみたいな雰囲気があって。すごくちゃんとしてるんですよ。
──でも、それって普通に考えたら真っ当なことなんですけどね(笑)。
プー・ルイ そうやって小石を取り除いてこなかったから元メンバーは傷だらけだったんですよ、解散する頃には(笑)。
渡辺 思ったより大きな石だったのかもね!
BiSHはBiSのパラレルワールドだった
──BiSではなく、まったく新しいユニットを作るという選択肢はなかったんでしょうか?
渡辺 そうですね。とりあえずプー・ルイに話せばもう1回BiSをやるんじゃないかなって思って(笑)。あとは新しく別のユニットを作ったとしても、またBiSHみたいになるかもしれないし、とりあえず僕の精神安定剤が必要だなと思って、なんでもやってくれるやつを1人そばに置いておきたかったんですよ。まあ知ってるヤツを入れたいっていうのが一番の理由ですね。あとはBiSなら座組としてつばさレコーズとやればいいかなっていう安心感もあって。結局安定を求めようとしてるのは僕が大人になってしまったってことかもしれないなあ。
──渡辺さんがBiSを立ち上げた当初と自分で会社を立ち上げた今とでは状況が違いますからね。守りに入ってしまった部分はあったのかなと。その権化がBiSHなのかもしれませんね。
渡辺 本当にその通りです(笑)。
──やはりBiSを始めるなら、それはプー・ルイさんありきということですね。
渡辺 BiSはプー・ルイと始めたものですしね。それにBiSHってある意味BiSのパラレルワールドのようなもので、BiSが解散したあとにBiSのことを知ってハマっていった人が多いのかなって思って。じゃあもう1回プー・ルイと僕と松隈さんとで作っていったら、また違うBiSになるのかなって考えたら楽しくなってきました。僕の中ではプー・ルイと松隈さんって命の恩人というか。その3人でまた始めてみたらワクワクしてきて。だからプー・ルイ以外のオリジナルメンバーはいらなかったという。もちろんほかのメンバーのことも考えたんですけど、プー・ルイに話す前にそれはないなって思って。だってコショージ(メグミ)とかほとんどしゃべったことないし(笑)。
プー・ルイ あはははは(笑)。なんかBiSの後期って、いろんなスタッフさんが現場に入っていて、もう渡辺さんがいなくてもBiSが動いちゃう状況だったんですよ。だから渡辺さん、興味なくなって現場にほとんど顔を出さなくなって。そんなときにコショージが入ってきたんで彼女は渡辺さんからちゃんと怒られることもなかったんじゃないかな。
渡辺 そう。思い入れなかったのでしゃべったことがほとんどない。
──あとそれぞれのメンバーは現在別に活動もしてますしね。
渡辺 それもあって、確実に面倒なことになるじゃないですか。だからプー・ルイだけ誘って、ほかのメンバーはオーディションで決めることにしました。
──最後は最終候補者が合宿を行い、4人が合格しました。
プー・ルイ 合宿は大変でしたけどひさしぶりに楽しかったです。「あ、これこれ! この感じ!」って。みんな泣いてたし。
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- 1stアルバム「Brand-new idol Society 2」/ 11月16日発売 / 3240円 / SPACE SHOWER MUSIC / XQJZ-1057
- 「Brand-new idol Society 2」
収録曲
- Give me your love全部
- My Ixxx
- Nerve
- primal.
- BiSBiS
- Human after all
- IDOL
- Happy Birthday
- レリビ
- Not Special
- BiS
- 太陽のじゅもん
- CHANGE the WORLD
SHELTER 25th Anniversary「Brand-new idol Society」
- 2016年11月20日(日)
- 東京都 下北沢SHELTER
「Brand-new idol Society」2年間おまたせ!いま会いにゆきます
- 2016年12月10日(土)
- 愛知県 DAYTRIVE
- 2016年12月11日(日)
- 愛知県 DAYTRIVE
- 2016年12月18日(日)
- 北海道 COLONY
- 2016年12月23日(金・祝)
- 福岡県 DRUM SON
- 2016年12月24日(土)
- 大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
- 2016年12月25日(日)
- 宮城県 enn 2nd
BiS(ビス)
プー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールの5人からなるアイドルグループ。BiSは2014年7月をもって解散したが、マネージャーの渡辺淳之介、サウンドプロデューサーの松隈ケンタ、プー・ルイの3人によって再始動がアナウンスされ、2016年9月に新体制として活動が再開。11月16日に1stアルバム「Brand-new idol Society 2」を発表し、11月20日に1stワンマンライブを東京・下北沢SHELTERで開催。12月より全国ツアー「『Brand-new idol Society』2年間おまたせ!いま会いにゆきます」を実施する。