BILLIE IDLEが2月13日にニューシングル「そして、また、、」をリリースした。表題曲はこれまでのニューウェイブやパンクの要素を取り入れた勢いのある楽曲とは趣の異なる、メロウなコーラスワークが際立つナンバー。BILLIE IDLEの新しい魅力が詰まった作品に仕上がっている。
さまざまなトライを重ね、着実にステップアップを続ける彼女たち。今回のインタビューではメンバーのファーストサマーウイカ、ヒラノノゾミ、モモセモモ、アキラ、プー・ルイに、2018年のツアーの振り返りや新曲の話題を交えつつ、それぞれが今思っていることを語ってもらった。
取材・文 / 西澤裕郎(SW) 撮影 / 映美
“フロア論争”が巻き起こる最近のライブ状況
──前回の取材で「これからはBILLIE IDLEのターン」と語っていた通り、アルバム「NOT IDOL」の反響も大きく、ライブの集客も増えています。メンバーの皆さんは、どれくらい手応えを感じているんでしょう?(参照:BILLIE IDLE「NOT IDOL」インタビュー|「5人は非アイドル」だからこそ広がる可能性)
ヒラノノゾミ ちょっとずつBILLIE IDLEの存在がリスナーに浸透していってる感じはあります。私たちの強みは女の子のファンが多いことだと思うんですけど、今年は若い男性ファンも獲得できたらいいなと思っています。
プー・ルイ 付き合う気?(笑)
ヒラノ え! そうじゃなくて、曲に対して「いいね」って言ってほしい。
ファーストサマーウイカ 最近、“フロア論争”みたいなのがちょいちょいあって。
──フロア論争?
ウイカ ライブを大人しく観たい人と、はっちゃけたい人による論争のことを、私はフロア論争と呼んでいるんです。新しいお客さんが来てくれているからこそ起きることなので、いろんな人に楽しんでもらえる環境作りは大切だと思うんです。
──ウイカさん自身、BILLIE IDLEの活動が新しいリスナーに届いている手応えはありますか?
ウイカ 「NOT IDOL」(2018年11月発売のアルバム)の広まり方は、今までと違うなと思いました。BILLIE IDLEという名前は知っていたけど、聴いたことがなかったという人がSNSで感想をつぶやいてくれていて、届いたことを実感しました。12月のツアーファイナルで「初めて来ました!」って人もいたし、地方の会場も大阪と福岡以外はソールドアウトだったので、数字で見ても以前より広く届いていることがわかりました。
──どうして「NOT IDOL」はそれほど届いたんでしょう。
ウイカ ……やる気?
一同 (笑)。
プー・ルイ これまであまり外に出ていなかったからね。私がBILLIE IDLEに加入する前は「BILLIE IDLEって今、何しているのかな」と思っていたから。
ウイカ 我々が忙しいと感じるだけじゃなく、他人が見てもすごくがんばっているのがわかるようなスケジュールって初めてだったんじゃないですかね。
モモセモモ 去年はフェスにも出たし。
ウイカ 露出を増やせたこともあるし、プー・ルイが入ったことでビリーの存在を思い出してもらった効果もあったのかなと思います。
プー・ルイ 私、客寄せパンダ!
ウイカ めちゃめちゃいい仕事をしてくれた(笑)。
プー・ルイ それはみんなの積み重ねがあったからで、ライブを観に来たときに「いいな」と思ってもらえたからだと思います。ライブがダメダメだったら、そのまま離れていっちゃうから。
ウイカ 今まで観てくれていたお客さんが「5人になってよかったね」とか「パワーアップしたね」って口をそろえて褒めてくれて。私たちは間違っていなかったし、このまま進んで行けば、よりたくさんの人に観てもらっても恥ずかしいことはないなと思えたんです。
──モモセさんも今までと違う手応えを感じていますか?
モモセ はい。BILLIE IDLEがいいっていう自信はあるので、観てもらいさえすれば刺さるだろうと思っています。
──アキラさんはどうですか?
アキラ 小さい子が増えたり、幅広い世代の方が来てくれたりするようになったと思っていて。ほかのアイドル主催の対バン現場で私たちを観て、よかったからワンマンに来たと言ってくれる方もいて、お客さん自体が増えていっている実感はあります。
LDHファンからWACKファンまで
──BILLIE IDLEに“大型新人”として昨年加入したプー・ルイさんは、現状をどのように捉えていますか?
プー・ルイ うーん。何をよいとするかですよね。血眼になってやるのがいいとする人から見たら、何をゆっくりやっているんだよって見えると思うし。私も今よりもっと若かったときはがむしゃらにやるしかないと思っていたけど、グループによっていろんなやり方があると考えられるようになってきた。とは言え、ほかのグループに負けない気持ちは持ちつつ、BILLIE IDLEらしいペースでやっていきたいなとは思いますね。一概に何がいいとは言えないけど、現状は悪くないと思う。
──活動がちゃんと伝わっているなっていう手応えはある?
プー・ルイ うん。ペースはゆっくりかもしれないけど、広まっていると思います。登坂(広臣 / 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)さんのツアーにフロントアクトとして出演させていただいてから、登坂さんのファンの人とかLDHファンの方とかも観に来てくれるようになって。ウイぽんがやっているラジオ番組「Tresen」のリスナーさんとかもいるし、BYS(新生YouTuber研究会)で知ってくれた人も、WACKのファンもいてくれる。
ウイカ だからこそさっき言ったフロア論争みたいなことが起こっていて。最初はお客さんも戸惑うけど、我々自身は変わらないので、だんだん馴染んでいっていろんなファン同士の交流が始まってる感じがあります。そういう部分も手応えにつながっています。
プー・ルイ 年末に「ファンクラブどうやって入るの?」ってツイートを見つけたのはうれしかったですね。
──昨年の秋以降、全国8カ所9公演の「NOT IDOL TOUR」を行いましたが、地方でのライブはどういう雰囲気だったんですか?
プー・ルイ 「NOT IDOL」を携えてのツアーで初披露の曲も多かったので、新曲を育てていく感覚のあるツアーでした。
アキラ 今回は初めて披露した曲でもお客さんからノってくれることも多かったです。
モモセ コールが起きたりね。
ヒラノ 楽しかったですね。1カ所ごとに個人的な反省はあったんですけど、今回のツアーで自分自身も成長できたと思います。
ウイカ ライブは新曲から始まって、ちょっと懐かしい曲を掘り起こして、ラストスパートみたいな流れだったんですけど、アルバムを聴いてから来ている人って意外と半分くらいだったりするんですよ。それでも客席の一体感だったり、ノってくれようとしてくれる姿勢だったりが見えて、我々も気合いが入るというか、本気でぶつかり合う形で進められたのがよかったなと思います。
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初ホールワンマン、我々は気付いてしまった