音楽ナタリー Power Push - BILLIE IDLE
個性豊かな4人が紡ぐ“ゆるぎない”BILLIE IDLE
2人を足したら無敵になる
──ウイカさんとヒラノさんはモモセさんとヤスイさんの人物像をどう捉えてますか?
ヒラノ ヤスイちゃんは今までに出会ったことのないタイプの女の子で、考えてることが面白くて飽きないです。スイッチが入るとずっとしゃべってますし。モモセさんは大人ですね。私より1つ年下なんですけど考え方とかたたずまいが大人で。今まで知り合った年下の中でも一番ちゃんとしてると思います。
──好評価ですね。ウイカさんはどうですか?
ウイカ この2人を足したらすごく無敵になりますね。ヤスイさんはナルシストなんですよ。自分というものを前に出していきたいんだけど考え方や技術面が足りなくてどうしていいかわかんないみたいな。だって履歴書に芸名書いて送ってきてるんですよ? ヤバくないですか?
──え、本名で応募しなかったんですか?
ウイカ 名前の欄に「ヤスイユウヒ」って書いてあって。家族の欄を見ると名字が違うから何か複雑な事情があるのかと思ったら「芸名です」とか言い出して(笑)。
ヤスイ ヤスイユウヒって本名じゃないんですよ。だから面接のときも「芸名、考えたんで」って言いました。
モモセ 怖い。
ウイカ 芸能活動をやってたわけでもないニートが、なんで芸名作って応募してんだよっていうね(笑)。
ヤスイ 芸能履歴書ですからね。
ウイカ デビューもしてないだろうが。歌唱審査も酷くて「BiSさんの曲を歌います。プリ……プリ……」って言うから「『primal.』ですか?」って聞いたら「それです」って言うから聴いたら「primal.2」だし(笑)。アナタBiS観てたんでしょってツッコミました。完全にヤバい人だなって思ってNIGOさんもさすがに動揺してたんですけど、なんか持ってたってことでしょうね。モモセはオーディションのときに「私は誰ともぶつかりません」って言って。
ヒラノ 「性格がいいです」って言ってた。
ウイカ 対立しないみたいなことを言ったんですよ。まあBiSがあんな感じだったんでそこを彼女なりに考慮して言ってくれたんだと思いますけど。逆に溜め込むタイプなのかなって勘ぐってしまったくらいで。でも実力はオーディションを受けた人の中でダントツだったし、ビジュアルもちょっとミステリアスでよかったんです。ヤスイさんは我が我がってタイプだけどモモセは控えめで大人な考え方で。たぶん、人とぶつかると手間が増えるからそうしないんだと思います。人に興味がないのかもしれない(笑)。
モモセ 深く考えないですね。そういう生き方をしてきました。
ウイカ だから2人を合わせたらすごく無敵だなって思って。
──そんな2人がメンバーにいるのは心強いんじゃないですか?
ウイカ そうですね。そしてこれは不思議で、のんちゃんがすごく安定して見えるんですよ(笑)。今までののんちゃんってBiSの中ではワイルドカード的な存在だったじゃないですか。でもヤスイが特殊すぎるからね。
ヒラノ あまり飛び道具的な扱いをされなくなりました。
ウイカ むしろBILLIE IDLEの中でブレない一本柱って感じです。のんちゃんの歌声やダンスは他の人にはない、替えがたいオリジナリティを持っているので、そこも戦力として大きいです。
──ではこの4人のバランス感はしっくりきてると?
ウイカ 絶妙ですね。だから誰かが辞めるってなったら、私は家に押しかけて「頼む、辞めないで! お金払うから!」ってなると思う(笑)。それくらいのバランスのよさだと思うし、これがどうなっていくのか私自身楽しみです。
ご迷惑をお掛けしないようにします
──ここまでの道のりを時系列で追っていこうと思うんですけど、今年1月にファンクラブ限定のお披露目ライブ(参照:BILLIE IDLE始動!ファンクラブ限定ライブで10曲乱舞)があって、そこでモモセさん、ヤスイさんが初パフォーマンスをしました。
ヤスイ 人前で歌ったり踊ったりするのはまったくの初めてでした。
ウイカ モモセもヤスイもステージ経験がなかったので、そこまでの状態にもっていくのが大変でした。歌いながら踊るって感覚がそもそもわかんなかったみたいで。最初にダンスの基礎のボックスを説明した記憶がある。足がこんがらがってた(笑)。
──でもそれはBiSの初期を彷彿とさせますね。
ヒラノ そうですね(笑)。私も最初まったくわかんなかった。
ウイカ 2人に関してはもともと歌唱力はあったので、逆に基礎練習とか腹筋、体力作り、のどの強化を重点的にやりました。ダンスレッスンはそもそも今もやってないんですよ。BiSのときもそうでしたけど、振り付けは自分たちで作れば自分たちのできる範囲のことしかやらないので、そっちのほうがいいなって。
──無理がないってことですね。
ウイカ 振付師さんに振りを付けてもらうとド素人なのがバレるし、実際できないことも多いんですよ。だからとりあえず自分たちでできることから始めようと。やってできないことは簡単にしてハードルをどんどん下げて下げて作ってます。
──その1月のお披露目ライブのときも、別にキレキレのダンスをやっていたわけじゃないけど、とてもまとまっている印象を受けました。
モモセ よかった……。
ウイカ まあ、我々は身の丈にあったものを提供するという感じでやらせていただきます(笑)。あとはまだマイクを離してしゃべってしまうとか、初歩的なミスもあるので、そこは軍隊式に訓練してるところです。一緒に「ビリーズブートキャンプ」をやったりとかね(笑)。
──そうやって一体感も生まれていって、今のBILLIE IDLEの形ができあがったと。
ウイカ そこに関して言えば、最初からあまり大きな変化はないです。もちろん個々の成長はありますけど大きく何かが変わったってことはないですね。
──「BILLIE IDLEはこうあるべき」みたいな指針はとくに最初からあったわけではないんですね。
ウイカ おそらくNIGOさんも渡辺さんも、我々がそろって踊ったりしゃべったりしているのを見て、都度インスピレーションが生まれているんじゃないのかなって思ってます。一応楽曲やビジュアルの方向性には「ネオ80's」っていうテーマがあるんでけど、我々はみんな平成生まれですし「80年代を表現、意識して」と言われましても生きてませんでしたから(笑)。
──逆にその部分はNIGOさんや渡辺さんに導いてもらうことが多いと思いますけど、自分たちはそれをどう表現していくのかと悩んだのでは?
ウイカ 歌って踊るだけで80年代ですって言っても結局何かのオマージュになってしまうし、なんか懐かしいだけってなってしまうのも嫌ですからね。意図して懐かしい感じがする振りは入れてますけど、どうしたら“ネオ感”を出していけるのか、実はそこまで深くは考えてないです。
──「こうあるべき」みたいなものは特に考えず「私たちが作ったものがBILLIE IDLEです」ということでしょうか。
ウイカ そうですね。1つ言えることは、NIGOさんや上の方々にご迷惑をおかけしないようにしようね、みたいな(笑)。
──そこは元BiSの2人はよくわかってる部分だと思いますが(笑)。
ウイカ 我々2人はそこそこなことをしてきましたからね。今回はBiSのときのような破天荒な手段は使わないように、いい感じで活動していきましょうと思ってます。
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- 2ndアルバム「ROCK "N" ROLL IDLE」2015年9月16日発売 / 3000円 / オツモレコード / DDCZ-2045 / Amazon.co.jp
- 「ROCK "N" ROLL IDLE」
収録曲
- ダーリンにはならない
- 彼方に…。
- HUMANOID
- be-bop tu-tu
- 時の旅人
- 気狂いピエロ
- 君にテレポーション
- LOCO☆MOCO
- 平成ロックスター
- 子供のように
BILLIE IDLE(ビリーアイドル)
ファーストサマーウイカ、ヒラノノゾミ、モモセモモ、ヤスイユウヒの4人からなるガールズユニット。NIGOと元BiSマネージャーの渡辺淳之介のプロデュースにより「ネオ80's」をテーマにしたサウンドとビジュアルイメージで独自の世界観を追究している。2015年4月に1stアルバム「IDLE GOSSIP」でCDデビューを果たし、同年5月には大阪・ROCKTOWN、6月には東京・ラフォーレミュージアム原宿にて単独ライブを開催した。さらに9月には2ndアルバム「ROCK "N" ROLL IDLE」を完成させ、そのアルバムを引っさげたレコ発ワンマンライブを10月10日に東京・ラフォーレミュージアム原宿で開催する。