音楽ナタリー Power Push - BIGMAMA×UNISON SQUARE GARDEN
10年選手の2バンドが“5年ぶり”の再会
2016年にデビュー10周年、2017年に現メンバーとなって10周年を迎えるBIGMAMA。彼らは2016年および2017年を「BIGMAMAnniversary 2016~2017」と題したアニバーサリーイヤーとし、その企画の1つとして現在マンスリーライブ企画「MAMonthly Special」を実施している。
6、7月に「You Are The SPECIALS」と銘打って行われる公演は、BIGMAMAにとって“スペシャルな対バン相手”を招いたツーマンライブ。6月の公演にはUNISON SQUARE GARDEN、7月の公演にはTHE ORAL CIGARETTESがゲストとして出演する。今回音楽ナタリーでは6月の大阪2DAYS公演で競演するUNISON SQUARE GARDENを招いた座談会を企画。10年来の仲である彼らに、同じシーンを走っていく中で互いのバンドはどのような存在だったか、そして念願叶って行うツーマンライブが両者にとってどれだけの価値があるのかを語ってもらった。
取材・文 / 清本千尋 撮影 / 福岡諒祠
出会った頃はコピーバンド
──BIGMAMAとUNISON SQUARE GARDENのメンバーはほぼ同い年で、昔よく競演をしていたバンドだと伺いまして。
金井政人(BIGMAMA / Vo, G) ユニゾンは今年でデビュー何周年なの?
斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN / Vo, G) えっとね、今年で12年目に入るよ。
金井 おお、そうなんだね。
──まずお2組の出会いから聞かせていただけたらと思うのですが。
斎藤 デビューしてからちょっと経って同じライブに出たときに、楽屋で「前にも会ったことあるよね?」って話になって、記憶をさかのぼったら高校生の頃に吉祥寺のライブハウスで対バンしてたんですよ。まだどちらのバンドもオリジナル曲がほぼないような時期ですね。
金井 当時この中でいたメンバーは俺とカッキーとリアド。僕はDickiesのパンツを履いて、ベースボーカルをやっておりまして。その頃はNew Found Gloryのコピーとかをやってたかな。対バンで超うまいBRAHMANのコピーバンドがいたんですよ。
柿沼広也(BIGMAMA / G, Vo) そうそう。「今まで観た中で一番うまいBRAHMANのコピーバンドですね」って話しかけたの覚えてる。それが彼らだったんです。当時は4人編成だったっけ?
斎藤 うん。その頃はまだUNISON SQUARE GARDEN結成前だしね。
金井 その後また対バンする機会があって、ライブが終わってから「あのバンドって、あのときの超うまいBRAHMANのコピーバンドじゃない?」ってBIGMAMAの中で盛り上がったよね。
柿沼 うん。で、それよりもっとあとに競演したときにさ、ユニゾンから話しかけてくれて、俺はつい「え、あのBRAHMAN!?」って聞き返して(笑)。
リアド偉武(BIGMAMA / Dr) 俺は吉祥寺で初めて競演したときのことはそんなに覚えてないですね……(笑)。
鈴木貴雄(UNISON SQUARE GARDEN / Dr) 印象に残らないドラムだったんでしょうね。あはは(笑)。
リアド そんなことないよ!(笑)
柿沼 ちょっとちょっと! 対バンを前に角を立てないで!
金井 昔対バンしたときにさ、ファンから斎藤くん宛のチョコレートをもらったことがあったんだよね。もらったときは「ありがとう」って受け取ったんだけど、あとでよく見たら「斎藤くんへ」って書いてある手紙が付いてたのに気付いて。
柿沼 あ、それバレンタインデー前のやつじゃない? そのときさ、斎藤くんもMCで「金井さん、サインお願いします!」って間違えられたっていう話をしてたよね。
斎藤 そんなこともあったね。その日さ、物販に立ってた田淵がスッと前を横切った金井くんに「あ、斎藤くん!」って声をかけてて、こんなに一緒にいるのに間違えるのかってショックを受けたんだよね(笑)。
金井 あはは(笑)。僕がその話をMCでしたら、うちのファンの子がBIGMAMAのCDを持って斎藤くんに「金井さん! サインをお願いします!」っていう行為をしたりね。面白かったけど(笑)。
安井英人(BIGMAMA / B) 同じライブのとき、俺も「貴雄さん、サインお願いします!」って言われてさ、「それはウソだろ」とさすがに言い返しましたね。パートも違うし(笑)。
金井 あのライブは面白かったよね。あとさ、当時あまりに似てるって言われるもんだから、ザ・たっちがやってる幽体離脱のネタを見せるべきときが来たらやろうってまじめに斎藤くんと話してて。
東出真緒(BIGMAMA / Violin) 今のって、もしかしてフリ?
鈴木 見せるべきときって、もしかして今回なんじゃないの?
金井 いやいや、それはプライベートでやりますよ(笑)。
同じゾーンに属しているけどライバルではない
──今回なぜ対バン企画をやることになったのか、そしてなぜその相手がUNISON SQUARE GARDENだったのかという理由を聞かせてください。
金井 ここ数年BIGMAMAはアルバムをリリースして、ワンマンツアーをやってっていうのを続けてきたんですけど、ワンマンライブっていう2時間のパフォーマンスでの完成形が去年のツアーで見えた気がして。で、今回10周年を迎えるタイミングで原点に立ち返って自分たち主催の対バンライブをやりたいと思ったんですよ。どうせやるならスペシャルな相手を呼びたいよねっていう話にバンド内でなったときに、ほかのバンドも呼んでる手前やんわり書いてほしいんですけど、最初にUNISON SQUARE GARDENの名前が挙がって。
斎藤 わー、それはすごくうれしい。やんわりじゃなくて、太字で書いておいてほしい(笑)。
金井 あはは(笑)。僕はUNISON SQUARE GARDENもBIGMAMAも音楽ジャンルの「ロック」と「ポップ」が重なりあった部分に属してると思ってるんです。で、その重なりあったゾーンにいるバンドの中で一番好奇心をそそられる存在がユニゾン。これは僕の価値観なんですけど、BIGMAMAは「ロックバンドでもこんなに緻密で柔らかいアプローチができるんですよ」っていうのを表現してきたとバンドだと思っていて。ユニゾンの場合はポップであるという核の部分があって、そこにロックバンドという鎧をまとっているイメージ。表現したいもののベクトルが真逆に近いバンド同士がロックとポップの重なりあった同じゾーンに属しているというか。
──同じゾーンに属しているということは、つまりはライバルみたいなものなんですかね?
金井 あー、それちょっと微妙なところなんですよね。ライバルというよりかはいちファンなんですよ。それでいて、ジェラシーを感じることも多々あって。去年の5月にユニゾンがリリースした「シュガーソングとビターステップ」は聴いたときに、去年リリースされた曲の中で一番ポップスらしいと感じたんです。
斎藤 さて、そんな曲を作っている田淵はその愛に対してどう思います?
田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN / B) うれしいっすね。僕もBIGMAMAのことは、早い段階からライバルだと思ってなかったんですよね。そのポイントというのはやってることが違うというか、ライブに求めるものとかが違ったんですよね。俺らがやるべきものはBIGMAMAがやってるものじゃないと思ってたんです。でもライブを観るたびに、俺も金井くんと同じように「こういうやり方もあるのか……」とちょっと悔しいような気持ちがあって。ちゃんと視野にいれておかないと自分が自分でいられなくなるような……。もっと簡潔な言葉にすると、「BIGMAMAがんばってるから俺らもがんばらないとな」みたいな気持ちがあったんですよね。
金井 前に田淵には話したんですけど、BIGMAMAとユニゾンはそれぞれオーディエンスとの向き合い方が違うなって思って。BIGMAMAは一体感を選んで、ユニゾンは1対1を選んだ。でもユニゾンのライブを観るたびに、一体感というのはつまりは1対1を束ねることだというのを意識していないと、結果的に意味のない一体感になってしまうと気付いたりもして。だからといって「よし、じゃあ僕らもそれをやろう!」っていうことでもなくて、それを踏まえてどう意義のある一体感を作り上げられるかみたいなことをより意識するようになっていきましたね。
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BIGMAMAライブ情報「BIGMAMAnniversary 2016~2017」
MAMonthly Special「The BestMAMA's Day 2016」
- 2016年5月8日(日)東京都 Zepp Tokyo
- <出演者>
BIGMAMA
MAMonthly Special「You Are The SPECIALS」
- 2016年6月2日(木)大阪府 BIGCAT
- <出演者>
BIGMAMA / UNISON SQUARE GARDEN - 2016年6月3日(金)大阪府 umeda AKASO
- <出演者>
BIGMAMA / UNISON SQUARE GARDEN - 2016年7月7日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- <出演者>
BIGMAMA / THE ORAL CIGARETTES - 2016年7月8日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
- <出演者>
BIGMAMA / THE ORAL CIGARETTES
UNISON SQUARE GARDENライブ情報
UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2016 「Dr.Izzy」
- 2016年7月15日(金)東京都 オリンパスホール八王子
- 2016年7月18日(月・祝)岡山県 岡山市民会館
- 2016年7月20日(水)広島県 JMSアステールプラザ大ホール
- 2016年7月22日(金)静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート)
- 2016年7月23日(土)岐阜県 岐阜市民会館
- 2016年7月29日(金)石川県 金沢市文化ホール
- 2016年7月31日(日)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
- 2016年8月2日(火)大阪府 オリックス劇場
- 2016年8月3日(水)大阪府 オリックス劇場
- 2016年8月5日(金)奈良県 奈良県文化会館国際ホール
- 2016年8月8日(月)神奈川県 神奈川県民ホール
- 2016年8月15日(月)東京都 中野サンプラザホール
- 2016年8月16日(火)東京都 中野サンプラザホール
- 2016年9月10日(土)新潟県 新潟LOTS
- 2016年9月11日(日)福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
- 2016年9月16日(金)鹿児島県 CAPARVO HALL
- 2016年9月18日(日)長崎県 DRUM Be-7
- 2016年9月19日(月・祝)熊本県 熊本B.9 V1
- 2016年9月22日(木・祝)秋田県 Club SWINDLE
- 2016年9月23日(金)岩手県 Club Change WAVE
- 2016年9月25日(日)青森県 青森Quarter
- 2016年10月1日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2016年10月5日(水)福岡県 DRUM LOGOS
- 2016年10月7日(金)高知県 X-pt.
- 2016年10月8日(土)愛媛県 niihama Jeandore
- 2016年10月10日(月・祝)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2016年10月18日(火)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年10月20日(木)大阪府 なんばHatch
- 2016年10月21日(金)大阪府 なんばHatch
- 2016年10月27日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2016年10月28日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2016年10月30日(日)山梨県 甲府Conviction
- 2016年11月2日(水)北海道 帯広MEGA STONE
- 2016年11月3日(木・祝)北海道 Zepp Sapporo
- 2016年11月18日(金)福島県 郡山市民文化センター 中ホール
- 2016年11月23日(水・祝)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
- 2016年11月25日(金)長野県 ホクト文化ホール 中ホール
- 2016年11月28日(月)福岡県 福岡国際会議場
- 2016年11月30日(水)香川県 サンポートホール高松
- 2016年12月1日(木)愛知県 日本特殊陶業市民会館
- 2016年12月6日(火)京都府 ロームシアター京都メインホール
- 2016年12月9日(金)埼玉県 大宮ソニックシティ
- 2016年12月11日(日)栃木県 栃木県総合文化センター
- 2016年12月16日(金)千葉県 市川市文化会館
BIGMAMA(ビッグママ)
金井政人(Vo, G)、リアド偉武(Dr)、柿沼広也(G, Vo)、安井英人(B)、東出真緒(Violin)からなる5人組バンド。2002年に東京・八王子で結成され、メンバーチェンジを経て現在の編成に。2006年7月にミニアルバム「short films」をUKプロジェクト傘下のレーベル・RX-RECORDSから発表し、2010年10月には“ロック×クラシック”をテーマにしたコンセプトアルバム「Roclassick」を発売した。その後も彼らはコンスタントにリリースやライブツアーを重ね、2015年2月に6枚目のオリジナルアルバム「The Vanishing Bride」を発表。同年4月から10月にかけてキャリア最長のワンマンツアー「The Vanishing Bride Tour 2015 ~消えた花嫁を探せ!~」を開催した。デビュー10周年の2016年、現体制になって10周年の2017年は「BIGMAMAnniversary 2016~2017」と題したアニバーサリー期間とし、これまで以上に精力的に活動を行っていくことを発表。その幕開けを飾るシングル「SPECIALS」を2016年3月にリリースした。
UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)
斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)からなる3ピースロックバンド。2004年7月に結成され、都内を中心に活動を開始する。2006年8月に1stミニアルバム「新世界ノート」をリリースし、ライブハウスおよび下北沢ハイラインレコーズのみの販売で1000枚を完売。2007年にはメンバー主催のイベントをスタートさせ、同年12月には初の単独ライブを成功させる。2008年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。アニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマとして制作した2011年5月リリースのシングル「オリオンをなぞる」で広く注目を集める。全国各地の音楽フェスやライブイベントにも精力的に出演し、NHKホールなどでの単独公演にも注力。2015年5月にアニメ「血界戦線」のエンディングテーマ「シュガーソングとビターステップ」をシングルリリースし、同年7月にはバンド結成10周年を記念したアルバム「DUGOUT ACCIDENT」を発表した。2016年1月、バンド史上初の東京・日本武道館でのワンマンライブの模様を収めたライブDVD「UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL "fun time 724" at Nippon Budokan 2015.7.24」をリリース。7月に約2年ぶりとなるフルアルバム「Dr.Izzy」を発表し、本作を携えて40カ所44本というバンド史上最多公演数となる全国ツアーを行う。