ここが第2章のスタート

──アルバムの制作は具体的にどの曲からスタートした感じですか？

MOCA　最初にできたのは先行配信した「スタートライン」ですね。今年の頭には制作をしていて、城ホールの楽屋でも細かい打ち合わせなんかをしてました。「（新幹線変形ロボ）シンカリオン」のエンディング主題歌として書きましたけど、ここがベリーグッドマンとしての第2章のスタートでもあるんだよっていうメッセージも込められてます。

Rover　大阪城ホールはゴールではなく、新たなスタートラインだよっていうね。で、2月頭に「大丈夫」ができて。

MOCA　「大丈夫」は城ホールで感じた不安や緊張感があったからこそできた曲ですね。

Rover　メロディはMOCAが出してきたものなんですけど、それに僕はすごく励まされたんですよ。なかなかやる気が出なかった時期に聴いたら、めちゃめちゃ泣きそうになって。すげえ曲ができたなあって思いました。

──この曲は今、「NHK みんなのうた」で流れていて。反響も大きいのでは？

Rover　そうですね。いろんな感想をたくさんもらえてます。なんかね、こういう曲が書けている、ちゃんと表現ができているベリーグッドマンはある意味、ホンマに“大丈夫”やなって思ったりもしました（笑）。で、その他の曲に関しては、3人のスイッチが入ってから集中して一気に作っていった感じでした。

MOCA　そうやな。「Happy 7」なんかはライブでお客さん全員がハッピーに手拍子をして楽しんでくれたらいいなという思いで作ったし、やっぱりすべての曲がナチュラルに今の自分たちの気持ちを反映したものになっていますね。

──「Happy 7」は、今回のアルバムに漂う空気感をある意味、象徴している曲でもありますよね。

Rover　そうそう。毎日を生きているといろんな気持ちの浮き沈みがあるけど、そこで「ハッピーな気持ちでいよう」って思い続けることがホンマの幸せにつながっていくと僕らは常に思ってるんです。この曲ではそれをわかりやすく描いてみました。ゴスペルっぽい感じのトラックに新しさはあると思うけど、でもベリーグッドマンっぽさが100％の濃さで詰まってる曲だとは思いますね。

MOCA　これはヒデ（HiDEX）がサビを持ってきてくれたものなんですけど、全体としては悩むことなくサクッと完成しました。そういう意味でも僕ららしい曲だったんでしょうね。誰が聴いても悪い気がしない曲やと思うんでね（笑）、夏フェスなんかでもみんなで楽しんでくれたらうれしいです。

いやいや、そんなやつらとちゃうねんけどな

──アルバムにはレゲエテイストの「Good Day」という曲もあったりして、今回は夏っぽいアルバムになっている印象もありました。

Rover　うん、夏に寄せたところはありましたね。MOCAがずーっと「夏、夏、夏！」って言ってたから（笑）。

MOCA　せっかく7月にリリースするんだから、海の家とかで流してもらえるような曲が多いほうがいいじゃないですか。僕らは今まで夏にアルバムを出すことが少なくて、夏っぽい曲自体もあんまりないんですよ。だから今回はいい機会だったので、夏を存分に意識した曲をいくつか入れてみましたね。まあ、作ったのは真冬なんですけど（笑）。

──僕は3曲目の「夢のまた夢」がすごく好きで。

Rover　あ、うれしいですね。この曲は2年くらい前からいつか出そうと温めていたもので。今のタイミングで出すにあたってもリアルな内容になっているとは思います。

──「夢のまた夢」のように、夢を抱くことの大切さを曲に落とし込むのはベリグの真骨頂だと思うのですが、本作で放たれるメッセージにはこれまで以上の説得力が満ちている気がしました。それはきっとベリグが1つの大きな夢を叶えたからだと思うんですよね。

Rover　確かにそう感じてくれる方は多いのかもしれないですね。ただ、1つの夢を叶えた僕らであっても、まだまだ悩みや不安は尽きないんですよ。それをごまかすために酒飲んだり、仲間とワイワイふざけたりもする。だからみんなと同じなんだよということこそを楽曲では伝えたかったりするんですよね。

──なるほど。どれだけグループが大きくなろうとも、楽曲を書く視点はリスナーと同じであるべきだと。

MOCA　「あるべき」というか、実際みんなと一緒ですからね。僕らは大阪城ホールを含めて、今までにいろんな経験をさせてもらってきて。そういう部分では確かに変わったところはあるけど、1人の人間としては全然今まで通り。何も変わらない。だからファンの人たちに「キャー！ 握手してください」とか言ってもらうと、そりゃもちろんうれしいですけど、「いやいや、そんなやつらとちゃうねんけどな」って恐縮しちゃうんですよ（笑）。

Rover　そうやな。「なんかごめんなさい」みたいな気持ちになる（笑）。僕らもみんなと同じなんだよ、だから一緒に支え合ってやっていこうよということを音楽に乗せて歌っていければっていう思い。それは結成当初からまったく変わらないところではありますね。