ベリーグッドマン|RoverとMOCA ベリグ第2章を語る

ベリーグッドマンが通算7枚目となるオリジナルアルバム「SING SING SING 7」を7月31日にリリースする。

昨年11月に結成5周年を迎え、今年1月20日にはかねてからの夢であった大阪・大阪城ホールでのワンマンライブをソールドアウトさせ、大成功を収めたベリグ。そんな彼らが、新たな始まり、第2章の幕開けとしての思いを刻んで作り上げたのが本作となる。収録されるのは、テレビアニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン」エンディングテーマとなる「スタートライン」や「NHK みんなのうた」でオンエア中の「大丈夫」、Osaka Metroキャンペーンソング「My Line」など、より自由度を増したクリエイティビティを発揮した全10曲。聴き手の日常に幸せを運ぶベリグらしさはそのままに、Def TechのMicroとのコラボ曲「線香花火」など新たなトライも積極的に盛り込まれており、今までにない表情をたっぷり感じさせてくれる内容だ。

今回、音楽ナタリーでは、RoverとMOCAの2人にインタビュー。大阪城ホールでのワンマンライブ以降の気持ちの変化やアルバム制作のエピソード、そして9月に控えるユニバーサル・スタジオ・ジャパンでのワンマンライブに向けた意気込みを聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 曽我美芽

大阪城が終わった直後は燃え尽き症候群に

──結成5周年を経て、今年1月20日に開催されたのが初の大阪城ホール公演でした。少し時間が経ちましたが、改めて感想を聞かせてください。

Rover 夢の場所だったので、ライブが始まる直前まではプレッシャーがハンパじゃなかったですね。「自分は今まで何をしてきたんだろう」「自分には何もできないのかもしれない」みたいな気持ちになっちゃって。でも、1万人のお客さんの姿が自分の目に飛び込んできた瞬間、すごく安心することができたんですよ。もちろんあれだけ大きな会場で歌うことの難しさはあったから、戦いとも言える1日ではありました。でも最後まで安心した、リラックスした気持ちで歌うことができたと思うんです。

MOCA オープニングでは、大きなLEDがゆっくり上がって僕らがステージ上に登場する演出だったんですけど、僕は早々に泣いてしまって(笑)。でも、ある意味、そこで感動のピークを味わうことができたので、あとはもう「やるしかない!」っていう気持ちで突っ走れたところがあったと思います。結果、いいライブになった手応えはありましたけど、同時にたくさんの課題が見つかったのも事実で。なので、この経験を生かして、いつかまたリベンジしたい気持ちもありますね。

──結成当初から抱き続けていた“大阪城ホールでのワンマンライブ”という夢を叶えたことで、その先の未来に向けた新たなビジョンも生まれましたか?

MOCA 規模的にもっとデカい会場でライブをやりたいという思いはもちろん強くなってはいますね。

Rover そうやな。5年前、大阪城ホールでワンマンすることはまったく想像もつかなかったんですよ。でも僕らはそれを目標として掲げてきたからこそ実現することができた。だったらここからもまた同じように「絶対ムリやろ」と思えるような目標を設定しないとなって。例えば甲子園球場に4万4、5000人を集めるライブ、とかね。10周年に向けて活動を続けていくのであれば、そういった大きな夢は絶対に必要やなって。で、その夢の実現のためには、今まで以上に細かく全国各地に顔を出し、直接歌を届けていくことも重要になってくるような気はしていますね。

MOCA あとはベリーグッドマンだからこそできる面白いライブもどんどんやっていきたいですよね。今年9月に決まったユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの野外ライブなんかは、その第一歩になるとは思うんですけど。

Rover うん。まあでもそうやって次のビジョンが見えたところはあったけど、大阪城が終わった直後は燃え尽き症候群のようになってしまったところもあって。

左からRover、MOCA。

ちょっと大人になったベリグ

──1つの大きな目標を果たした分、その反動もあったんでしょうね。

Rover そうそう。1月後半から、ちょっとだけゆっくりできる時間をもらうことができて。ホンマはそこでアルバムに向けた曲作りをしないといけなかったんです。でも、なかなか気持ちを切り替えることができなかった。MOCAは自分のケツ叩いて曲をいくつか上げてきたりしてたんやけど、それ聴いても「ああ、ええんちゃう?」「がんばってな」みたいな気持ちになってて(笑)。

MOCA なんで他人事やねん!(笑) 俺も城ホール終わってからちょっとテンションが上がらない時期はあったんですよ。HiDEXと2人で「絶対1日に1曲作ろう!」ってスタジオに入ったりしてたんですけど、初日から全然できなかったし。「今はムリやな」みたいな(笑)。でも、2人の様子を見ながらジャブを打つみたいな感じで曲を作っていくことで、チームとしての気持ちに火を点けられたらいいかなって気持ちはあったんですよね。

Rover

Rover そんなMOCAのがんばりが伝わったことでバチッとスイッチが入ったところはあったと思います。時間的にも、もうそろそろ本気でやらないとアカンなってタイミングにもなっていたし(笑)。で、本格的に制作をスタートしてみると、前作とは違った感覚があったような気がするんですよ。ちょっと余裕が出たって言うんですかね。

MOCA お金に?

Rover いや、気持ち的に(笑)。大阪城ホールでのライブを経験したことで3人の信頼関係がより強まってもいたので、楽曲に関しては細かいところがあまり気にならなくなったんですよ。曲の向こう側にいるリスナーのことをしっかり見据えられているのであれば、肩ひじ張らず、より自由に、思うがままに作っても大丈夫なんちゃうかなって。それは決して、適当でいいということではなくて、今まで以上にのびのびと制作できるようになったということですね。そういう意味での余裕。結果、今回のアルバムはちょっと大人になったベリーグッドマンを詰め込むことができたんじゃないかなって思うんです。

MOCA いつも以上に今の僕らが感じていることをリアルに詰め込んだアルバムにもなってるしね。今回もいろんなタイプの曲が集まったけど全体としてはまとまりのある、いいアルバムになったかなとは思ってます。