日本語は美しい言葉だしもっと歌いたい

──アルバムは曲のバリエーションが豊富ですよね。例えば「2012」は、LINKIN PARKを彷彿させるようなヘヴィロックですが。

YUKI　ちょうど私がこのトラックを提案した頃に皆既日食があったり、「2012年に地球が滅びる」といった話をBECCAとしていたこともあったりで、そういうテーマになったんです。

──BECCAさんは日本語の歌詞をずいぶん歌っていますね。

BECCA　チャレンジしました（笑）。日本語は美しい言葉だしもっと歌いたいですね。

YUKI　日本にいるBECCAのファンやBENNIE BECCAのファンに向けて、BECCAが日本語で歌うことで、より曲を理解してもらえるのでは、と思って。

──「Narita Express」はなめらかなサウンドが印象的です。

YUKI　雑談していたときに「Narita Express」という言葉が出てきて「なんだか普通の電車と違うね」って。海外へ向かう人も海外から来た人も乗るし、別れを告げて新しい場所に旅立つ人もいるし。いろんなドラマを乗せている電車なので、曲にしてみても面白いかもね、ということになりました。

このユニットで自由になれた

──BECCAさんはBENNIE Kと一緒にやるようになって、新しい自分を発見しましたか？

BECCA　いろんな歌声を出せたことが大きいかな。今までロックばかり聴いてきたので今回世界が広がったし、自分がプロデュースした曲もあるし。

──これまでは自分の恋愛経験などを歌うことが多かったのに比べ、BENNIE BECCAでは観念的な歌詞が増えましたよね？

BECCA　ソロはパーソナルなことを歌うけど、ここでは自分の気持ちだけじゃなく3人の気持ちを代弁することになるので、これまでと違うアイデアを考えましたね。よりオープンな気持ちで自由に書けました。例えば「2012」ではいつも書かないようなテーマを選んだり。このユニットで自由になれたし、もっと成長したし、作詞の面でも今までブロックされていたものが外された感じ。「ロックアーティストがこんなこと書いていいのかな？」って思ったことも、とりあえずやってみたし。

──それによって自分自身が励まされたりもしましたか？

BECCA　そうですね。特に「KAMINARI GIRL」には刺激を受けたし、励まされました。これは恋愛関係について歌った曲で、普通は失恋すると脆い気持ちになるけど、この曲に登場する女性は強いんです。悪い男に耐えるのではなく、ポイ捨てされるのでもなく、逆に握りこぶしでやっつけるような感じだし（笑）。

CICO　私も「KAMINARI GIRL」は好きですね。今まで一緒にやってきたトラックプロデューサーではなくて、YUKIが手がけたトラックで歌えたというのがホント大きいし、絶対に踏み潰されない、何があっても負けないという姿勢にインスパイアされました。BECCAの強い歌と「I’m a thunder girl, you won’t take me down」という強い歌詞は、きっと自分にとって大きなメッセージとなって残っていきますね。

音楽シーンの異端児であり続けたい

──最後にリスナーにメッセージをいただけますか？

CICO　好き放題に作ったアルバムだけど、踏み潰されそうになってもその足を突き刺すくらいの強さと、そんな状況であっても生き延びられる雑草根性がどの曲にも表現されているんじゃないかと思う。人が「えっ!?」と思うような変わったことを入れたり、違和感を覚えるようなことでもスタイリッシュに表現したいと思ったり……。世の中に「どうだ！」と思わせられるような、音楽シーンの異端児であり続けたいんです。このアルバムはそういう意味での一撃になると思う。このアルバムを面白いと感じてくれる人がたくさんいたらいいですね。

BECCA　歌詞に描かれているメッセージを通して、聴いた人たちみんながいい刺激を受けて、物の見方が広がってくれるといいと思う。

YUKI　アメリカに住む女性アーティストと日本に住む女性ユニットが一緒にグループを組むのは世界的に初めて。前例がないし、そこに道もないし、新しい世界に踏み込む前は不安だけど、この“できる”という思いは今後の3人の力になると思う。そしてそのエネルギーがこのアルバムを通してリスナーにきっと届くと思う。チャレンジしていく気持ちが、生きる上で強い希望を与えるってことを感じてほしいです。