Beck×DAOKO|名曲に新たな彩りを加える、世代と国境超えた貴重コラボ

大事なのは自分自身の考え方をしっかり持つこと

──お二人で「Up All Night」をパフォーマンスして、撮影もされたそうですね。いかがでしたか?

DAOKO 曲ができたときはまだ実感がなかったんですけど、撮影のときにやっと実感できましたね。しかもBeckバンドと一緒に歌わせてもらって。生のバンドの中で歌うこと自体が初めてだったから、すごく新鮮でした。

Beck バンドをまとめるのはとても大変で、ナチュラルにやれるようになるまでには何年もかかるんだ。今のメンバーに会えたのはすごくラッキーだったと思う。ドラマーは今年から参加してくれてるんだけど、とにかくパワーがすごくて、いつかステージの床をぶち抜くんじゃないかな(笑)。ちなみに前のドラマーはPink Floydのツアーに参加してるよ。

DAOKO Pink Floyd! それもすごいですね。私もバンドサウンドはとても好きで、バンドのライブもよく行ってるんです。ずっと1人でやっているから、バンドで曲を作ることにも憧れますね。

Beck 1人で作るのとは何もかも違うからね。今のDAOKOのアプローチもすごくいいと思うんだよ。個人のビジョンに基づいて制作するのも本当に素晴らしいことだけど、ほかのミュージシャンと一緒にやると、想像していたものとはまったく違うものになることもあるんだ。いいほうに転がることもあれば、そうじゃないこともあるけど、どちらにしても大事なのは自分自身の考え方をしっかり持つことだと思う。それは覚えておいたほうがいいかもね。

DAOKO

DAOKO わ、いいアドバイス。私はプロデューサー的なこともやっているし、トラックメイカーはいるけど、自分でオーダーを出すことが多くて。誰かと一緒にやるのもいいかもしれないですね。

Beck 僕と一緒に制作するのはどう?

DAOKO え、ホントですか! ぜひ!! 次の目標ができました。

Beck 僕もそうだけど、ソロのアーティストって、ずっと1人で部屋にこもっているような状態になるでしょ? ときにはほかの誰かと一緒にやったほうが、アートも魂も広がっていくからね。ここ10年くらいは僕もいろんな人とやってるんだ。セイント・ヴィンセント、ジャック・ホワイト、Bat For Lashes、Pinkとか。彼らからいろいろな刺激を受け取ったし、それぞれの生活を垣間見させてもらうことで新しいインスピレーションも得られて。

DAOKO 素晴らしいですね。

Beck いろんなケミストリーを体験したし、自分の知らない自分に出会えることもあるんだよね。シャルロット・ゲンズブールのアルバム(「IRM」)をプロデュースしたときもそうだった。彼女をイメージして曲を作っていたら、いつもとは違うものがどんどん生まれたからね。

もっと面白いアーティストになれるように“Do my best”

──DAOKOさんも今年はいろいろなアーティストとコラボレーションしてますよね。米津玄師さん、岡村靖幸さん、そしてBeckさん。得られるものも多かったのでは?

DAOKO そうですね。1人で作るのとはぜんぜん違いますし、幅も広がったんじゃないかなって。ラッパーから始めて、J-POPのシンガーとして歌うことも増えて。「Up All Night」のヴァースでも“ポップでキャッチーでありつつ、ラップとしても成立する”ことができたと思うし、次の作品にも生かせるんじゃないかな。

Beck ぜひ聴いてみたいな。

DAOKO 今制作しているので、できたら送りますね。

Beck DAOKOも締め切りギリギリまでやるんだろうし、それが楽しいんだよね。作ってる最中はすごく苦労するんだけど、だからこそ「また作りたい」と思うんだよ。頭の中で鳴っている音楽を形にしようとがんばるんだけど、(目の前のペットボトルに手を伸ばしながら)ギリギリのところで目指しているところに届かない。そのときは「今回も最後までは届かなかった」と思うけど、それが次の作品のインスピレーションにつながるっていう。ヘンな仕事だよね。

DAOKO それがクリエイトするということですよね。Beckさんと話していると「本当に音楽が好きなんだな」ということが伝わってきて。そこもすごくリスペクトしているし、刺激を受けますね。

──「Up All Night」をお二人がライブでパフォーマンスするシーン、ぜひ見たいです。

Beck ぜひやりたいね!

DAOKO すごい。それまでにもっと完璧にやれるようにしておきます!

Beck DAOKOの年齢でこれだけの実績を持ってるって、すごいと思うよ。同じ年代の中でかなり先を行ってるはずだし、これからやれることもいっぱいあるだろうね。

DAOKO ありがとうございます。もっと面白いアーティストになれるようにがんばらないと。“Do my best”ですね。

左からBeck、DAOKO。
Beck「Up All Night × DAOKO」
2017年11月24日発売
Beck DAOKO「Up All Night × DAOKO」

250円

iTunes

Beck(ベック)
Beck
1970年生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身の男性アーティスト。1994年発表のデビューアルバム「Mellow Gold」がロングセラーとなり、1996年リリースのアルバム「Odelay」でグラミー賞2部門を受賞。フォークやヒップホップ、ソウル、ブルース、カントリー、ノイズミュージックなど多様なジャンルを独自の感性で融合させた実験的ながらポップでキャッチーなサウンドは、世界中に多くのフォロワーを生み、同作は1990年代のロックを代表する1枚に数えられるようになった。その後、同じ路線を踏襲せずに「Mutations」「Midnite Vultures」「Sea Change」「Guero」などアルバムごとに異なるアプローチの作品を発表。2014年発売の「Morning Phase」はグラミー賞において「最優秀アルバム」「最優秀ロックアルバム」「最優秀エンジニアドアルバム」の3部門を獲得した。2016年7月の「FUJI ROCK FESTIVAL '16」で約7年ぶりの来日を果たし、翌2017年10月にはアルバム「Colors」をリリース。同月に東京・日本武道館と新木場STUDIO COASTでのライブを成功させた。
DAOKO(ダヲコ)
DAOKO
1997年生まれ、東京出身の女性ラップシンガー。ニコニコ動画のニコラップに投稿した楽曲で注目を集め、2012年に1stアルバム「HYPER GIRL-向こう側の女の子-」を発表。ポエトリーリーディング、美しいコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年3月にはTOY'S FACTORYよりアルバム「DAOKO」にて高校生にしてメジャデビュー。2016年4月にTeddyLoidとのタッグで学校法人・専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)の2016年度テレビCMソングを担当。同曲も収めたトリプルA面シングル「もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」を9月にリリースした。2017年8月には映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の主題歌を含むニューシングル「打上花火」を発売。10月に岡村靖幸とのコラボレーションによるシングル「ステップアップLOVE」を発表し、11月24日に配信限定リリースされたBeckの楽曲「Up All Night × DAOKO」にも参加した。
Cygames presents DAOKO TOUR 2017-2018 "THANK YOU BLUE"
  • 2017年11月26日(日)大阪府 BIGCAT
  • 2017年11月29日(水)愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2017年12月2日(土)福岡県 DRUM Be-1
  • 2017年12月8日(金)宮城県 darwin
  • 2017年12月10日(日)北海道 Sound Lab mole
  • 2018年1月11日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO