ニュー・アルバム『ちょうちょ』で、独自のポップ・センスを見事に羽ばたかせたベベチオ。デビューから現在まで、作品を重ねるにつれ、新たな発見を繰り返しながら、美しい“ちょうちょ”へと進化してきたベベチオの音楽の変遷と、ライヴについての想いを、ヴォーカル/ギターの早瀬直久に語ってもらおう。

取材・文/宮内 健(ramblin')

ベベチオ流ポップスの変遷とライヴへの想いを語る

──ということで、ベベチオ・サウンドの変遷を振り返ろうと思うんですが、ただ振り返るのもつまらないので、その作品ごとに早瀬さんがイメージする、ベベチオにとっての“○○期”という感じで名付けていってもらおうと思います。まずは、2003年6月リリースのデビュー・ミニ・アルバム『左右対称のダンス』から。

「たとえるなら、“こんにちは赤ちゃん期”というところですかね。何もかも初体験だった音楽活動がスタートして、出来た曲を聴いて欲しいという気持ちが高まる日々を送っていて。自宅や、当時、僕がバイトしていたカラオケボックスで録音した自主制作音源が見事完売したので、さらなる展開をしようということになり、新曲の「泪橋」を1曲足して全曲リミックスし、『左右対称のダンス』をリリースしたんです。結成当初から美容室で“ドンマイナイツ”というイヴェントをやってたんですが、ライヴハウスでのライヴ経験もないまま、美容室でワンマンライヴを2年以上ゆるゆるしていたというところが実にベベチオらしいかも(笑)。サウンド的なことを言えば、やはり今より断然に隙間が多かったように思いますね」(早瀬、以下同)

──続いて、2004年10月リリースのセカンド・ミニ・アルバム『ひとつやふたつ』を例えると?

「“3つ子の魂100まで期”って感じで、ベベチオのスタイルが固まった時期ですね。結成当時は、渋いドラマーでも探そうか?と話してたんですが、二人で打ち込みを何とか駆使できるくらいになってました。なけなしのお金で機材を買いまくってた頃ですね。サウンド面では、アコースティックな雰囲気に漂うエレクトロニクス、というバランスの心地よさが定着したのがこの頃。詞の世界や音の感触に合ったものをと、効果音的な材料なんかを常に探し回ってました。この時期が二人一番であーだこーだやってた気がします。いくつもの徹夜によってベベチオの根源が作られましたね。うん、この『ひとつやふたつ』にはベベチオを語る上で欠かせない曲たちが詰まってます」

──なるほど。では、2005年11月リリースの3作目のミニ・アルバム『JAPANESE SPOON』は?

「ジャケットにも現れてますが、“レインボー期”ですね。ベベチオの持つポピュラリティに花が咲き、とてもカラフルな仕上がりになって。音楽的な進歩や表現の広がりを感じられた時期。“キャッチー”である大切さを初めて考えることが出来た作品です。全国各所でライヴをするうちに、ベベチオとしての自信がついていったのと同時に、歌に対する声の伸びや深みが増した頃だとも思います。平良くんもこの頃にパソコンを新調したので、メキメキとデジタリアンに成長。ライヴもスムーズな進行となってご満悦でしたね(笑)。サウンド的には生の楽器を取り入れだした時期で、打ち込みや細かいコーラスが生楽器に埋もれてしまわぬように、コード理論とかも少し勉強して、隙間を上手く飾ってみたりしました。恥ずかしいくらいカラフルな衣装を着せられても、恥ずかしくない歌が唄える自信のついた第三次成長期ともいえる、大切な時期ですね」

──そして、同名映画の主題歌にもなった、2006年10月リリースのマキシシングル『幸福のスイッチ』。

「“自然がいいね期”って感じですかね。そもそも僕が作曲をするきっかけになったのが、自主制作映画のために書いたものがはじまりだったんです。だから“映画の主題歌を書いて欲しい”と言われたのは、実に回帰的な嬉しい依頼でした。ある世界(脚本)を見て、それに曲をつくるというのも作品の相乗効果が目に見えて楽しかったですね。逆にすごくシンプルに曲を描けたのかも知れません。ベベチオの持つポピュラリティが少しずつ広がってるんだなあと実感できた頃です。あと、この頃ぐらいから、なにか解き放たれたように、加速度的に“愛”という言葉を歌の中で口にしてると思います。サウンド的にはシンプル・イズ・ベストという初心が真っ直ぐ出てきて、心地よさが気持ちいいスピードで出てる頃です」

──こうして振り返ってみると、作品を重ねるごとに、経験から得たものを吸収して、サウンドに反映させてきた進化していったベベチオのサウンドですが、ライヴ活動から得るものもまた大切なファクターとなっていると思うんです。早瀬さんが考える、ベベチオにとってのライヴとは、どんなものなんでしょう?

「僕にとってライヴは歌です。上手い下手よりも唄えたかどうかを重視する場ですね。ライヴでも、もちろん曲の持つイメージを想い描きながら唄うので、目をつむってイメージに入り込んでることが多いです。お客さんも目をつむって聴いてくれてる方もいらっしゃいます。イメージの共有というか、共感というか、そんな素敵な空間が創れたらいいですね。そんな僕はエンターテイナー気質でもあるので、楽しさを躍動できるのもライヴならでは。音を奏でること自体が愛だとも思ってるので、心に栄養のある表現を目指して頑張りたいですね」

──間もなくアルバムの『ちょうちょ』リリース記念のワンマン・ライヴが予定されていますが、どんなものにしたいと考えていらっしゃいますか? 

「ファースト・フル・アルバム『ちょうちょ』を引っ提げてのワンマンになりますが、新旧織り交ぜて楽しい2時間にしたいですね。心温まる映画のような時間にしたい。観終わった後、ちょっとイイ奴になってるようなヒューマンエコロジーなんて出来れば素敵ですね。とにかく、一生懸命やって良かった!観に来て良かった!という夜になるのは間違いないと思っています。素敵なイオンで包みますよ!」

ジャケット写真

ベベチオ 1stフルアルバム「ちょうちょ」

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PC 収録曲配信中
着うた(R) 収録曲配信中
CD 発売中

2008年2月13日発売 / 2,625円
XNHL-14002 / In The Garden Records

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動画コメント ライブ映像
プロフィール

早瀬直久(ボーカル、ギター)と平良正仁(ベース)により、2000年秋に結成。宅録を中心に創作活動を続け、2003年、ミニ・アルバム『左右対称のダンス』でデビュー。その後、『ひとつやふたつ』『JAPANESE SPOON』と高いクオリティのミニ・アルバムをコンスタントにリリースし、着実に支持を集めていく。2006年10月には上野樹里主演の映画『幸福のスイッチ』主題歌にもなった、シングル「幸福のスイッチ」を発表。2008年、2月13日に初のオリジナル・フル・アルバム『ちょうちょ』をリリースしたばかり。レコ発記念のワンマンは、4月28日(月)心斎橋BIG CAT、5月9日(金)原宿ASTRO HALLにて開催決定!

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