ナタリー PowerPush - ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987

OKAMOTO'Sが本音で語る “伝説的フェス”映画の見どころ

どうやったらこの人たちに勝てるライブができるかな?

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、RED WARRIORS。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

──もし自分たちがこのフェスに出演してたらって想像しましたか?

ショウ 想像しましたね。当たり前だけど、このフェスに出てた人たちは大先輩ばかりで。でも、当時は今の俺らと歳が近い人も多かったと思うんですよ。

レイジ たぶんヒロトとかマーシーは今の俺らと同世代くらいだと思う。

ショウ そう考えるとすごいなと思いつつも、「どうやったらこの人たちに勝てるライブができるかな?」って考えましたね。俺らが勝てるところももちろんあると思ったけど、さすがだなって思うところがいっぱいあって。

──さすがだなと思ったところは?

ショウ やっぱりスターなオーラですよね。カッコいいライブを見せてやるっていう気合いと。今のフェスって、会場全体が盛り上がっているように見えるライブをすることに全力を賭けてるアーティストが多いと思うんですよ。

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、THE BLUE HEARTS。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

──アーティストもお客さんもライブを俯瞰で見がちな傾向があるかもね。

ショウ そうそう。盛り上がって見えるような演出をしてみたり。お客さんもみんなが盛り上がってるから私も盛り上がろうって一緒に騒いで、なんとなくいいライブを観た気になっている人も多いと思うんですよね。でもこの映画を観て、当時はアーティストもお客さんもライブに臨む姿勢が全然違うんだなって思った。これだけ過酷な状況だったというのもあると思うけど、アーティストは自分たちがいかにカッコいいライブをするかに命を賭けていたんだなって思ったし、お客さんも必死になってそれぞれのパフォーマンスを観ていて。その光景がすごくいいなと思いましたね。

カッコいい人に時代は関係ない

──80年代の音楽シーンのリアルな姿が浮き彫りになっているという意味でも貴重な映像だよね。

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、尾崎豊。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

コウキ うん。尾崎豊のライブとかもエネルギーを放出する感じがすごかったな。HOUND DOGもカッコよかったし。

ショウ カッコよかったね。HOUND DOGの「ff(フォルティシモ)」のイントロってこんなに速かったんだって感じたり、RED WARRIORSってこんなにストーンズっぽいんだ、ダイアモンド✡ユカイさんって出番前に緊張するんだとか(笑)、いろんな発見がありましたね。

コウキ すごいブッキングですよね。当時の第一線のロックアーティストが1つのフェスに集まっていて。ロックシーン全体の盛り上がりを感じる。今はロックがマイノリティになってしまっているけど、当時はロックが音楽業界のメインでもあったんだなって思いましたね。

ショウ そうだね。あと、単純にそれぞれのアーティストがヒットソングを持ってる強みもデカいなって。

──ファンじゃなくても歌えるレベルのね。

ショウ そう。今は1つのフェスでもステージがいくつかあったり、それに伴って出演者の数も多いということもあるけど、これだけ世間レベルで知られてるヒットソングを持ってるロックアーティストが一堂に会しているのはすごいなって。

レイジ カッコいい人に時代は関係ないんだなとも思った。ヒロトや佐野元春の存在感とかファッションは今見ても十分カッコいいなって思うし。

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、岡村靖幸。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

──バックステージに現れた瞬間からオーラを放ってるよね。

レイジ マーシーの顔もめっちゃカッコよかった。

コウキ 岡村(靖幸)ちゃんのパフォーマンスもいい意味で今と変わってなくて、この人は貫いてきたんだなって思ったし。

レイジ そうそう。この前、観たライブでもブレイクのときの「1タイム! ダン! 2タイム! ダンダン!」ってカウントやってたからなあ。岡村ちゃんなんて「yellow」(1987年3月リリースの1stアルバム)がリリースされたばかりで、21歳とかでしょ。すごいよね。

ショウ ダンスのキレもハンパなかった。首が折れるんじゃないかっていう(笑)。

岡村ちゃんと一緒にこの映画を観に行きたい

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、渡辺美里。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

──白井貴子さんや渡辺美里さんも覚悟が決まってる表情でライブをやっていてカッコよかったよね。そもそも女性アーティストが2組しかいない中でこの最悪の状況だし、プレッシャーはハンパなかったと思うんだけど。

コウキ ステージ袖にいるときはすごく不安そうなんだけど、いざステージに出たら覚悟が決まってましたよね。

レイジ 白井さんと渡辺さんはお互いライバル意識があったかもしれないしね。

ショウ 雨にやられて白井さんのバンド(CRAZY BOYS)のギターの音が出なかったシーンもすごくリアルで。

レイジ あれ、補償とかどうだったんだろうね? エフェクターとか全部死んでると思うし。

──今と違って興行保険も充実してなかっただろうしね。

映画「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987」より、白井貴子。 (c)BEATCHILD1987 製作委員会

ショウ そうですよね。モニターが死んで、外音だけでライブをやっていたのもすごいなと思いましたね。この前、俺らも台湾でライブしたときに、現地のモニターが全然ダメで、俺もモニターなしで歌ったんですけど。この映画に出てくるアーティストはみんなそれを思わせないパフォーマンスをしているからそれもすごいと思った。

──バックステージの感じとか今と比べてどうだった?

ショウ それこそ「BEATCHILD」は熊本でしたけど、長崎の「Sky Jamboree」のバックステージもああいう雰囲気ですよ。それぞれの楽屋での距離感が近くて、食事も最近の大型フェスとは違って、もう少しハンドメイドな感じで。

レイジ いなばのタイカレーの缶詰が置いてあったりね(笑)。楽屋での距離感も近いからアーティスト同士が交流しやすいんですよね。俺、バックステージの映像を観ながら変なこと考えちゃって。タイムスリップできたとして、岡村ちゃんに話しかけたらどんな反応するんだろう?って。「未来でけっこう仲良くしてもらってる者なんですけど」って。そう言っても「ああ、そうですか」って通じちゃいそうな雰囲気もあったし(笑)。

──今度、岡村さんに会ったらぜひこの映画の話をしてもらいたい。

レイジ 今メール送ろうと思ってました(笑)。っていうか、岡村ちゃんと一緒に改めてこの映画を劇場に観に行きたいですね。当時の思い出話を横で聞きながら観たい。あ、それいいな。やりますね(笑)。

コウキ それ楽しそうだなあ。

ショウ いいね。やりたい(笑)。

ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD1987
1987年8月22日から翌23日にかけて熊本・野外劇場アスペクタで行われた日本初の本格的オールナイト野外ロックフェス「BEATCHILD1987」の模様を収めたライブドキュメンタリー映画。同フェスは佐野元春 with THE HEARTLANDやBOØWY、尾崎豊、THE BLUE HEARTS、渡辺美里、岡村靖幸など計13組の国内アーティストが、豪雨の中12時間にわたり熱演を繰り広げたことで、一部のロックファンの間では“史上最低で、最高のロックフェス”と呼ばれている。監督を佐藤輝、音楽監督を佐久間正英が担当。ステージ上のアーティストたち、企画・運営していたスタッフたち、そして7万2000人の観衆たちにスポットを当て、26年前の真実に迫る。なお本作のテレビ放送、DVD化、ネット配信は一切なし。
公開日
2013年10月26日(土)より、期間限定プレミアム上映
上映劇場
イオンシネマ、TOHOシネマズ、Tジョイほか全国80館
料金
全国共通前売鑑賞券 2000円 / 当日券 2500円(限定感謝プライス!九州のみ当日も2000円)
チケット発売
イープラス、全国のファミリーマート店内Famiポートにて
映画本編出演者
THE BLUE HEARTS / RED WARRIORS / 岡村靖幸 / 白井貴子 & CRAZY BOYS / HOUND DOG / The Street Sliders / BOØWY / 尾崎豊 / 渡辺美里 / 佐野元春 with THE HEARTLAND(出演順)
OKAMOTO'S ニューシングル「SEXY BODY」 / 2013年11月6日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [CD+DVD] 1600円 / BVCL-550~
初回限定盤 [CD+DVD] 1600円 / BVCL-550~
通常盤 [CD] 1260円 / BVCL-552
OKAMOTO'S(おかもとず)

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行われた全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月に1stアルバム「10'S」でメジャーデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2013年1月にセルフタイトルを冠した4thアルバム「OKAMOTO'S」を発表。同年11月にはニューシングル「SEXY BODY」をリリースする。