ナタリー PowerPush - Base Ball Bear
ブレない僕らの初ベスト
Base Ball Bearが初のベストアルバム「バンドBのベスト」とニューシングル「PERFECT BLUE」を同時リリースした。2006年のメジャーデビューから足かけ7年。2枚組、全22曲が連なっているこのベストを聴けば、彼らが徹頭徹尾ブレずに自らの音楽性を更新してきたことがわかる。そして、ニューシングルの表題曲である「PERFECT BLUE」は、バンドの第2章の幕開けを飾るにふさわしい“究極の1曲”とも言える内容になっている。
果たしてBase Ball Bearとはどんなイズムを貫くロックバンドなのか? 彼らの比肩なき音楽性とは? 改めてその核心に迫るべく、メンバー4人にじっくり話を聞いた。
取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 福本和洋 ヘアメイク / 下田亜希子
「ベスト出しましょうよ」って言ったら驚かれた
──まずはベストの話を。このベストはメンバーのほうから出そうって提案したとか。
小出祐介(Vo, G) うん。去年の秋口くらいにスタッフと「2013年はどういう動きをしていきましょうか」って話をしているときに、うちのチーフマネージャーから「もうメンバーで決めてください」って言われて。
──もう大人なんだからって?(笑)
小出 そうそう。もう20代後半に差し掛かって、いい大人なんだからって。でも、確かにこのご時世ね、アーティスト側のやりたいことや伝えたいことが先にあって活動の方向を決めていくほうが健康的だなと思って。やっぱりこの2年くらいは、リアリティやノンフィクション感が強く求められていると思うし。
──ホントにそうですね。実際、ベボベも2011年11月にリリースした「新呼吸」でそういったアティチュードを示したしね。だからこそ、あのアルバムは文句なしの最高傑作になったし。
小出 そうそう。だからチーフマネージャーからの提案もすごく納得がいって。で、僕らメンバーのほうから2013年はこういう動きをしたいっていう大まかな年間計画をスタッフサイドに提出しまして。去年はリリースがライブDVD(「10th Anniversary tour(This Is The)Base Ball Bear part2『Live新呼吸』2012.01.03 NIPPON BUDOKAN」)とミニアルバム(「初恋」)しかなかったから、今年はガンガンリリースしていきたい。で、ゆくゆくは「新呼吸」の次にくる5枚目のアルバムに向かっていくという、その導線としてまずはシングルを出そうと。でも、その出し方を考えたときに、僕らはタイアップありきで曲を作ることがほとんどないから、シングルを出すタイミングで何かもう1つキャッチーな出来事が欲しくなって。それで「ベストを出すのはどうですか?」って提案したんです。
──なるほど。そう思えたのは、結成10周年のタイミングで「新呼吸」を作れたからというのも大きいでしょう?
小出 うん。それに、「新呼吸」のリリース後にディレクターとかから「ベスト出さない?」って言われると思ってたんですよ。
──流れ的にはね。
小出 うん。でも、ぜんぜん言われないから(笑)。
──ベストを出したくないタイプのバンドだと思われているからじゃないの?
小出 そうなんだよね。でも、逆に俺たちからしたら、なんでベストを出すのがヤだと思われているのかわからないというか。「え、ベストってダメなの?」みたいな。僕自身はリスナーとしてけっこうベスト買うし、好きだし。だから、僕としてはいつかベストをうまく使ってやろうと思っていたんです。
──タイミングで言ったら今しかないよね。
小出 そう、ここが一番健康的なタイミングだと思った。「新呼吸」で1ターム終わったあとの、第2章の始まりとして。ここを逃したら、第2章はいつ終わるのかわかんないよ、5枚組くらいのベストアルバムとか重いでしょ?みたいな(笑)。でも、ディレクターに「ベスト出しましょうよ」って言ったら驚いてましたけどね。「え!? その発想はなかったからちょっと揉みます」みたいな。
──あはははは!(笑)意外すぎてとりあえず揉まないとっていう。
小出 うん(笑)。で、揉んでいただいた結果、出しましょうと。
ベストは第2章の入り口
──3人はどうだったんですか? ベストについては。
関根史織(B, Cho) 大賛成でした。ベストってなぜか不健康なイメージもあるみたいですけど、私もこいちゃんと一緒でその感覚がよくわからなくて。
堀之内大介(Dr, Cho) 俺も。一昨年「新呼吸」を作って、去年1年かけてツアーをがっつりやって、ここから第2章が始まるのは間違いないので。ここでベストを出すことになんの異論もなかったですね。ベストの収録曲をリストアップしたときに、2枚組になるくらい曲を作ってきたんだって思ったし。今がジャストだなと。
湯浅将平(G) 僕も同じですね。タイミングもいいし、曲数もあるし。
──ベストの内容っていろんなパターンがあるじゃないですか。シングルになっていない曲を積極的に混ぜていくものもあれば、ファン投票を募って構成するものもあったり。で、このベストは全シングルとプラスアルファの曲を時系列に並べたシンプルな構成になっている。そうしたのはなぜですか?
小出 前にインディーズコンプリートベスト(「完全版『バンドBについて』」 / 2009年リリース)みたいな作品は出しているんですけど、メジャー以降のベストは初なので。メンバーセレクトのベストとかいろいろ考えたんですけど、今回は景気付けの意味合いもあるし、第2章の入り口として、これまでの総括をシンプルにできたらと。このベストからBase Ball Bearを知るリスナーがいてもいいと思うしね。
- ベストアルバム「バンドBのベスト」/ 2013年2月13日発売 / 2980円 / EMI Music Japan / TOCT-29119~20
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DISC 1収録曲
- CRAZY FOR YOU の季節
- GIRL FRIEND
- ELECTRIC SUMMER
- STAND BY ME
- 祭りのあと
- 抱きしめたい
- ドラマチック
- 真夏の条件
- 愛してる
- 17才
- changes
DISC 2収録曲
- LOVE MATHEMATICS
- 神々LOOKS YOU
- BREEEEZE GIRL
- Stairway Generation
- kimino-me
- クチビル・ディテクティヴ
- yoakemae (hontou_no_yoakemae ver.)
- short hair
- Tabibito In The Dark
- 初恋
- 若者のゆくえ(Original Version)※ボーナストラック
- ニューシングル「PERFECT BLUE」/ 2013年2月13日 / 1000円 / EMI Music Japan / TOCT-45063
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CD収録曲
- PERFECT BLUE
- アイノシタイ
- Typical Girl
Base Ball Bear(べーすぼーるべあー)
小出祐介(Vo, G)、関根史織(B, Cho)、湯浅将平(G)、堀之内大介(Dr, Cho)からなるロックバンド。2001年、同じ高校に通っていたメンバーによって、学園祭に出演するために結成された。高校在学中からライブを行い、2003年11月にインディーズで初のミニアルバム「夕方ジェネレーション」をリリース。その後も楽曲制作、ライブと精力的な活動を続け、2006年にメジャーデビューする。2007年には「抱きしめたい」「ドラマチック」「真夏の条件」「愛してる」といったシングルや、アルバム「十七歳」を立て続けに発表。2010年1月には初の日本武道館単独公演を開催した。バンド結成10周年を迎えた2011年には、シングル3枚とアルバム「新呼吸」を発表。2012年は2度目の日本武道館公演を皮切りに活発なライブ活動を展開。2013年2月に初のベストアルバム「バンドBのベスト」とシングル「PERFECT BLUE」を発表した。